第3話 光に消えた孫娘
これで晴れて俺も【なろう系】の主人公だな。
謎のカードから出て来る召喚獣を遣う召喚術士、それがこの俺結城健太郎(ゆうきけんたろう)だ。
結城「悪くはない」
その時事務所のインターフォンが鳴った。
結城「はい」
???「ああ!結城様…!私です佐伯です」
佐伯、か。
つい先日孫娘の駆け落ち調査を受け解決した、また失踪とでもしゃれこんだか?
結城「どうぞ」
…
…
…
佐伯「と、言う訳でございます」
一話のオマージュ的なのは終盤でやるべき手法だ。
だが今回の内容は全く新しい。
結城「成程、今度は佐伯さんの目の前で孫娘さんが消えたと」
佐伯「左様でございます…、強い光と共に…この世界から消えてしまいました」
強い光…か…。
俺は胸ポケットのカード手に取り、入り口の壁に向かってそれを飛ばした。
閃光。
そして女。
佐伯「あ…あの結城様何をなさって…?」
結城「佐伯さん、後ろの【あれ】は見えるか?」
見えていないのは分かっている、が一応確認をしてみる。
リリア「あわわわ…ご、ご主人様ぁ…」
佐伯「いえ…何も…一体どうされましたか」
結城「いや良いんだ。それよりコーヒーを淹れよう」
俺は立ち上がるとリリアの元に向かった。
リリア「見えて無くても…一応恥ずかしいんですからぁ…」
結城「こっちに来い」
台所にリリアを誘導する。
結城「色々お前に確認したいが、とりあえずあの依頼主の話を一緒に聞いてくれ」
リリア「は…はい!わかりましたご主人様」
この召喚獣が現れた後に謎の事件、いちいち考察しなくても不思議な異世界ネタなのが分かるだろ。
結城「佐伯さん、コーヒーだ」
佐伯「ありがとうございます…それで結城様この依頼は…」
結城「受けても良い、ただしそれなりの費用は頂く」
佐伯の孫娘はあれから度々佐伯と会っていた。
親には反対されているので佐伯に彼氏との結婚について相談していたらしい。
しかしある日その話の最中、孫娘は光に包まれて消えたらしい。
そういえば相手の男はどうした?
結城「佐伯さん、相手の男はどうしてるんだ?急に交際相手が失踪したら大騒ぎだろ」
佐伯「それが……彼もその日から連絡がつかないのです…」
また、か。
まさかとは思うが、佐伯が孫娘可愛さのあまり…、は考えすぎか。
だが冷静に考えると光に包まれて人が消えるか…?
召喚獣の影響で非日常感満載だったから惑わされたが、普通に事件の予感がする。
結城「…単刀直入に言う。前回は孫娘の狂言だった、そして今回は佐伯さんが絡んでいないか?この失踪」
佐伯「な……」
図星…のようだな。
結城「この件は受けられない。そして聞かなかった事にする、今後俺に関わるな」
佐伯「確かに私のせい、かもしれませんな…」
結城「……」
佐伯「孫娘…夕子(ゆうこ)の手に触れた瞬間消えてしまったのですから…」
結城「!」
リリア「それって…ご主人様…」
まさか、召喚獣…なのか夕子は。
しかしそれだと辻褄が合わない。
夕子は確かに【存在】していた、人間として。
服も着ていたし周りからも見えていた。
もし夕子が召喚獣ならこの佐伯と言う老人、召喚術士と言う事になる。
事件性よりも好奇心が勝った瞬間だった。
結城「まあ狂言にせよなんにせよ、頂くものを頂ければ調査はしよう」
結城「色々と疑われていても良いのであれば、な」
もし召喚士絡みであれば俺の出番だろう。
こう見えて俺は中二病だからな。
佐伯「お…お願い致します…!」
結城「手付金の振り込みが確認出来しだい調査開始だ、まずは最後に孫娘と会った場所を案内してもらう」
佐伯「よろしくお願いします…何としても夕子を探して下さい…」
…
…
…
佐伯は何度もお礼を言いながら帰って行った。
失踪犯の疑いが掛かっているのにも関わらず。
結城「リリア、どう思う」
全裸の美召喚獣に話しかけた。
リリア「あ、あの…もしその話が本当ならやっぱり本星(ほんぼし)と関係あるかもですぅ…」
結城「本星…?木星とかの仲間か?」
リリア「ええっと…ご主人様のいるとこが異世界で、私たちがいるとこが本世界、本星です…」
成程、実はこっち側が本星が作った?的なクローン惑星でみたいなオチか。
そうなると佐伯の孫娘は異世界で消えた事になる。
SFとしてはありがちな結果だな、では皆さんありがとうございました。
結城「状況は何となくわかった、後は俺らの関係って言うかお前に関するルールとか全部教えてくれ」
…
…
…
召喚士は召喚端末、要するにこのカードを使用して【自分が所有する召喚獣】を使役出来る。
召喚士がカードに触れた後カードに衝撃を与える事で召喚獣を呼び出せる。
衝撃の直前に触れている必要が有り、その前に【別の召喚士】に触られると無効となる。
召喚獣は呼び出した召喚士にしか見えない。但し召喚獣同士はお互いを認識出来る。
召喚獣は異世界(俺らの居るとこな)で物や人等多くの存在に干渉出来ない。
召喚士が自分の召喚獣に触れる事で召喚獣はカードに戻される。
等など
結城「続きはまたにしよう…猛烈に眠い」
リリア「はい…!召喚はご主人様の一日分の疲労の半分以上に相当しますから…」
結城「連発はやばいってのはわかっ…た…」
リリア「召喚中はずっと疲労してしまいますので…」
結城「その…ままにしてると…どうなる」
リリア「私が消えた後に最悪カードが割れてしまいますぅ…だから」
リリアが拳を向けて来た。
だが俺はそれを無視してリリアに抱き着いた。
リリア「あ…、ご、ご主人様ぁ…」
リリアが光に消えると同時に俺の意識も飛んだ。
―続く
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