第3話図書室で勉強

5月になり、中間テストの時期が来た。

まぁ自分は、大丈夫だろう。それなりに勉強は継続してきたから。


他の生徒は、部活動やらで大変忙しい。その辺自分は、帰宅部だから問題なし。



なので、同じ帰宅部の可憐さんと仲良くなれるチャンス。元々穂乃果繋がりで、結構仲良いけど。


学科の授業が終わり、可憐さんに声をかけた。


「もし良かったら、俺と図書室で勉強しませんか?」

勇気を出して、図書室デートに誘った。



「そうね、テストも近いし、一緒に勉強しましょう。」おお、やった了承してもらえた。


俺は気分が盛り上がっていた。2人で図書室で仲良く勉強。そう思っていたら、可憐さんが耳を疑うようなことを言った。



「どう? 穂乃果も一緒に図書室で勉強しない?」

それを聞いて俺は、がっかりしてしまった。



ああ、でも穂乃果が断るって可能性もあるな。


「うん! 行く!」

と元気よく言われてしまった。



うーん、まぁ仕方ないか。可憐さんと穂乃果親友だしな。



そう思い図書室に向かった。


座る場所は、俺が決めようと思ったが、可憐さんが晴人さんが真ん中がいいと思う。


そう提案され右に穂乃果、真ん中俺、左に可憐さんがそれぞれ座った。



うーん…結構勉強簡単だな。特に教わることもないし、2人のレベルなら、教えて欲しいってこともない。



中学では、部活で忙しかったけど、その後は、ちょっと勉強し過ぎたか。テストは、満点だなこれは。


「ねぇ、晴人くん…私って来てよかった?

いない方が良かったよね?」

と穂乃果が小声でそう言ってきた。



俺はその言葉に、自分の考えを読まれたかなと思った。そして、その言葉に対して、反省をした。



いない方が良かった、だなんて…なぜそう思ったのか。しかしそう考える前に、返事をしなきゃ。



「そんなことないよ、いた方が楽しいよ、きてくれてありがとな。一緒に勉強頑張ろう。」俺は考えを改め。心から反省してそう言った。



「わぁ〜ありがとう晴人くん。うん勉強頑張ろっ。」と満面の笑みで彼女が言った。



その笑顔に少しドキッとしてしまった。これは…まったく…最近穂乃果が顔のことばっかり言うからだな。



俺は可憐さんの方を見た。横顔がとても綺麗で、艶やかな黒髪が、神秘的な美しさを引き出している。



やっぱりドキッとするよね。と自分に言い聞かせた。



「晴人くん、勉強わからないところある?」

と穂乃果が聞いてきた。


「いや…ない。全部分かる」と返事をした。


「凄い〜晴人くん、さすがだね。」


「穂乃果は? 分からないところある?」


「今のところないかな。あったら教えてね。」


「うん。」沈黙が続いていた。


これは…なんか気まずいな。いや…図書室は静かにするのが当たり前だ。


穂乃果は、兄の透と俺に勉強教わって、得意だし、可憐さんは元々勉強出来た。


俺は…いつの間にか出来るようになった。思い当たる節は、人に勉強教えまくって、記憶に定着していったってところだろう。


「今日はやけに静かだね、」話しかけやすい穂乃果に声をかけた。


「うん…ちょっとね…図書室だからって言うのもあるけど、他の理由言えないけど…私が静かで寂しい?」

彼女が上目遣いで聞いてきた。



「うん、寂しいね。穂乃果はうるさくないと、何かあったか心配なるし。」と俺は言った。


「えへへ…そっか…寂しいんだ。」彼女は俺の腕をツンツンと指で軽く突いた。


「こいつ〜」と穂乃果に笑って言った。彼女と戯れあっていたけど、可憐さんに誤解される。そう思って可憐さんを見たが、彼女は、勉強に集中していた。


ほっと俺は安堵した。


「可憐さんずいぶん集中してますね。」と俺は声をかけた。


「ええ、私勉強好きだから、変わってるよね?」

と彼女は言う。



「立派だと思います。俺なんて集中続かなくて、羨ましいですよ。」と俺は言った。



「可憐さんは、アニメとか見ないんですか?」


「見ます! 結構好きでつい夜更かししちゃうんですよね。」


「一旦見ると、集中しちゃって、気づくとこんな時間って驚いちゃうんです。」


「それ分かります!

俺もそれ良くあって授業が眠たくて。」


「ほんとそうですよね。」2人で笑い合った。



俺は可憐さんと30分ぐらい話していた。


「ごめんやっぱりわたしもう帰るね。」と穂乃果が突然立ち上がり、去っていた。


「なんだよ、穂乃果…急に…精神的になんかあったのかな?」


「晴人さん心配ね…穂乃果ほんとどうしたんだろ?」


「ごめん可憐さん、ちょっと穂乃果追いかけてくる。」


「うん、行ってあげて。」


「どうしたんだよ? 穂乃果?」

彼女が振り返ると目を腫らしていた。


「おい…どうした…」と俺がいい終わらないうちに彼女が俺に抱きついて、泣きじゃくった。




「ごめん…面倒くさい子で…追って来てくれてありがとう。」


周りに誤解を与えそうだが…そんな事考えてる場合じゃないな。と考えた。


「うん、それより何かあったの?」

と俺は聞いた。



「うぅ…どうして…」


「どうして?」



「んん、もう大丈夫。可憐ちゃん置いてきちゃったでしょ?

駄目だよ。戻ってあげて。」

そう言い彼女は俺を軽く押した。


「いや…穂乃果も戻ろうよ。」


「うんそうだね。可憐ちゃんも心配してるもんね。」


「そうゆうこと。」と俺は2人で図書室に戻っていった。


その時、可憐さんに途中で会った。彼女も心配して来てくれたようだ。


透の視点


「友達から聞いたぞ、穂乃果泣いて、晴人に抱きついてたんだって?」


「その後に図書室に行ったって。」


「何があったんだ?」

俺は心配して妹に尋ねた。


「うぅ…バレてる。」



「私最初は、図書室で晴人くんとおしゃべりできて、凄い楽しかったの。」



「その後可憐ちゃんと仲良く喋ってるの見て…嫉妬の気持ちが湧き上がってきて、その場に入れなくなって。」

と穂乃果が説明した。



「なるほど、それで辛くなって、その場からいなくなったと。それで晴人が追いかけて来たと。」


「それで? ちゃんと追いかけてきて、お礼を言って告白したと?」


「告白はしてない…の。どうして私の気持ちが、分からないのって思って。」


「それで可憐ちゃんのところに行ってあげてって。

晴人くんが私も図書室に戻ろうって、それでまた戻ったんだけど。」



「ええーそれはお前が悪い。」


「普通はこうだろ?」


「晴人様追ってきてくれてありがとう。」


「前から晴人様が好きでした、付き合ってください。」


「それを妹よ、何故そこで晴人を可憐のとこにやるの!」


「敵に塩を送るなんて…もう。」

と俺は呆れてしまった。



「お兄ちゃん、茶化すか、真面目に話すかどっちかにして。」縮こまりながら妹が言う。



「よーしなら作戦だ。

俺と穂乃果と晴人3人で遊びに行く予定を入れる。そこで俺がギャンセル。そうしたら、2人きりだ。そこで仲良くなる。出来れば告白だな。」



「俺がキャンセルして、それですぐ帰るようなら脈なしだ。」



「でも…それって晴人くんに嘘ついてることになるんじゃ?」


「あのな穂乃果。恋愛は綺麗事じゃないんだ。嘘も方便なんだ。」



「やっぱり…それは嫌かな。それで仲良くなっても…嘘ついて仲良くなっても、気まずさが残るよ。

綺麗事じゃないっていうけど…好きな人に嘘はつきたくないよ。」と穂乃果は拒否した。



そうは言っても、晴人が彼女作ってからじゃ遅いんだぞ。と俺は心で呟いた。



「言うことは分かった、穂乃果の誠実な姿勢は兄としても誇らしいよ。」



俺は余計なことしない方が良いな。陰から応援させてもらうよ。


「うん、心配してくれてありがとう。もう大丈夫。今度同じ場面があっても、冷静になるから。」


「分かった、恋愛は、辛いだろうけど、楽しいこともあるからさ。頑張れ。」と俺は心から応援した。


「ありがとう。お兄ちゃん、お風呂入ってくるね。」



「今日穂乃果ちゃん落ち込んでたけど、何かあったの?」

母が心配して尋ねてきた。



「いやぁ〜青春ですよ。と俺は答えた。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る