第67話 RENGEの弱点克服配信その2
さて、これから地下20階層を目指すわけなのだが、
「ドローンのついて来れる速度で行きたいと思います。ちょっとだけ時間がかかるかもしれないのでご了承ください!」
>りょ
>りょ!
>OK
あ、それともうひとつ、
「"びーじーえむ"? って言うんですかね? ナズナが配信が単純作業になる時は流しておきなさいと言っていたので、そちらを放送で流しておきますね」
選曲はナズナに任せていた。
なんでも私でも良く聞いたことのある曲らしい。
なんだろうな?
音楽が流れ始める。
──テテーン!
──テっ テっテテテテ!
──テテーン!
──テっ テっテテテテ!
>ん?クラシック?
>これなんか聞いたことが・・・
>なんだっけ?
気分を高揚させるような調子の良い音楽に合わせて、私は階層をどんどんと先に進んで行く。
ああこの曲、確かにどこかで聞いた曲かもしれないなぁ……?
静かな金管楽器の独奏になったり、色んな楽器が合わさったり。
聴いてて心地よい。
あ、音楽を聴きながらダンジョン攻略って、かなりいいかもしれない。
>待って、なんだっけこの曲・・・
>絶対聞いたことあるヤツだって!
>当てたいな、これ・・・
>学校の授業かなんかだっけ?
>お前らwww配信観ろwww
>もう地下10階層だぞwww
──ダダーーーン!
4分前ほどで音楽の色が変わる。
同時にフロアボスだった
みんな配信そっちのけで音楽の名前当てゲームに夢中のようだ。
これなら私も気兼ねなく20階層までの道のりを急げそうだ。
「それにしても"くらしっく"? っていい曲だなぁ」
>曲ではないwww
>RENGEそれ違うwww
>曲やない、それジャンルや
>クラシックを曲名と勘違いしてる?
>ナイス天然ボケ
みんなよく知ってるなぁ……
とても教養が深いんだろう。
すごいな……
私はぜんぜん分からなかったけどこれは"じゃんる"という曲らしい。
なんて思いながら
──てれてててててて てれててててて
──てれてて てれてて
──てれてててててて
──てれてててててて てれててててて
──てれてて てれてて
──てれてててててて
──テーテーテーテー!
──テテテテテテテ!
「あ、この部分、どこかで聞いた気が……?」
>俺もこれ知ってる!
>あーーー!
>アレだ!
>小学校の運動会で流れるヤツ!
>名前が出てこんwww
──ターンタカタカ
──タンタンタカタカ
──タンタンタカタカ
──タタタタタタタタターン!
>分かったぁぁぁ!
>よっしゃあああ!
>天国と地獄!!!
>天国と地獄やん!
>天国と地獄だぁぁぁ!
「ああ、これ! 好きだったなぁ!」
実りの秋には主に山中にいた私にとって運動会や体育祭は縁の薄い行事だったわけだけど、ときたま近所の学校からこの音楽が聞こえてきていたのは知っていた。
思わず駆け足になっちゃういい曲だよねっ!
「あはっ!」
──ターンタカタカ
"三つ目さいくろぷす"、排除
──タンタンタカタカ
"真っ黒な双頭ドラゴン"、排除
──タンタンタカタカ
"めでゅーさ"、排除
──タタタタタタタタターン!
"巨大わーむ"、
"白い巨人のおじさん"、
"炎の鳥"。
すべてをその独創的で軽快な曲調に乗せて排除していく。
>今日は動きが見えるな・・・
>1階層2秒で動かれるとさすがに目で追えんからな
>いつもこれくらいのペースでいいんじゃね?
>なおモンスターは秒殺の模様w
いつもならなるべく速くを信条に移動をしているところだけど、意外なことにこんなにゆっくりでも視聴者のみなさんは満足してくれているらしい。
そうして、
──テレッ テレッ
──テレッ テレッ
──テレッ!
──テッ!
──トッ
──テッ!
──テテーンッ!
──デンッ!
という9分後半のちょうど曲終わりと同時に目当ての20階層に到着。
「みなさんお待たせしました! 到着です!」
>88888888
>88888888888
>8888888
>888888888888
>いいコンサートだった
>最高の演奏をありがとう
>88888~お疲れ!
>久々にクラシック聴くとしよう・・・
>888888888
>88888888888
>お疲れ~!
「いえ、配信これからなんですけれどぉっ!?」
配信終了と勘違いされてしまった。
確かにすごく区切りは良い感じがするけれども!
いや、今回はあくまで"ぱろっとべあ"を倒すのが目的なのに!
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