第2話

女の部屋

女、ソファーで眠っている。

眉間に皺を寄せながら目を覚ます。


首と肩に手を置く女。

ガチガチに固い肩回り。

ソファーからドスっと足を下ろす。


「痛いっ!」


女、星を思い切り踏んでいる。

見上げている星と目が合う。

思わず声を上げる。


「ほし、かわいそう!」


ムッとしている星。


「ほし、いじめる?」

女 

「ううん……。」

「良かったぁ!」


星、女の足元で手をパタパタさせる。


「ほし、願い、出来た? 見るの、使命。」

「……。」


星、にっこり笑う。


「ねぇ、叶ったぁ?」

「……知らない。」


星、悲しそうな顔になる。


星をソファーに置く女。

そのまま寄り掛かって寝てみる。


「おもぉい。」

「重い?」

「うん。」

「クッション、、だよね?」

「ほぉーし!」


女、思い切り自分の頬をビンタする。

星、心配そうに頬を触る。

星から離れる女。

少し萎れている星。


女、ゆっくり触ってみる。

星、元に戻る。


「ほし、ふわふわ?」

「……うん。」


星、しんなりする。


座ったまま固まる女。

チラチラ星を見る。

星、特に何もしてない。

しかし、呼吸をしている事は分かる。

真ん中辺りからゴロゴロと音が鳴る。


「何か、、要る?」

「ほし、ほし芋、好きっ!」

「え、何で?」


星、不思議そうに首を傾げる。


「ダメ?」

「いや……。」


女、戸棚から食べ掛けの干し芋を渡す。

星、食べるが口がへの字になる。


「ほし芋?」

「不味かった?」

「あまあま。」


女、干し芋を食べる。

普通の干し芋。


「こんなもんだよ。」

「ふうん。」

「要らない?」

「……分かんない。」


女、何かを閃く。

ハサミで干し芋を星型に切る。


「ほし芋っ!」


星、喜んで食べる。


「ほし、石、ほしい。」

「石?」

「ほし、ほしい。」

「……。」

「ダメ?」

「……明日ね。」


星、全身をパタパタさせる。

女、星に背を向けて深呼吸する。

振り向いてみる。

何度も同じ作業をする女。

やはり、星が居る。


「取り敢えず、、お風呂入るね。」

「ほし、寝る。」

「……。」


寝息を立て始める星。

顔を擦ったりしている。

思わず微笑んでいる女。

そんな自分にギョッとして風呂場へ向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る