第7話穂乃果の悩み、複雑な三角関係

「晴人くん誕生日から、私のこと避けてない?」


「それは…その。」


「私なにか…したかな?

したなら謝るよ。」穂乃果がそう呟いた。


「いや、何もしてないよ。と俺は返事をした。」


「じゃあなんで? 今でも私が近寄ったら、後ろに下がったよね?」


「私つらいよ、晴人くんに避けられるなんて…私…晴人くんのことが…」そう言い穂乃果が去っていった。


「違うんだ…穂乃果…君を見てると胸がドキドキして苦しいんだ。」



「あれ、透?」

俺は親友が俺の方に向かって、怒りの表情を見た。


「おい、クズト…俺の大事な妹泣かせたな?

歯を食いしばれ、一発殴らないと気が済まん。」


「いて…」



「事情あるのかも知れないけどな。後で妹に聞くわ。

じゃ…うわっ、穂乃果いたのか。」


「うん、いたよ、お兄ちゃん晴人くん殴ったんだね。」


「ごめん。」


「謝るのは私じゃないよね? 晴人くんにだよね。」


「うっ…そうだな。晴人悪かった、許してくれ。クズだなんて言ってすまん。」


「あぁ、気にすんな。」俺は透に言った。


「晴人君ごめんなさい。」


「穂乃果が謝る事じゃないだろ?」


「ううん、お兄ちゃんが殴ったのは、私の為だと思う。それ以外考えられないもん。 

だから私が悪いの。」



そう言って彼女は、俺の顔をハンカチで拭った。


それを俺は避けるように逃れた。


「私のこと嫌いだよね。ごめん…お兄ちゃん行こ。」

そう言い、穂乃果は透と去った。


嫌いなんじゃ…ない。むしろ…逆なんだ。





穂乃果の視点

うわーん。ひくっひくっ。うぅ

私は自宅で泣きまくった。



「晴人くんに嫌われてしまった。何が原因かも分からない…なんでなの?」



「ちょっと、穂乃果ちゃん、どうしたの?」

ドア越しにお母さんが話しかけてきた。



「ううんなんでも…ある。」

私はお母さんに相談しようと思った。



もしかしたら、何か原因教えてくれるかも。


そう私は決意した。


お母さんに事情を話した。



「あらー晴人くんと喧嘩したの?

で原因が分からない?」


「うん、誕生日のあとになんか、距離を取られて、でも、それもなんでか分からなくて。」



「誕生日のあとねぇ、あんなに仲良かったのにそんなことある?」


「それが分からないからお母さんに聞いてるの!」



「そんな強く言わなくても。

ちょっと私も思い当たる事あるけど、やっぱりこう言う時は、ネットで調べましょう。」



「ネット? それで分かるの?」



「ちょっと待ってね、うーん調べたら好き避けって出たわね。」


「えー! 本当なのお母さん…見せて見せて。」


「困った子ね。はい、それにしても、原因が分からないなら、本人に聞きなさい。とも書いてあったわよ。」


「さすがお母さん頼りになりますね。」

と私は母に感謝した。


「まぁ本人に聞けば良かったんじゃないの?」



「でも、私本人に聞いたよ? 

教えてくれなかった。」


「そうなの?

まぁ好き避けだったらいいわね。」


「ふふ、穂乃果ちゃんが可愛すぎて、照れてるのかもね、ふふ。」とお母さんが微笑んで言った。


「うん、絶対好き避けだね。」と私は前向きに言った。けど、もし違ったら?

その考えが頭から離れなかった。


「透ちゃん、晴人くん殴ったの大変だったわね。

晴人くんだから許してくれたけど、他の人だったらサッカー部で問題になってたわよ。

注意しないと。」


「そうだね、私からも言っとくね。」


「ところで、明日可憐ちゃんと遊びに行く日よね?」


「ちゃんと気持ち落ち着かせて、行って来なさいよ。」


「うん、そうでした。」

でも、そんなすぐに割り切れないよ〜。

と私は心で呟いた。


今日は可憐ちゃんと遊びに行く日。


可憐ちゃんと合流して、遊園地に行った。


「どうしたの? 元気ないね?

私と遊んでるのつまらないかな?

ってマイナス思考だね、私。」



「ううん、可憐ちゃんそうじゃないの。

ちょっと色々なことがあって。」


「そっか…元気だしてね。親友の穂乃果が元気ないと、私も辛いから。」


「ありがとう、可憐ちゃん。」


「でも私も元気なくなるかもしれない。」

と可憐ちゃんが呟いた。


「なんで? どうしたの?」


「実は私、好きな人が出来て。その人に告白しようと思って、振られたら、元気なくなりそう。」


「そうなの? 私の知ってる人?」



「うん、知ってる人、晴人だよ。告白しようと思うの。」


可憐…ちゃん。私は頭が真っ白になった。


「だから、もし振られちゃったら、慰めてね。」



私はどうしたらいいのだろう? 

私も晴人くんが好きと伝えるべきなのか。それとも黙っていないとだめだろうか。



私は心が締め付けられて、今にもその場に、崩れそうだった。


本当は、大好きな晴人くんに告白して欲しくない。でもしないでなんて言えない。


どうしてこんなことに。


もし晴人くんと可憐ちゃんが付き合ってるところを見たら、私は耐えられない。転校しようと思うだろう。


そうしないと心が壊れる。



「ありがとうね、穂乃果、恋の相談乗ってくれて。こういうこと相談出来るの穂乃果だけだから。」


「1番の友達だから、これからもよろしくね。」と可憐ちゃんが言う。


可憐ちゃんの言葉は嬉しいはずなのに、それが私にはとても辛い言葉だった。




お母さんまた相談に乗って欲しいんだけど。



「いいけど、まさかまた、晴人君のことじゃないわよね?」


「そうだよ晴人君のこと。」


「穂乃果ちゃん…まさか晴人君のストーカーじゃないでしょうね?」


「違うよー、そんなことしないし。私真剣に話してるんだから、今そんな冗談に付き合えないよ。」


「ならいいけど、うん、なるほど。」



「そんなことが…私だけじゃ解決出来ないから、パパにも相談乗って貰いましょう。

出張から帰ってきてそうそうで大変だけど。」

とおかあさんが言う。


「そうだなぁ、やっぱり可憐さんに真実を打ち明けるしかないだろう。

良く2人で話し合って、恨みっこなしでって、うまーく話しあうしかないと思う。」

お父さんがそう提案した。


「むしろ言わない方が、後々、辛い思いをして関係が悪くなる。なら一層言うしかないな。」


「もちろん好きな度合いによるから一概に言えないけど、パパはそう思うな。」


「穂乃果は彼のことが好きなんだねぇ。」



「うん、大好き。」



「即答か〜なら、黙ってたら、きついだろうな。」お父さんが言う。


「うん、だから恨みっこなしって言っても、それが私に出来るか分からない。虫のいい話になるんじゃないかとも思う。」

私は言った。


「それはどっちの意味かな?

話し合いが難しいと思うのか。

自分は、恨みっこなしでって言っても出来ないから、彼女にそう言うのは、自分が許せないってこと?」


「うん、両方だと思う。」


「それでも、明日学校で話し合ってみるね。」

お父さんにそう、告げた。



「可憐ちゃんちょっと話があるの。」


「なに、穂乃果?」


「実は私も晴人くんが好きだったの。ごめん。」


「それは…そうだったの? ごめんあなたの気持ち知らなくて。

気づかなかったな。1番の友達なのにね。失格だ私。」


「そんなことないよ。可憐ちゃんは1番の友達だよ。だからこうして私の好きな人のこと伝えてるの。」


「うん、でも、それはちょっとずるいかな。そんなこと教えられたら私、告白出来ないじゃん。」


「ううん、だから、お互い恨みっこなしで、告白しようって思って、それで話し合うと。」



「それは…無理だよ。まずじゃあどっちが先に告白するの? 私が先にして晴人と付き合えたら、穂乃果それで平気なの?」



「そんな表情で見られても穂乃果…平気じゃないよね?

それは私も一緒だよ。」


「二兎追うものは一兎をも得ずだよ。友情か恋愛か、どっちかしかないと思うな。ほら穂乃果、そんな目で見つめても駄目よ。」


「でも、私も本音は2人とも大事だから。だからこそなのよね。

ふぅ…分かった。私が我慢するしかないかな。晴人に対する好きを蓋をする。

それでいい?」



「それは…駄目だよ。それじゃ…私だけ得してるだけじゃん。」


「もー穂乃果はどうしたいの? 」


「うぅー私だって分からないよー。」

どうすればいいのだろう、そう自分に語りかけてみたけれど、答えは出せなかった。



「とりあえず私も他の人に相談したいから、しばらく告白は、しない。抜け駆けはなし、ってことでいいかな?」

可憐ちゃんが提案した。


「うん、それでいいよ。

あ…でも…それも難しいかも。

だって抜け駆けなしって言っても、晴人くんの行動は、制限出来ないもん。」



「晴人くんに告白されたら、拒否出来ないもんね、お互い。」私は可憐ちゃんに言った。


「そうね。

どうしよう。」

可憐ちゃんが迷いながら呟いた。

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