第9話穂乃果と透の日常会話

こんこん、「穂乃果ごめん。」

ドア越しから、お兄ちゃんの声が聞こえた。



「友達から話聞いてて、穂乃果が晴人に避けられてるって聞いて。」 



「穂乃果が、晴人の誕生日祝って、あれだけ仲良くしてたのに、そういう事して、俺プッツンしてキレちまった。」



ガチャ、私はドアを開け、お兄ちゃんの顔を覗き込む様に見た。


「もう晴人君殴られないでね。」


「ああ分かった。」


「でも、友達に聞いたって、私の知ってる人?」



「ふふ、いつから1人だと錯覚していた?」



「まさか、私はお兄ちゃんに、監視されているぅぅぅ。」


「はは、今日は乗りがいいじゃん。」


「たまには乗ってないあげとね。」私はウインクして言った。


「しかし、まさか好き避けだっとはな。」


「まだ、好き避けとは決まってないよ。」お兄ちゃんにそう言った。



「確かに…ただ晴人に好きな人が出来てそれで避けられてるのかもしれん。」


「むぅ…やっぱり乗ってあげない。」


「すぐへそ曲げる〜俺は可能性を伝えただけ。」


「酷っ…お兄ちゃん私の前では真面目にしててよ。真面目にしてたら凄いカッコいいんだから。」



「そりゃ無理、妹との前では素でいたい。諦めたまえ。」


「ひぃ〜それが素なんだ…兄弟の縁切ろうかな。」



「辞めろ〜それは嫌だ。」



「冗談だよ。お兄ちゃん大好きだから縁切らないよ、安心して。」


「うぅ、胸が痛い、妹に萌え殺される。」


「お兄ちゃんとりあえず落ち着こうか?」



「ああ…危なかった。ふうふう。」


「はぁ…お兄ちゃん…双子とは思えないぐらい、私と性格違うよね。

なんで?」

私は疑問をお兄ちゃんに問うた。



「えっ?

そりゃ…二卵性双子だから、違うだろ。一卵性じゃないんだから。

穂乃果見たいな天使と俺みたいな悪魔とはちがうだろ?」


「ぷぷ…そうだね。けど、自分で悪魔って…悪魔だと思うけど。」


「おい、そこはフォローしろよ。」

お兄ちゃんが助けを求める様に言う。


「自分で言ったことには、責任持たないと。お兄ちゃんは、そうだね、悪魔ってより魔王かな。」私はフォローを入れた。


「魔王…昇格か。」

お兄ちゃんが呟いた。


「昇格おめでとう、お兄ちゃん。」



「全然嬉しくないな。でも考え様によっては…そうだな。俺が魔王で、穂乃果を堕天使にさせれば良いか。」


「堕天使?

闇堕ち?」

私は笑って言った。


「あ…晴人に振られたら穂乃果、闇堕ちしそうだ。」お兄ちゃんは笑って言った。


「振られたって、まだ決まってないし、お兄ちゃんに会うたび、振られたーって言われるんですけど。」


「たまには、絶対振られないぐらいのこと言って欲しいんですけど?」

私はため息をついて言う。


本当に振られたら嫌だな。そしたら闇堕ちとか本当にしちゃうのかな。

好きな人が親友と被ってるし。


お兄ちゃんはそこまでは知らないから、多分。えーん、振られるのが怖いぃ。私は心で嘆いた。


「絶対に振られないか。ふっ…たまには、真面目に言わせてもらうか。」


「それは絶対にない。だって良く考えてみろ?

例え付き合ってても、振られる事はあるんだ。」


「人間だから、心までは操れない。だから、心変わりして、振ることだって、世の中には、好きでも、振る奴がいるのよ。」

お兄ちゃんはいつもと違う、真面目な話をした。




「わぁ〜真面目なお兄ちゃんカッコいい。いつもそんな感じでお願いします。」私は全身を使って嬉しい思いと、真面目でいてくれと伝えた。



「いや、だから無理だって。大学生になったら、分からんな。まだ俺若いし。」


「そうだね。まだ私達若いもんね。」


「そうゆうこと。だからまだ、適当に軽い人間でありたい。そうは思わんかね?

妹よ。」


「ってか誰?

お兄ちゃん…誰かに乗り移られたの?」


「おい、俺は君の兄上だよ?」


「言ってることは、まともだけど…う…まぁ…ちょっと引いてしまけど、確かにまだ未成年だから、軽く考えろって言うことだよね?」


ギャップの差が激しすぎるよ、お兄ちゃん。凄い笑っちゃう。お兄ちゃん学校では、どっちの性格でやっていってるんだろう。


凄い気になってしょうがないよ〜。

でも聞けない。だって、ふざけたお兄ちゃんでやっててるなら、恥ずかしくて、通えなくなっちゃう。


でもでも、私の前で素でいるって事は、やっぱり真面目なお兄ちゃんで通ってるのかな。


「そうそう、未成年だから、まだ失敗は取り戻せる。あ…でも晴人殴って騒ぎになって、サッカー部廃部になったら、そう言ってられないな。」


「危なかった。晴人様すみませんって伝えておいて。」



「ほんとだよ…晴人君のこと辛かったんだから。」


私はあの場面を思い出すと、泣きそうになる。忘れよう、そしてお兄ちゃんにもフォローしてあげないと。そう考えた。


「もう過ぎたことだから、反省して、もうやらないなら大丈夫だから。」



「ああ、分かった。」

お兄ちゃんは、素直に頷いた。



「ふぅ、そうだ、今度俺の彼女の見舞い一緒に行かない?」


「うん、良いよ。彩芽ちゃんに会いに行く日教えてくれれば、調整するから。」



「今度私、中学の同級生と久しぶりに遊びに行くから、そこと被らなかったら、平気。」



「おう、ありがとう。

彩芽も、穂乃果に会いたがってたからさ。

俺が行くと、穂乃果ちゃんは?

だぜ?」



「そりゃないよ、彼氏が来てんのにさ。」

お兄ちゃんは苦笑いした様に言った。


「へへ、嬉しいな〜。お兄ちゃん、残念でしたー。私のことが好きなんだよ。」

私はおどけて言う。



「ふん、そんなはずない。ただ、穂乃果のこと姉妹みたいに思ってるだけ。」



「でも同い年ですけど〜姉妹成立しないです。」


「いやいや、穂乃果のが誕生日近いから、姉成立です。穂乃果の片想いです。残念。」


「ふふふ、張り合いますな。私は笑って言った。」


「当たり前だ、彼女は渡さん。

例え妹でも、そこは譲れない。」

お兄ちゃんが胸を張って言う。



「はいはい、お熱いですね。

あー早く彼氏が欲しいよ〜。」

お兄ちゃんと私は遠くにいる晴人君に言った。


晴人君以外の彼氏はいらないから、と心で恥ずかしいと思いながら言った。


「彼氏?

穂乃果なら、一瞬で作れるだろ。彼氏が欲しいんじゃなくて、晴人が欲しいんだろ?」


「この、一途め。」

とズバリお兄ちゃんに指摘されしまった。


うぅ…私は顔が真っ赤に火照ってしまった。


「一途ですよ、中学の頃から好きですから。はぁ、ずっと片想い。」

お兄ちゃんに告げた。



「今は両思いなんだろ?

可憐が好きなのかもしれんが。」


「結局のところ早く告れよ。お兄ちゃんが急かす様に言う。」



「出来るならとっくにしてますよ。

本人目の前にすると、好きって言えないんですぅ。」


「それに今は、事情があって、更に出来ません。」



「なんだよ?

事情って。」


「お父さんとお母さんには、教えました。お兄ちゃんには、教えません。

秘密です。」


「秘密って、お母さんに聞けばすぐ喋ると思うけど…お喋りだから。」


「むむ…じゃあ聞けばいいじゃないですか。私の口からは、言えません。」


「そうか。でも穂乃果が俺に知られたくないこと、知るつもりはない。

安心しろ。」


「それでも、俺は穂乃果の味方だから。」


「お兄ちゃん…私泣くぞ。うぅ…ありがとう。」

私はお兄ちゃんに感謝を述べた。



「おう、今日は色々話せてよかった。

また明日な。俺はもう寝ることにする。」


「うん、また明日お兄ちゃん。こちらこそいっぱい話てくれてありがとう。」

私はお兄ちゃんに礼を言い、ドアを閉めた。




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