第2話告白
穂乃果の視点
「早く晴人に告ったら?
どうせ振られるだろうけど、何も行動しなきゃ、可能性ないぞ。」
お兄ちゃんが言った。
「だって…私の事兄妹にしか思えないって振られると思うと…怖くて無理だよ。」
「私だって自覚してるけど、どうせ振られるって酷いよ。」
「だって晴人は、可憐のことが好きなんだ。でも付き合ってからじゃ、言いづらいだろ?」
「そりゃ…そうだけど…わたしの顔、お兄ちゃんの顔がチラつくとか言ってるし。整形したら可能性あるかな?」
「直すとこないだろ? ってか俺のせいで振られるみたいな言い方だなぁ。」
とお兄ちゃんがため息をついて言った。
「って可憐ちゃんのこと…好きなんだ…晴人くん。」
「分かった。明日告白する。」と私は誓った。
「晴人君私の顔どう思う?」
と私は顔を彼に近づけた。
「ねぇ私整形したら、お兄ちゃんの顔チラつかなくなるから、1人の女性として見てくれますか?」
と私は晴人君に言った。
「直すとこないだろ。そう言うこと、言う口はこうだ。」と彼は私にキスをして、私を見つめた。
と言う妄想を学校でしていた。
「なに、にやにやしてんだよ? 良いことあったの?」
と晴人くんが聞いてきた。
「へ? あ…私の顔どう思う?」
妄想を現実にすべく、私は晴人くんに顔を近づけた。
「顔? 凄い可愛いんじゃないかな?」
と彼の言葉に胸がドキドキしてくる。
「本当に? 私が整形したら、お兄ちゃんの顔がチラつく事がなくなるから、1人の女性としてみてくれますか?」
と私は言ったけど…彼の言葉は、妄想では、言われてないから、私の台詞が、変に聞こえたかな? と思った。
「整形? 直すとこないだろ? 急になんだよ?」
「兄の顔がチラつくとか、そんな酷い事だれかに言われたの?
そんなの気にするなよ。」
と彼は妄想とは違う言葉を放った。
いや…あなたが言ったんですけど…この後なんて言えばいいか…思い浮かばなかった。
「あのさ、穂乃果。整形とか、軽く言っちゃ駄目だよ。色々顔に誹謗中傷された人とかが、真剣に考えることだから。」
と彼に叱られてしまった。
「はい…すみませんでした。」と私は答えた。
結局今日は、告白は出来なかった。
「晴人くんは、私の顔好き?」
「はい? 顔自慢か。学校一の美少女穂乃果さんの顔嫌いなんて言ったら、クラスの男にぶっ飛ばされるな。」
「じゃあ好き? 」
「嫌いではないよ。」
「むぅ…好きって言って?」
「強制?」
彼は笑って言った。
「うん、強制。」
「なんか照れ臭いな。好き。これでいい?」
「心がこもってない…けど、ありがとう。」と私は感謝の気持ち込を込めて言った。
「なんだよ? 昨日から、顔の話ばっかり。穂乃果は顔以外にもいいとこ沢山あるぞ?」
「何か顔にコンプレックスでもあるの?」
「ないけど…ちょっと聞きたかったの。」
「それより他に良いところあるってどんなところ? 教えて。」とおねだりした。
「思いやりがあって、人に分け隔てなく接してるところ、料理上手で、頭も良くて、えーと、物怖じしないで、人にちゃんと自分の意見を言えるところ。」
「手先が器用で、スポーツも出来て、あとはそう! 努力家なところだな。どう? これだけ良いところあるんだ。ってかあり過ぎだな。」
私はその彼の言う事を、真剣に眼を見つめてうっとりとして聞いている。
「それは人によるよー」と声をかけてきたのは、美咲ちゃんだった。
「美しさを求めるのが女性だから、もっと美しくなりたいって思う人もいるでしょー。」
「その考えは、否定しないけどさ、それって際限がなくなって、満足いかなくて、何回も整形してって、結局、本当の自分ってなんだろう?って考えてしまうんじゃないかな?」
「まぁ整形するのは本人の自由ってかなんの話だよ。」と晴人くんが言った。
「ふふ晴人に論破されちゃったわ。晴人の癖に生意気だ。」と彼女は呟いた。
「別に論破してないぞ。」
「それより勉強教えてー今ピンチです。」
美咲がちゃんが晴人くんにお願いしていた。
「生意気って言った人に頼むなよ。」彼が笑って言った。
美咲ちゃん、勉強なら私が教えるよ。と思ったのは、やきもちからだろうか?
私も中学の時には、晴人くんに勉強を教わってた。けど今は…穂乃果のが勉強出来るから、教える事ないじゃん。と言われてしまう。
はぁ…今日も告白出来そうにないや。私は心で呟いた。
さらに次の日。放課後晴人くんに、遠回しに好きな事を伝えるようにしようと思った。
「私が風邪で寝込んだ時凄い励ましてくれて、サッカーの試合に必ず勝つって言ってくれて…それでちゃんと勝ってくれて…その時にその人好きになったの。」
「へーそいつめっちゃイメケンじゃん!
なんでそいつと付き合わなかったの?
高校違ったとか?」
晴人くんが言った。
いやあなたの事なんですけど!
なんで??
中学生の頃の記憶ないの?
と私は心で呟き戸惑いを覚えた。
ここは、晴人くんのことだよって思い出させるべき…だよね。
「晴人くん中学生の頃の事ちゃんと覚えてる?」
「中学の時?
全然覚えてない!
あんまり良い思い出なかったからさ。」
「そうなんだ…全然か…」私はがっかりしてしまった。
でもあなたが言ったって伝えたら、それはもう告白だよね…どうしよう。
でも全然覚えてないって事は、私のことなんとも思ってない…からじゃ?
「じゃあ中学生の頃何も良い思い出ないんだね? 」
私は聞いた。
「そんな事ないよ。穂乃果と透に会えて良い思い出貰ったよ。感謝してる。ありがとう。」と彼は笑顔で言った。
彼の笑顔がとても可愛くて、胸が高鳴るのを感じた。彼を好きになって良かった。心からそう思えた。
「こちらこそありがとうだよ。晴人くんに会えて良かった。お兄ちゃんに感謝だ。」と私は彼に言う。
「なんか照れるな…まぁこれからもよろしく!」
と彼は微笑んで言う。
私は顔を真っ赤に染め恥ずかしくて、「うん」と頷くしかなかった。
そして今日も告白出来なかった。
彼とは同じ中学ではなくて、お兄ちゃん繋がりで仲良くなれた。
「えーまだ告白してなかったの?」
「だって…タイミングが合わないんだもん。」
「タイミングの問題かなー。そもそも中学の時に告っとけば、付き合えたのに。お前は先延ばしし過ぎ。」
「しょうがないから、俺が晴人に告るわ。」
私はお兄ちゃんの背中を叩いた。
「いてっ…冗談だって。」
「真剣な話なのに〜冗談言ってる場合じゃないと思うんですけど!」
私はお兄ちゃんを叱った。
「そりゃ悪かったな。けどあながち間違いじゃないぞ。冗談の前に言ったことは。」
「晴人くんに中学の時にか〜そうかな〜付き合えたかな?」
「ああ、奥手の時の晴人だったら直ぐに良い返事したさ。」
「まぁ…もう手遅れだな。」
「なんでそう言う事ばっかり言うの〜お兄ちゃんのばか。」
「妹よ、俺は現実を教えてるだけだ。」
「でも中学の時に、私の顔お兄ちゃんがチラつくとか言われたんだよ?」
「そんな無神経な事、晴人が言うかな?
お前の勘違いか、聞き間違いかだな。多分ニュアンスの問題とか?」
「うーん、そう言われると…言われたのは間違いないと思う。」
「ならそんな無神経な事言う男に俺の可愛い妹は渡せないな。」
とお兄ちゃんが言った。
「お兄ちゃんが私の心配して言ってくれるのは、ありがたいけど、その一言だけで、無神経とか決めつけるのは、良くないよ。」
「でも言われた穂乃果傷ついてるじゃん。女子を傷つけるような発言は、無神経だろ?」
「もう〜すぐ言い返すんだから。いいの!
好きな人の事悪く言わないで。」
お兄ちゃんに言った。
「なに? 俺悪者にされてない?」
とお兄ちゃんが笑って言った。
「んーお兄ちゃんは、悪者じゃないよ?
お兄ちゃんには、感謝してるよ…こんな事お兄ちゃんにしか相談できないから…ありがとうね。」と私はお礼を言った。
「ツンデレだ! ツンデレの妹を持ってしまった件。」
「も〜どうしてそう茶化すの?」
「いや…茶化さないと、俺泣いちゃうから。」
「え〜そんなことで…泣かないの。」と私はお兄ちゃんの胸を叩いて言った。
「いや…可愛い妹に感謝されたら、誰だって…泣くって。」
「へへ…ありがとう。」照れながら私は言う。
「おう…なぁ告白出来ないなら、惚れさせるしかないよ。晴人から告白させるように頑張れ。」とお兄ちゃんがそう提案した。
「分かった! 私、頑張るね。」ウインクしてお兄ちゃんにお礼を言った。
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