第11話可憐と穂乃果2人の交錯
可憐の視点。
「お母さんお話があります。」
「何かしら可憐、なんでも言ってちょうだい。」
「実は私好きな人が出来ました。」
「あら、そう。良いことじゃない、おめでとう。」
「それが、その、好きな人が出来たのは良いのですけど、ちょっと問題があって。」
「問題? まさか彼氏がいる男性じゃないでしょうね?」
「いえ、彼氏がいるのではないんですけど、親友の子と好きな人が被ってしまって。」
そう穂乃果と好きな人が一緒だった。
今まで気がつかなかった。
確かに穂乃果とは、物凄く好きな物や、話が合っていた。まさか…好きな人まで合わなくても…と考えてしまった。
「親友…まさか穂乃果ちゃん? と言うより相談するぐらいだから、他にいないわね。」
やっぱり名前言わなくても分かっちゃったか。
さすがお母さんねと心で呟いた。
「そうなんです。それでどうしたら良いかなと。」
「そんなのあなたが諦めれば良いだけじゃない。大体あなたはもっと上の高校選べたのよ?
女子高とか。」
「それを穂乃果ちゃんがいるから、その高校にしたんでしょ?」
「進路を親友のために変えたのに、それで親友を裏切ってまで、男を取るなんて、辞めときなさい。」
「ちょっと厳しく言い過ぎだかも知れないけど、いい?」
「男性なんて喧嘩別れしたら、終わり。
まず仲直りなんてない。」
「親友は、一生の宝物よ。彼氏なんて大学でも作れるんだから。むしろ責任ある歳で良いじゃない。」
「それはそうですが、はい、そうです。とは、簡単に言えません。」
「穂乃果は大事ですけど…この気持ちも大事です。」
「そんな気持ち、ゴミ箱に捨ててしまいなさい。」
「生きていたら後で、いくらでも湧くから、今は捨てるの。」
お母さんが言った。
私にはなんて、冷たい人なのだろうと、少し母を軽蔑した。
そんな簡単に捨てれれば、この世に愛は、なくなります。と心でボソッと私は言った。
けど…お母さんの言う事も、冷たいけど、間違ってはない。私が我慢して、穂乃果を応援するのが1番良いのかもしれない。
彼に告白して、振られて、穂乃果と彼が付き合ったら?
私は彼女と友達のままいられるだろうか?
それとも、気持ちに蓋をして、穂乃果が晴人君と付き合ったら?
それでも嫉妬の気持ちが出ずに、穂乃果を応援出来るの?
どちらも待ってるのは、苦しみだけ。
もし彼と付き合えば、穂乃果を失う。
彼女は、私を応援してくれるだろうか?
私だったら無理かもしれない。
「相談に乗っていただきありがとうございます。お母さん。」
そう言ってから、私は、父のもとに向かった。
お父さんなら、私の気持ちをどうするか、教えてくれるはず。
そう思い、お父さんのいる、部屋に入った。
「そりゃ男性優先だよ可憐。
その方が可憐の気持ちはスッキリするし、毎日思い悩む必要もなくなる。」
「それに女性は、男性と付き合って成長するんだ。いや、付き合わなくても、恋だけで成長する。」
「だから、いけ可憐、迷うことないよ。」
真逆の意見…良く2人結婚したなぁと、父に質問した。
「お父さんは、お母さんのどう言ったとこが好きなの?」
「ん?
好きじゃないよ?」
「可憐がいるから別れないだけ。」
聞きたくなかった。
心で呟いた。
「でも好きで結婚したんだよね?」
「ああそっちの質問か。
顔だな。」
「そう…ですか。」
もうお父さん娘には、もう少しオブラートに包んで言って欲しいな。
でも、私が晴人に惹かれたのが分かった。
お父さんと似てるんだ…正直なところが。
はぁ…両方全然違う意見。
余計に悩む…けど、少し楽になったかも。
これからどうしよう…もう一回、穂乃果と話をしようかな。
私は明日に向けて、準備をして、寝る事にした。
そして学校の授業が終わり、穂乃果を校庭に一緒に話そうと誘った。
「ねぇ穂乃果、結局どうするか、答え出せなかった。」
私は正直に、どうすればいいか分からないと伝えた。
「私も可憐ちゃんと同じ気持ちだよ。私ずっと考えてて、やっぱり可憐ちゃんが先に告白するのがいいと思う。」
「私ね、晴人君にいっぱい優しくしてもらえたから、もう凄い満足なんだ。」
「だから、彼の幸せを1番に考えて、可憐ちゃんを選ぶなら、それを…そんちょ…うしたい。」
穂乃果が泣きながら言う。
「穂乃果そんなこと、泣いて言われたら、私告白出来ないよ。」
「私だって、彼の幸せが1番だよ。」
そう穂乃果に伝えた。
「うぅ…可憐ちゃん…あぁ…つらいよぉ…」穂乃果が私を抱きしめて言う。
穂乃果の泣き虫!
そう心で言い、私も泣いてしまった。
移っちゃたじゃない。もう…ばか。
私は心で穂乃果の優しい気持ちに、感謝して言った。
私こんなに優しい穂乃果を失いたくない。
晴人と距離を少し取る…それとも穂乃果を応援する?
もう少し時間が欲しい。そう心で呟いた。
「可憐ちゃん…私、頭が真っ白だよ。
何も言葉が出てこないの。」
「大丈夫よ、穂乃果。」そう言い私は彼女の髪を撫でた。
「私も同じ…しばらくこのままでいよう。」そう彼女に告げた。
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