第10話続体育祭を晴人の視点で振り返り

「透悪いけど、今回はレース1位取らせてもらうぜ。」



俺は穂乃果の為にも、1位を取ると言う決心で挑んでいる。

絶対に負けられないって奴だ。

懐かしい気がする…前も穂乃果に何か…中学で約束をした覚えがある。

そう考えた。


「へー、サッカー辞めたやつに、負けられないな。帰宅部に負けたら恥だからな。」



「そりゃそうだ。負けたら恥だからな。全力で頼むよ。」俺は挑発するように言う。


手加減されて勝っても嬉しくないから、本気で来い。そういう意味での挑発だ。



もちろん他の人にも負けれないが、中学では、陸上部にも負けなかった。中学の貯金がある安心感が、透以外に負けないと自負していた。


「言うじゃないか。まぁそれはそうと、妹のこと礼を言うよ。こけてすぐ駆けつけて行ったんだってな。」


「当然だろ。それに俺が声をかけて、ちょうどのタイミングだったし。」


「晴人に声援かけて貰えて嬉しかったんだろ。

このイケメンが。」


俺より圧倒的にイケメンな透に言われるなんてな。心でそう呟いた。



ふぅ…一着でゴール出来た。俺は周りの生徒達と挨拶を交わして、すぐに穂乃果のもとに駆けつけた。


1位を取ったことを知らせたら、彼女は、満面の笑みでガッツポーズをして、俺の勝利を祝ってくれた。

その仕草が愛くるしくて頑張って良かったと思えた。もちろん俺も嬉しかったけど。



周りの生徒達も喜んで、俺に声をかけてくれた。ありがとうと言ってもらえた。


可憐からも祝福された。


けど、1人のため、そう穂乃果の為に頑張った後ろめたさが少しあった。


「透どうした?」


「悪い虫を追い払ってたのさ。言葉に注意しろって、妹には怒られたけどな。」


「告白されてた?

悪い虫がって事は、そうゆうことか。」


「そう察しが良いね。もっと察しが良いと助かるんだが。」透はそう笑顔で言った。


何か含みがある言い方だな。俺はそう思った。


俺はこれから400メートルリレーがあり、彼女の怪我も気になっていたが、体育祭が終わってから声をかけることにした。


400メートルリレー結果は2位だった。そしてクラス対抗戦の結果も2位。


1位は透のクラスか。いつもあいつが1位だな。俺は中学の頃から万年2位。



でも、今回の100メートルでは、勝てた。自信をある程度持てた。


そう思うと、穂乃果のおかげで勝てたのかもな。彼女に感謝しないと。


さて、大会終わったし、穂乃果に声かけるか。


俺は彼女を探してあちこち見て回った。あ、いた。あれ、誰から声かけられてる。


告白か?

本当良くモテるな穂乃果は。


盗み聞きするつもりは…なかったと言えない。やっぱり気になる。


断り方が優しいな。

好きな人がいるからか…それって…やっぱり俺なんだろうか?


そう思うのは、穂乃果をお姫様抱っこしていた時、彼女は、幸せそうに俺を見つめていた気がするからだ。



俺はその時、彼女をまともに見れなかったけど、熱い視線を感じていた。


胸の高鳴りが激しく、おれの手が震えていた。


ふぅ思い出しただけで、顔が熱くなってくる。


お姫様抱っこしていた、周りの状況どうだったか。穂乃果の心配してて、さっぱりわからない。


可憐はどう思ったろう?

他の人達はどう見ていたか。


焦って穂乃果に告白したとか?

関係ないか。いつもモテるしな。


今日は、彼女の事ばかり考える日だったな。結局、帰りに穂乃果に声をかける事はしなかった。


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