靴を求めて

ふさふさしっぽ

靴を求めて

 八月の出来事です。

 私は新しい靴をおろしました。

 去年買ってそのまま履かず、しまっておいた春夏向けの普通のカジュアルシューズです。

「せっかく買ったのだからこの夏はこの靴で過ごそう」

 そう思い、素足にその靴を履き、私は駅に向かって出かけました。


 五分後……。


 駅にまだ着かぬうちに、まさかの靴擦れ……痛い……踵の部分が痛い! しかも両足。

 買ったときに試し履きしたはずなのに、なんでこんなに痛いのか。足がむくんでいるんだろうか。

 とにかくこの靴はもうダメだ。

「家に引き返す」という選択肢もあったのですが、私はそのまま電車に乗り、新しい靴を買うことにしたのでした。


 仕方なく、踵を踏んで歩く。そのまま履いてもよし、踵を踏んで履いてもよし、みたいな2way仕様の靴が今けっこうあるし。

 ……だんだんつま先の方も痛くなってきた。

 この靴は2wayじゃなく、まごうことなき1way……。


 こういう緊急事態のときに限って、いい靴がない。

 痛む足を引きずり、ショッピングモールをおかしな歩き方で彷徨っていると、さくさく歩いている幸せな人たちが恨めし……いや羨ましい。彼らは私の苦痛など知る由もない。突然の腹痛で血眼になってトイレを探しているときに似ている。

 トイレよりはましだけど、だけど踵が痛いーー!

 はやく、靴ーー!

 こういう時に限って間に合わせのほどよい価格の靴が見つからない!!

 じゃあ、カジュアルシューズじゃなくて、サンダルはどうだ?

 サンダルなら、安く売ってるんじゃないか、安いなら、多少デザインは好みじゃなくても目をつぶろう。すると。


(安いよー)


 と言わんばかりに、安心価格のご近所サンダル? がショップの入り口に陳列されていました。近場に出かけるには充分だろう。

 普段選ばないようなデザインだったけれど、足が悲鳴を上げている。踵止めがないタイプの余裕をもったつくりのサンダル。これなら靴擦れは起きまい、と私はそれを買うことにしました。


 疲れ切っていて、店員さんに「タグを切って下さい」と言うのを忘れ、100均でハサミを購入しなければなりませんでした(笑) 近くに100均があってよかった!


「あ、あの人靴擦れで靴履き替えてる(笑)」とか思われたくない私はトイレでひっそりとサンダルに履き替え、踵が潰れた旧靴に別れを告げ、晴れ晴れとした気持ちでトイレを後にしました。


 サンダルで街中を歩くのは久しぶり☆

 これがなかなか快適! 足が涼しい。楽ちん~。サンダルよ、今まで敬遠していてごめんよ、サンダル履くと足の爪ちゃんとしなきいけないから今まで面倒くさかった!

 思いがけない靴擦れが、新たな出会いを生み出す……女性向けライトノベル風なタイトルを付けるとするなら「え? 嘘でしょ、靴擦れ!? 痛む足を引きずりながらも私は新たなサンダルとの出会いを果たす、サンダルは私の足を優しく包み込む――」という感じです。

 さっそくペディキュア用にマニキュアを買う(ややこしい)。

 100均で大人の落ち着いたベージュ色を選んだけれど、家に帰って塗ってみたらドブ色みたいでした……(^▽^;) もったいないからこの夏はドブで乗り切りますけど!

 サンダルが快適だからいいや~。


♦♦♦


 九月も下旬に入りまして、そろそろサンダルは終わりかな? と思っていますが、まだまだ暑い! 普通に半袖、まだまだ夏仕様です。

 サンダルが長く活躍しそうで良かったです。何気に雨の日も早く乾くし。

 


 


 

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