第13話透、穂乃果、彩芽の見舞いに

病院にお見舞い、透の視点


「透〜来てくれてありがとう。」


「彩芽〜。

うん、癒されに来たけど、癒されるわ。早く彩芽と学校通いたいよ。」



「うん、ほんとに、早く治って学校通いたい。ねぇ穂乃果ちゃんは?」


「何だよ、彼氏が来てんのに、妹のことばっかり。」


「だって〜会いたいんだもん。」


「ちゃんと呼んで来たけどな。

主役は遅れて登場するから、ま…待ちなさい。」


彼女は楠彩芽。俺の彼女であり、病院に入院中。俺は彼女と学校に通いたいため、今の学校を選んだ。


しかし、病気が中々治らず、まだ一緒に通えずにいる。


人形のように綺麗な、そして肌も白くて、それでいて無邪気で、天真爛漫な子だ。


彼女とは幼馴染で、ずっと小学生の頃から付き合ってる。


「学校は、楽しい?」


「うん、充実してるな。部活やったり、色々と楽しんでる。」


「そっか、いいな、これから学校のイベントで、透と思い出作りたかった。」



「これから作っていけばいいさ。早く元気になって、みんなに俺の彼女自慢したいよ。」俺はそう言って、彼女と学校に通うイメージを思い浮かべた。


「そうだねぇ、そうなったら、透にいっぱ〜い構って貰う。」


「でも…治る気がしないよ。」そう言って彼女は、手を俺の手に重ねた。


「いや、弱気になんなって、今は医療が発達してるから、そのうち治せるようになるさ。」


「なるなる。」俺は彼女を励ました。


「なるなる、なるほど〜。透が言うんだから間違いないね。」


「勇気を貰った〜ありがとう透好きだよ。」


「おう! 俺もさ…ここはチューする雰囲気だろ?」


「聞かずにチューするもんだけどね。

でも、私とは、そう言う接触は、辞めた方が良いよ。」


「看護師さんが鬼になって透怒るよ。」


「おおーそいつは怖い。でも挑戦もしてみたい。まぁ彩芽になんかあったら嫌だからな。」


「キスは勘弁してやる。」


「ふふ…そだね。退院してから、いっぱいイチャイチャしよ。」



「それまでは我慢だ。」

彼女はそう言って少し寂しそうな表情をした。


我慢か。そんな我慢しなくても今イチャイチャしたいけど、無理はさせられない。ほんとに早く治って欲しいと心から、俺は願った。



でも、辛気臭い雰囲気で彩芽と話したくはない。盛り上げなきゃ。そう思っては…いる。しかし俺は今にも泣きそうなぐらい辛かった。


「ああ、我慢だな。でも、我儘は、いっぱい俺に言っていいぞ。」


「いつでもやれることはするからさ。」


「へへ、我儘か〜でも、透が近くにいるだけで幸せだから、それで充分だよ。」



「なぬ〜そりゃ良かった、来た甲斐があるってもんよ。

俺も幸せ過ぎて、ずっと彩芽と一緒にいたいぜ。」


「穂乃果ちゃんまだかなー。」


「おい、折角のムード壊すなし。」



「へい、すんません、透さん。」


まったく、どんだけ会いたいんだか。



「可愛い子には、会いたくなるってもんよ。

なんて、透が照れるようなこと言うから、そう言ったのもあるからね?」



「本音だぞ、ほんとに…好きだからさ。俺彩芽が治ったら…なんでもしてやりたい。」



「デートしようね、治ったら…いっぱい遊ぼ透。」


「ああ、疲れるくらい連れ回す!

覚悟しろよ。」


「先に透がくたびれるよ。ああ、くたびれたーって。」


「病み上がりに負けるかい。」


「ふふ、買い物して、デザート食べて…お土産もよろしく透。」



「いっぱい食ってまた体壊すなよ〜。なぁ病院食ってやっぱりまずい?」



「うーん、そんなことないよ、治って欲しいって気持ちで作ってくれてるんだなーって、栄養満点の料理だと思って、ありがたくいただいております。」



「偉い、立派だぞ、俺の彼女は可愛い上に人もできてるとは!」


「透感激!」


「ぷぷ、ふざけてても、透はカッコいいね。私も透みたいな彼氏立派で人もできてると思う。」


「なんだよ、急に…褒めんなし。」



「ええー透が先に褒めたんだよー罠にかけたな。」


「いやいや、先に言ったのは俺だけども。」


彼女とのやりとりが俺には毎日が新鮮で、病院にいても、それを感じさせないくらいだ。



俺と彩芽の絆は、誰にも邪魔させない、神様でもだ。

毎日彼女の病気が治るように祈っているという、厚かましいかもしれないが。



「彩芽ちゃん、こんにちは。」

妹がやって来た言った。


「穂乃果ちゃーん、会いたかったぁ。」

彼女も挨拶を交わす。



「私も、会いたかった。お待たせしたね。」と妹が戯けて言う。


「可愛いなぁ、穂乃果ちゃんは、2人だけの世界に行きたい。」


「はぁ? 俺は? 俺も入れてー。」


「ふふ、お兄ちゃんがやきもち妬いちゃうよ。」


「じゃあ3人で行こう。イケメンと美少女を引き連れて冒険だ」彩芽が言う。



「いいな冒険ってイケメン俺だよね? 違う男じゃないよね?」



「安心して、透だよ。彼氏を捨てては、行かないよぅ。」


「ふぅ良かった。焦ったー。」



「はは、焦った? 大丈夫だよ。」



「ねぇ穂乃果ちゃん、彼氏は出来た?

恋バナ聞かせてよ。」



「出来てないです。まだ…色々あって。」


「はぁ…穂乃果は作ろうと思えば一瞬なんだぜ。1人の男に夢中でさー。」


「お兄ちゃんそうだけどさ、あ、違う一瞬では出来ないけど、1人に夢中なのは間違いないけどさ。」



「はは、穂乃果ちゃん狼狽えてて可愛すぎ。じゃあ、その人は穂乃果ちゃんの片想いなのかな?」



「うぅ…分かんない、好き避けされてるぽいんですけど、今はそんな避けられなくなってきてて、片想いなのかな?」


「はっきりせんなぁ、早く告白しろって俺何回も言ってるんだよ、妹全然言うこと聞かなくて。」



「そうなんだ、私も透と同じ意見、穂乃果ちゃんなら振られることないと思うな。」


「もし振られても、向こうが振り向いてくれそう。それだけ穂乃果ちゃん魅力的だよ。」


「勇気持とう。」

彩芽は、妹の恋を応援した。



「うん、そうだね、ありがとう。

勇気持つよ。」



「うんうん、穂乃果ちゃんが付き合えたら、ダブルデートしよ。」



「透と私と、穂乃果ちゃんと彼氏さん。」



「うん…それが出来たら素敵だね。」


「でしょーロマンチック。その為には、元気にならないと駄目だね。」



「うん、元気になるよう祈ってるから。私も恋を成就しないと…プレッシャーだ。」



「まぁ50%ってとこか? 穂乃果が付き合えそうな確率。」


「お兄ちゃんそこは、100%って私に励ましの言葉言わないきゃ。」


「そーだよ。穂乃果ちゃんが可哀想、99%だよね?」



「1%消えた。でも99%なら。ほぼ100だ。」


「うん、恋が実るの期待してるよー。」彩芽が穂乃果にそう言って、少し疲れを見せていたので、その後は穏やかに話をした。

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