第2話

 あれから何年も経ち、またあの地に戻ってくることになった。


 彼は今も僕のことを覚えているのだろうか。


 覚えていてくれたらうれしいな。


 そう思いながら、新学期に向けた準備をしていた。


 高校生となるこのタイミングで戻ってくることになったから、少しは気が楽だ。


 転校生とかだったら、もともとここで住んでいたとしてもめんどくさそうだし。



~~



 そうして始まる高校生活。


 それは、意外と普通だった。


 あの? ここってド田舎というわけではないけど、学校の数とか結構少ないよね?

 なんで普通なの? 中学同じだった人がほとんどじゃないの?

 知らない人が一人いるんだよ?


 まあ、それでも、ほどほどに仲の良い人物を作り、学校生活を送り始めていた。


 一度も幼馴染と会うことはなく。


 それにしても、こんなにも会わないことがある?

 ねえ、一学年3クラスだよ?

 一度くらい会ったりしない?


 そもそも高校に入学してない?

 そんな疑問も湧いた。


 でも、そんなことはなかった。

 新入生同士の交流会という目的で行われた行事でいることを確認できたからだ。


 そのときの姿は、あの頃とはあまりにも違う姿でいた。


 あの頃は、僕と一緒によく遊んでいていつも元気な感じだった。

 けれども、今は、何というか。暗い。内気な感じだった。


 一体何があったのか聞きたかった。

 でも、怖かった。


 それが、自分を変えてしまうようで。


 そうやって、幼馴染と会わない言い訳を作り、接触しそうな機会があっても、距離を取り続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る