第4話
夕方
女の部屋
静まり返る室内。
星と女、並んでソファーに座っている。
通帳を両手で持っている女。
ひたすらに、開く・見る・閉じる を繰り返している。
女
「……身に覚えが、、ありません。」
星
「くじ、当てたのー。」
女、宝くじのページを開く。
高額当選の文字。
クリックすると1等10億円の表示。
星
「願い、叶ったぁ?」
女
「……多分。」
星
「足りない?」
女
「ううん。」
星
「ほし、触って!」
女
「?」
星
「ムニムニして良いよぉー。」
女、星を摘んでみる。
女
「硬い……?」
星の目が煌めく。
星
「カチカチ?」
女
「ではない。」
萎びる星。
女
「固まりたいの?」
星
「ほし、ふわふわ。」
女
「うん。」
星
「風でふわふわ。落っこちた。」
女
「綿毛、みたいな?」
星
「ほし、願い、叶える。カチカチ!」
女
「じゃないと戻れないの?」
星
「うん。」
女
「……石。」
女、エコバッグをひっくり返して石を出す。
星、石を手にして口に入れる。
顔が萎む。
女
「不味い?」
星
「カチカチ、なりたい。ほし、頑張る!」
女
「……そっか。」
星、女に手を差し伸べる。
女、星の手を握る。
女
「ふにふに。」
星
「……。」
女
「もっと食べたら?」
星
「ほし、死ぬ。」
女
「そうなの?」
星
「……ううん。」
女
「無理すんな。」
星、ずっと苦い顔をしている。
女、星に水を渡してみる。
グビグビ飲む星。
落ち着いた表情を見せる。
星
「まだ、叶ってない?」
女
「……どうだろう。」
女、電話を掛ける。
星、女の様子をじっと見ている。
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