Bさんの話『スマホに映る……』

 トイレってなんか落ち着かね?

 あの狭さがたまらんのよな。

 こないだも意味もなくトイレにこもってスマホでゲームしてたんよ。

 バッカいいんだよ、それが一人暮らしってもんじゃん。

 んでだいぶこもった後、ゲームがローティング画面になったんさ。

 あるじゃん?

 右下に『ローディング』って出て、画面が真っ暗になるとき。

 そしたらさ、真っ暗になった画面が鏡みたいに俺の顔を映したわけ。

 そこにさ、居んのよ、知らん顔。俺の真横。

 大体こういうときって恨めしそうな女の顔って言うじゃん?

 ちげぇの、めっちゃ怒った顔のおっさん。

 思わず「うっわ!」って悲鳴上げたわ。

 ほんで、スマホ落としたんさ。

 でもそんなことかまってる暇ないわけ。

 横見たら居んのよ、半透明だけど実在すんの、おっさん。

 ビビッて立ち上がって、逃げようとしたらさ、最悪なんよ。

 スマホ踏んだんさ。

 そしたら画面に蜘蛛の巣みたいなヒビ入ったんよ。

 その瞬間、俺の横のおっさんにも蜘蛛の巣みたいなヒビ入ってさ。

 血ぃ吹き出して、なんか「ぐぇ」みたいな声出してさ、消えたんよ。

 マジでウケる。

 スマホ変えたら出なくなったけど、あれスマホにとりついてたんかな?

 それとも俺が踏んだせいで死んじゃったかも?

 いや、幽霊だしもう死んでるか。

 知らんけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る