第3話

コンビニ

入り口のガラス扉には、オフィスビルが映る。

入り口の警備員達、無線でやり取りしている。

やがて数人がビルに入る。


本や雑誌コーナー後ろのガラス窓には、オフィスビルの通用口が見える。

通用口から走って出てくるパーカー姿の女。

手には黒いパンプスを持っている。

女、そのままコンビニへ入る。


パーカーを脱ぎながら息を整える女。

飲み物を選んでレジに並ぶ。

一番大きなレジ袋を買い、パンプスと一緒にパーカーを入れ込む。


女、チラッとビルの様子を伺う。

外に警備員は一人だけ。

通用口には誰も居ない。

コンビニをそっと出る女。

そのまま早足で駅へ向かう。






午前中

女の部屋

大きなレジ袋を持ち、息を切らしながら帰ってくる女。

息を整えながらソファーに座る。


「ぐえっ!」

「……。」

「ほし、いじめる、おこる!」

「ごめん。」

「……いいよぉ。」

「何したの?」

「ん?」

「会社!」


女、レジ袋からパンプスを出す。


「お仕事、ないないしたよ!」


嬉しそうに笑う星。

女、ゆっくり目を瞑る。


女「……なってたねぇ。」

星「願い、叶ったぁ?」

女「……。」

星「ダメ?」

女「このままじゃ生活出来ないよ。」

星「なんで?」

女「お金、無くなっちゃう。」

星「あるよ?」


星、鞄を指す。

女、鞄をひっくり返してみる。

何も変わった物は無い。


女「無いよ。」

星「これ見て。」


星、女のポーチを指す。

女、ポーチをエコバッグに入れて駆け出す。

そのまま外へ出て行く。

手を振る星。






銀行のATM

女、記帳をしている。

少し長い待ち時間。


出て来た通帳を見る女。

ゆっくりと通帳をポーチの中に入れる。

競歩の様な素振りで出て行く。


路地

瞳孔が開いている女。

いつもと同じ速度で歩いてはいるが、何処か競歩っぽい。

所々でしゃがんでは何かをエコバッグに入れる。

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