星に願いを

@yuzu_dora

第1話

アパートの一室

ソファーに座っている女。

電話で誰かと楽しそうに話し込んでいる。

女、充実した顔で電話を切る。



部屋のベランダ

黄色い何かが落ちている。

女、窓越しで気付く。

星型のクッションらしき物。


女、ベランダに出て取る。

そのまま触ったり揉んだりしてみる。


「ほーし。」

「!?」

「ほーしぃ!」


クッションらしき物をひっくり返す女。

キャラクターの様な目と口が付いている。

口がパクパク動いている。


「……ほ、し?」

「うん。」


暫くの沈黙


「ほし、願い、ほしい。」

「……。」

「なに、願う?」

「……。」


状況が飲み込めない女。

女の腕の中でモゴモゴ動く星。

飛び出して落ちる。


「痛い……。」

「……。」

「ほし、かわいそう、願い、無い、痛いだけ。」


星、声を上げて泣きだす。

女、慌てて星を抱えて部屋に入る。


「……ごめん?」

「願い、する?」

「……。」

「ほし、かわいそう!」


目を潤ませる星。


「あ、え、仕事っ! 仕事要らない! しなくても優雅に生活したいっ!」

「分かったぁ!」


星、ニコニコしながら震えだす。


「待ってぇ!」

「!?」

「やっぱ、えっと……。」

「ん?」

「仕事しなくても楽に生活出来て、面倒な友達関係も無くて……。

でも、大事な人とは仲良しでいたい!」

「いいよぉ。」


再び震えだす星。

ホワイトアウト。

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