第12話 二人に最高の思い出を!準備中
早速、催しの案として、祭りを提案すると、盗賊そろって首を
なるほど、この世界には祭りというのがないのか。
なら、説明する必要があるな。
俺は祭りについてしっかりと
「あの、ボス」
「なんだ、フユナ」
「それ、3日間だけじゃ足りないと思います」
「ふん、フユナ、お前は勘違いしている。別に俺が言ったとおりにする必要はない。あくまで今できる範囲内でやってくれればいい。ゆうなれば、プチ祭りだ」
「なるほど、限られた範囲内で準備するってことですか…………それならできそうです」
「よし、なら今すぐかかれっ!時間は限られているっ!!」
「はいっ!!!!」
祭りといっても、それほど大きくする必要はない。
なぜなら、ノータとミストンさんに楽しんでもらえればいいからだ。
われながら、自分の才能がまぶしいな。
キリッ!
とした様子を見てフユナは目を輝かせながら。
やっぱり、ボスはすごいな~~~~。
っと尊敬のまなざしを向けていた。
□■□
宿に戻ると、ノータとミストンさんが楽しく会話をしていた。
邪魔するのはさすがに駄目だよな。
入口の隅でタイミングを計らっていると。
「何をしているんですか?」
アルルが声をかけてきた。
「うわぁ!?び、ビックリした」
気配もなく突然声をかけられて、思わず、ライン・シノケスハットらしからぬ声をあげてしまう。
「ご主人様のびっくり顔、貴重ですね。しっかりと脳内にやきつけないと」
俺は頭を軽くたたく。
「焼き付けなくていいわ。それより、二人の様子はどうだ?」
「いてて……楽しくしてますよ。ただ、ミストンさんの容態は少し良くないかもしれません。時間が経つにつれて咳が目立ってて」
「そうか…………」
やっぱり、悪化しているな。
なら、早めに相談する必要がありそうだ。
「わかった」
俺は二人の間に入るように姿を見せた。
「これはこれは、ラインさん」
「ラインっ!!」
「楽しい会話の最中すいません、少し容態を確認させてください」
ミストンさんの右手を触り、自身の魔力を使って、治療を施した。
「これで少しは咳がよくなるはずです」
「わざわざありがとうございます」
「いえ、それとノータ」
「なに?」
「夜に少し二人で話そう。少し大事な話があるんだ」
「わかった」
「それじゃあ、お二人ともまた」
二人の空間から出てすぐにアルルが瞳を輝かせながら声をかけてきた。
「大事な話って何なんですか?」
「ん?気になるのか?」
「それりゃあ、ご主人様の専属メイドですから、気になります」
「…………まだ秘密だ」
「ええ~~~~」
「なに、すぐにわかることだ。それより、引き続き二人のことは頼むぞ」
「わかりました」
容態を見た感じ、5日間ぐらい。
下手に体を動かさなきゃそれぐらいは持つだろう。
それまでに都市アルキナでの初お祭りを完成さないとな。
そのためにもやっぱり、必要だよな、お金と食材が。
□■□
その日の夜、ノータが俺のところに姿を見せた。
「思ったより、早いな」
「お母さんが眠ったから…………」
「そうか」
「それで、だ、大事な話ってなに?」
「ああ、簡潔に言うとお母さんを救う方法についてだ」
「え?でも、ラインは助からないって」
「ああ、助からない。今だとな」
「い、今?」
「俺の考えだが、5日後、お母さんには仮死状態になって眠ってもらおうと思っている」
「か、仮死状態に!?な、なんでそんなこと?」
「動物は冬眠という時期があることは知っているな」
「うん。動物たちが冬を越すときにおこうなう行為だよね」
「そうだ、その状態になると病気の浸食を遅らせることができる。つまり、お母さんには冬眠状態に近い、仮死状態になってもらう。治療法が見つかるまでな」
「でも、そんなこと可能なの?そもそも仮死状態にするには氷魔法が必要だし、それにかなり魔力量と保存場所だって…………」
「それなら問題ない。だが、それを行うにはノータ、お前の力が必要だ。協力してくれるな?」
「お母さん、助かる希望があるなら、やりますっ!」
即答だった。
「よし、そうと決まれば、早速、魔法の時間だ。ついてこい」
訪れた場所はノータとミストンさんがかつて暮らしていた場所だった。
「きれいになってる」
瓦礫の山はすでになくなっており、辺り一面、きれいになっていた。
少し歩き、ミストンさんが閉じ込めれていた地下室に入った。
「ここで何をするんですか?」
「ここでミストンさんには仮死状態になってもらう。そのための下準備として、ここの温度を0度以下まで下げて、それを保つ空間を作る。そのために、必要なのが」
「魔法ーーーー」
「そうだ。この環境さえ、完成すれば、あとはミストンさんを仮死状態にして、保存するだけだ。というわけで、今日は寝かせないぜ」
っと親指を立てる。
「望むところですっ!!」
やる気満ち溢れるノータの姿。
できれば、ツッコミがほしかったと思った。
気がつけば、朝が昇り始め、かつてミストンさんを閉じ込めていた空間は0度以下の極寒になっていた。
「こ、これでだ、だい、じょうぶな、はずだ」
「ぶるるるるるる、あの、もう出てもいい?さ、寒いです」
「そ、そうだな」
外に出るとまるで天国かと、幸せな気分になった。
「あったかいって素晴らしいな」
「素晴らしいです」
すると、こ一人のメイドが手を挙げて、走って向かってくる。
「二人とも~~~~~ここにいたんですか?」
「アルルか、どうした?」
「どうしたも何も、二人とも見当たらなかったので、探しに来たんですよ」
「そうか、ご苦労さん」
「ごくろさん」
「ご苦労さんでも、ごくろさんでもないですっ!!」
「それじゃあ、ノータのことは頼んだぞ。俺はまだやることがあるからな」
「や、やることですか?」
「ああ、それじゃあ、ノータ。またな」
「はいっ!今日はありがとうございますっ!!」
「気にすんな。アルル、後は頼んだぞ」
っと投げるように俺は都市アルキナの中心部に出向いた。
□■□
中心部の貴族が住んでいた家の中に入ると、ブタブル・チェルナーが机に向かってしっかりと働いていた。
「ボスっ!おはようございますっ!」
「ああ、フユナか。あれはなんだ?」
「働かせているんですよ。まぁ体力もなく外仕事は無理だったので、事務仕事なんですが」
「なるほどな」
よくまぁ、あんな奴を使おうと思うよな。
いや、あれでも一応、貴族だ。使えなくはないのかな、多分。
俺にはわからないけど。
「それはまぁ置いといて、準備は順調か?」
「はいっ!思った以上にみんなやる気を出してくれたので、早ければ明日には準備できそうです。あとは食材があればっ!いつでも始められます」
「す、すごいな」
「ええ、寝ずに働いたのでっ!!」
「え…………」
寝ずに働いてるの!?
それはさすがに、どうなんだ?
今後も組織としてしっかりと利用したいし、無理させすぎるのは今後の悪影響になりかねない。
「そうか、でもしっかりと休みもとれよ。体は資本なんだから」
「はいっ!!」
「あと、これ渡しておくよ」
俺は大金をフユナに渡した。
「こ、これは!?」
「食材費とお前たちの給料だ。働いているのに、見返りがないのは嫌だろ?俺の傘下についた以上、損はさせない」
「あ、ありがとうございますっ!一生ついていきますっ!!」
「それじゃあ、また明日来るよ」
「はいっ!!!」
こうして、準備順調に進んでいった。
そして、2日後、ついに最高の思い出作りが始まった。
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