第8話美咲のアドバイスとお誘い。

「ここのベンチにいたわね。私に会いにこのベンチに来た?」


「探してたのか?

あのな、ここが気に入ってるだけだから。」


「あんたわたしと付き合いなさいよ。」


「いきなりだな…ごめんそれは、無理、今好きな人いるから。」


「誰よそれ? 教えなさい!」


「それは…2人…いるかも。」


「2人! なによそれあんた…そう言う人だったのね。私を3人目にしなさい!」


「なぜそうなる。」


「だって、まだその2人とも付き合ってないんでしょ?」


「それはそうだが。」


「なら3人目がいても問題なし。」


「いや2人でもおかしくなりそうなのに、3人もいたら、俺とんでもないやつになるだろ?」


「うーん…私的に問題なくても、晴人が辛いならそれは問題ね。」

 

「いや問題ないのかよ。」


「だって良い男は、争奪戦なのよ?

人気のある男子は、みんな彼女持ち出し。」


「俺より良い男なんて、いっぱいいるだろ。」


「ほーいったな? じゃああんた、その彼女持ちじゃない素敵な男子、紹介しなさいよ。」



「いや、知らないし、美咲も知ってるだろうけど、俺男の友達少ないんだけど。」


「友達ねぇ? でもほら? 紹介出来ないでしょ?」


「そりゃ俺が知らないだけで、どこかにいるだろ。それに美咲なら、可愛いし、面白い女の子なんだから、いくらでもできるだろ?」


「そこよ、あんた…可愛いし、面白いなんて、褒める男子の少ないこと。晴人は魔性の男ね。」


「いや俺は思ったこと言っただけで…褒めたのか?」


「きゃー正直な男ね。思ったこと言ったとかヤバっ。」



「おーい、揶揄うなよ。」



「別に、揶揄ってないわ。で…付き合う?」


「付き合わない、ってか俺が彼女作ったら諦める?」


「それは場合によるわね。それに、晴人に彼女出来たから、はい次行ってみよー、ってそんな軽くはないし。」


「時間が解決してくれるんじゃない?

分かんないわよ、出来なきゃ。

作るの?」

美咲が聞いてきた。


「いや…こんな気持ちでは、付き合えないだろ?

だって好きな人2人いて、付き合うなんて。」


「じゃあ告白されたら、振るの?」


「え…それは、一応…考えさせてって言うかな。俺は答えた。」


「考えさせて…か。便利な言葉よね。」

美咲が呟いた。


「はっきりしろってこと?」

俺は聞いた。


「精神的には楽かもね。振り回されないから。」彼女は遠くを見て言った。


「何かいるの?」

俺は彼女に質問した。


「えっ? ああ、考え込んでただけ。一応あんたの事よ?

嬉しい?」


「それは…なんとも。」


「はっきりしない男ね。女性を振り回しそう。

そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうよ?」

美咲は思い遣りを持って俺を叱ってくれたように思えた。


「そうだな。はっきりしないとだな。」

俺は言った。


「私的には、女の子に嫌われても全然構わないけどね。私は晴人が嫌われてもずっと、味方だから。」


「けど晴人が女の子に嫌われて、辛い顔見るのが嫌だから。」

彼女は俺に言った。


「そうだな。それにしてもしっかりしてるな、美咲は。」

俺は少し照れながら言った。


「私さ、親とあんまり仲良くないからさ。

その分しっかりしないとと思って。

だから勉強も晴人に教わって、勉強も出来るようになりたいから。」

美咲は、打ち明ける様に言った。



「そっか、だから勉強頑張ってたんだ。

ありがとう。俺も力になるよ。」


「晴人〜なら私とデートしなさい。」


「それは…難しい。

言ったろ? 好きな人が2人もいるんだぞ。」


「それになんで、俺のことそんな好きなん?

そんな好かれるようなことしてないぞ?

そこまで魅力ないって。」



「晴人、あんた、はっきりしない男に、自信のない男まで付くなんて、欲張りセットね!

私が今日食べてあげるから、今日でお別れしなさい。

私が好きになった理由なんて、山ほどあって言えないわ。」



「美咲、ありがと。今日でお別れしないとな。それにしても結構美咲もキザだね。」

俺は笑って答えた。


「あんたのキザが移ったのよ。」

美咲が答えた。


「はは、移してしまったか。

そんな覚えないけど。」

そう笑って言った。




「ふふ…ねぇ晴人、ところで、あなた西条さんに殴られたんだって?」


「誰から聞いた?

確かに殴られたけど。」


「あんたと友達じゃなかった?

色々噂があるのよ。」


「まぁ友達だから、殴ったんだろ。」

俺は答えた。


「ふーんもしかしてあんたが好きな人って…穂乃果ちゃん?」


「な…なんで?」


「図星か。なんとな〜く。穂乃果ちゃんを巡り殴りあったか。」


「いや、俺は殴ってないぞ?

ってか毎回美咲に図星って言われるけど。」


「晴人が分かりやす過ぎるのよ。」


「穂乃果ちゃん可愛いもんね。中々手強い相手ね。んー可愛いか…もしかして、もう1人の好きな人って可憐?」


「おい…怖いな美咲は。教えたくないけど、そうだよ。」



「やっぱり! あんたが好きになる人…やっぱり顔か!

晴人も顔で好きになる人だったのね。」

美咲が軽蔑の目を向けた。


「嫌な言い方するなぁ…別に顔だけで好きになった訳じゃない。」



「顔だけで?

やっぱり顔じゃない。まぁあの2人は、性格も良いのは、知ってる。

穂乃果ちゃんしかあんまり知らないけど、優しいもんねぇ。」


「むしろ優しすぎる。

晴人が付き合ったら、駄目な男になりそうね。」


「だから、私と付き合いなさいって?」

俺は聞いた。


「バレたか。でも駄目男になって拾うのはありね。」


「ああ、さすがに読めてきたよ。俺は笑って言う。」


彼女も笑って言う。



「晴人、彼女作ったからって、私と縁切らないでね?

それでも、仲良くしたいからさ。」

美咲が目を潤ませて言った。


「おう、それはもちろん。美咲と家近所だし、連絡くれれば、いつでも来てくれていいよ。」

俺はそう答えた。


「ありがとう晴人。あなたと近所で良かった。それ聞いたら安心。」

彼女が言った。


「はは、じゃあ束縛強い彼女は作れないな。嫉妬されちゃうからね。」と俺は笑顔で言った。


「ええ、でもさすがに彼女出来たら2人きりになったら駄目よ。

それは裏切りだもの。」


「晴人が刺されちゃう。」彼女は笑顔で忠告した。


「ああ、俺も彼女が、2人きりでいるのは、浮気と思っちゃうもんな。」



「そうゆうことね。でも今は彼女いないんだから、問題なし。」


「はは、好きな人いるんだって。」

と俺は言った。


「2人もね。彼女は微笑んで言う。」


「2人か。確かにそれは浮気になるんだろうか?」


「そもそも彼女いないから、浮気じゃ

ない?

どうなんだろう。

恋の浮気?」


もちろん彼女がいて別に好きな人が出来たら別れるべきなんだろうけど。

俺は美咲の言葉に考えを巡らした。


「美咲は、好きな人2人出来たことない?」

俺は彼女に尋ねた。


「ない、1人だけ。即答だった。」


「早いな、答えるのが。じゃあさ、2人好きになる人ってどう思う?」


「晴人だと思う。美咲が言った。」


「おい、冗談は置いてけって。」



「真面目に答えると、結婚して、子供いるなら、酷い人だけど、そうじゃないなら、別に良いと思うよ。」


「なるほどな。確かに…そうだな。」

俺は彼女の言葉に何度も頷いた。


「ありがとう。少し気が楽になった。」


「そう? お礼は、私と遊ぶっていうお礼でいいよ。」


「おいおい、それは…2人きりじゃ…その。」


「ふぅ…分かった。じゃあ2人きりにならなければ良いよね?

友達誘うからそれで良い?」


「ああ、それなら問題ないかな。」


「そうよね。2人きりでいるとこ、好きな2人に見られたくないもんね?」

彼女が言う。


「それもあるし、なんか裏切り行為みたいな罪悪感が。変だよな…付き合ってもないのに。」


「変じゃないよ、晴人。私羨ましい2人が。晴人にそう思われてる2人がちょい憎いわね。」


「憎いって怖いこというなし。」


「ふふ、大丈夫。2人には危害加えないから、安心して。」


「はは、美咲がそんなことしない子だって分かってるよ。」


「そろそろ戻らないとな、授業が始まる。」


「うん、じゃあまた授業終わったら。

まぁ同じクラスですけど。」


「はは、そうだな。」

俺は彼女に礼を言って教室に戻った。


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