第12話中間テスト
中間テストの結果が出た。
どうせ透が1位だろうな。
俺は目を疑った。あれ? 俺が1位?
「おめでとー晴人。」
「美咲か。」
「やったねぇ。さすが私の見込んだ男。1位取るなんて…あなた、ますますモテるわね。」
「いや、俺も驚いたよ。」美咲言った。
そう言えば勉強簡単だったと思った。
まさかあの化け物、透に勝つなんて。
だけど、サッカーやってたからな、両立はキツいだろうな。俺はサッカー辞めたから。
2位は透か、やっぱさすがだ。
それに…彼女が入院して、お見舞いしてるんだもんな。それで2位は、やっぱり普通じゃないな。
3位は、穂乃果か。これもさすが。4位は?
可憐さんか。知り合いが上位独占か。
「なぁ美咲は、何位だったの?」
「それ聞く?
言うわけないじゃん。
でも赤点は、回避できたよ。」
「まぁおめでとう。」俺は美咲に言った。
しかし…2〜4位が全員知り合いとは。日頃の成果が出たか。周りが勉強出来るから、自分にも良い影響があったんだろうな。
しかも、俺が好きな人が、3〜4位か。まさに才色兼備って奴だな。
俺は驚きを持って受け止めた。
「まぁおめでとう…かい、頑張ったね、美咲!とかもっとこう…ないの?」
「ふぅ…勉強頑張ったな、お疲れ美咲。」
「む〜心が全然こもってない!」
「はぁ…一緒に勉強頑張ったもんな。」
「ため息はいらないんですけど…でもありがとう。晴人が手伝ってくれたおかげだよ。」
それもあるだろうけど、彼女の最近の頑張りは、確かに凄い。3年になれば上位にもなれるかも。
元々頭は良いんだから。そう俺は思った。
「ため息か、それは分かるだろ? 美咲のテンションが高すぎて疲れてしまったって。」
そう彼女に伝えた。
けど、それは本音じゃない。彼女に期待を持たせないよう、距離感を持ってる、自然に出てしまう反応だろう。
「ん? 私のテンションが高すぎて…慣れてるでしょ?
私が晴人のこと好きなのがウザいとかじゃないの?」
「いや、そう言うわけじゃない。ただ美咲が傷つくのが見たくないだけ。言ったろ?
2人も好きな人がいるって。」
なんて言えば、彼女は納得するだろう。
ただ、彼女を傷つけたくないから、距離を取ってる。それを伝えるにはどうすればいいのか。
「はぁ…はっきりお前には興味ないって言ってくれれば。逆にそんな優しいとますます好きになっちゃうんですけど。」
「でも、気を使ってくれてありがとう。
私も気を使って、しばらく遠くで見てようかな。」
美咲は寂しそうに俺に言った。
そうしてくれるとありがたい。この考えは、卑怯だよな。美咲の事は、大切に思ってる。けど、それは、恋愛感情じゃなくて…困ったな。
俺は返答に詰まってしまった。
「良いよ、いつも通りで。ごめん…ただ、好きな人にベタベタしてるところは見られたくないから、気をつけてくれれば。」
そう美咲に言ったけど、その言ってる、俺本人が好きな人2人にそれぞれ、ベタベタしている。
それを見せているんだよな。
好きな人を1人にしなければいけない。そう俺は考え込んだ。
矛盾だな。好きな人に対してベタベタするところを、別の好きな人に見せている。それなのに、美咲には要求していると言う矛盾。
それを美咲に教えられるなんて。
「うん、それは気をつける。」美咲は、素直にそう言った。
「晴人と、出かける約束反故にされたら嫌だし。ちゃんと友達も連れてくから。」
「あぁ、ちゃんと行くよ。約束は守る。」
そう美咲に言った。
「晴人君。」
そう呼んだのは、穂乃果だった。
「よう、穂乃果。」
「晴人君中間テスト1位じゃん、おめでとう。
凄いなぁ、私負けちゃった。」
「そんな変わらないけどな。点数ちょっと違うだけだし。」俺はそう穂乃果に言った。
「その差が、めっちゃ大きいんだよ。あ、美咲ちゃんヤッホー。」彼女が美咲に挨拶した。
「ヤッホー。久しぶりね。クラス同じなのに、全然会話してないって言うね。」
美咲が挨拶して言う。
「だって美咲ちゃん、晴人君とばっかり喋ってるんだもん。」
「それは、お互い様でしょ?」
うぅ…なんか雰囲気が…怪しい…俺はこの場にいるのが気まずいように思えた。
「もう少し私ともお喋りしよ? 美咲ちゃんとも仲良くしたいし。」
穂乃果が美咲に伝えた。
「そうね…私も穂乃果ちゃんと仲良くはしたいよ。別に穂乃果ちゃんを嫌ってるわけじゃないから。」
「良かった、これからもよろしくね。」
「こちらこそよろしく。」
お互いがそう言った。
良かった、2人とも、仲良くしていくんだ。俺は心で安堵した。
「穂乃果ちゃんも3位だったね。おめでとう、私とは格が違うわね。」
「そんな事ないよ、美咲ちゃん、テストの結果だけで格なんて決まらないよ。」
「そうね、相変わらず優しいわね、穂乃果ちゃんは。
それでも、穂乃果ちゃんが凄いのは、確かよ。」
「えへへ、ありがと。美咲ちゃんも優しいよ。凄く。」
そう2人の会話を聞いてて、良い関係だなと、俺は微笑ましく感じていた。
俺にも友達はいる。透がいるけど、最近透と話をしてないな。透は。忙し過ぎて声もかけれない。
こうやって疎遠になっていくのだろう。
俺はそうすると、男の友達誰もいなくないか?
まぁそのおかげで、テストで1位取れた。そう思う。
けど、別に寂しくはない。それは恋をしてるからだ。
恋をしてる時が1番…寂しさを紛らわせるのかも。
「晴人、中間テスト1位おめでとう。」可憐がそう言って話しかけてきた。
「可憐ありがとう。
それと、4位おめでとう。」
俺は彼女を祝福した。
「ありがとう。晴人に負けないよう、この調子で、頑張るね。」可憐が明るく言った。
「うん、お互い頑張ってこ。」彼女にそう伝えた。
「うん。それにしても、晴人ってスポーツも万能で勉強も出来て良いな。」
「私スポーツ苦手で。だから尊敬しちゃう。」
「そうなの?
可憐って身長すらっとして、運動出来そうだけど。」
俺はそう思って言う。
「ううん全然出来ないよ。」可憐はそう言い、俺を見つめた。
「ちょっと、晴人、白鳥さんと話し過ぎ。」美咲が苗字で可憐に言い、俺に構ってくれとせがんでるように聞こえた。
「美咲は穂乃果ともっと喋っててよ。」俺は2人の仲をもっと深めて欲しくて言った。
「は〜い。晴人が言うならそうします。」
彼女が素直に言う。
それから俺は、他の同級生達にも、1位を祝福してもらえた。友達少ない俺でも、祝福してくれる、優しい人達もいるんだなと思った。
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