第3話
そうして、避け続ける生活もいつしかは限界を迎えてしまうもので。
「あっ。あの。もしかして、よっちゃん?」
そう。呼びかけられた。
さすがに呼びかけられて逃げることはできなかった。
「えっと、靖樹?」
わざとそんな反応をすると。
「帰ってきてたんだね! 教えてくれてればよかったのに。」
「そうだね。」
そう言われると何か申し訳ない思いになる。
まるで昔に戻ったような気持ちになる。
「今までどんな感じだった?」
「ああ。そうだな。」
そうして彼と話をしていると、昔に戻った気分になる。
彼も昔のように元気に見える。
そう話しながら共に帰るのも懐かしかった。
話す一言一言、共に踏み出す一歩一歩。それは、自分を戻すように感じた。
でも、その空間にとどまることは、何にもならない。
いいや。ダメなことだ。
そもそも、全く同じであることは、人間が成長する以上不可能なことだ。
だからこそ、何か
ならば、最初から
「そういえば、靖樹って何をしていたの?」
「だから、部活を。」
「そうじゃない。俺は元々お前が学校にいたのは気づいてた。その上で言う。何をしていた? 何があった?」
そう言われた彼は。黙り込み、そして、歩みを止めた。
「僕の家に来てくれる?」
「もちろん。」
それから、彼の家に向かうまではお互いに無言だった。
そうして、懐かしい彼の家に着いた。
彼は鍵を開け、扉を開き、手招きをしながら。
「どうぞ。」
ただその一言を言った。
「お邪魔します。」
そうして、家に入り、靴を脱ぎ、上がってすぐに招かれたのはリビングだった。
そのリビングは、多少の家電の違いがあったが、それ以上に気になるもの。あの時にはなかったものがそこにはあった。
仏壇だ。
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