第5話 お芋料理を作ろう②
お芋料理を作るために、屋敷に戻ると早速厨房を使わせてもらう。
私一人では危険だからと、レノアさんとリリも一緒だ。
「エルシー様。何をお手伝いしましょうか」
「そうね、リリはお鍋にお湯を沸かして芋を大量に茹でてちょうだい」
「かしこまりました」
私はリリに指示して、大量のジャガイモを茹でるようにお願いする。
そしてレノアさんには別のお願いをする。
「レノアさんは熱々の油を用意してください。植物油でお願いします」
「植物油……ですか。菜種油でよろしいでしょうか?」
「はい!」
レノアさんが油を用意している間に、私は生のジャガイモをくし切りにスライスする。
そしてボウルに水を張って、スライスしたジャガイモを浸けておくこと十分弱。
菜種油が熱々になった頃合いを見測り、ジャガイモを水から出して水分をしっかり取り除き、小麦粉をまぶして油の中に投入する。
「エルシー様、一体何を……!?」
当惑するレノアさんやリリを後目に、カラっと揚げること二分半。
油から取り出したジャガイモは、見事なフライドポテトになっていた。
「リリ、お皿を用意して。レノアさんは、この料理を盛り付けて」
私はフライドポテトが盛られた皿をテーブルに並べる。
「い、芋を油で揚げるなんて……」
「リリ、塩を持ってきてちょうだい。あとレモンも」
「はっ、はい!」
リリが持ってきたレモンの果汁と塩で味付けする。
……うん、おいしい!
シンプルに塩コショウだけでも十分だけど、個人的にはフライドポテトにはレモンが合うと思っている。
「さあ、リリもレノアさんも食べてみて」
「は、はあ……」
私が言うと、レノアさんは恐る恐るフライドポテトに手を伸ばして口へと運ぶ。
サクッ。
「! これは……!」
私の作ったフライドポテトを食べた途端、レノアさんの表情が変わった。
「なんですか、これは……これが本当にあのパサパサで味のしない芋なのですか!?」
「美味しいですっ! 私、芋を揚げたお料理なんて初めて食べました!」
「でしょう? お芋は揚げるとおいしいのよ」
二人ともお皿に盛られたフライドポテトをパクパク食べている。
うんうん、分かる分かる。
フライドポテトって一つ食べたら、やめられない止まらない状態になっちゃうのよね。
「……はっ! 失礼しました。旦那様に提供するお料理だというのに……」
「いいえ、構わないわ。美味しそうに食べてもらえると作り甲斐があるもの」
「エルシー様……なんと御心の広い……」
「それにお芋は沢山あるし、フライドポテトならすぐに作れるわ。だから遠慮しないで食べてね」
「はい……ありがとうございます、エルシー様」
「フライドポテト、とっても美味しいです。エルシー様、感謝します!」
「リリも喜んでくれて良かったわ」
でも、私のジャガイモ料理はこれだけじゃない。
二人がフライドポテトを食べ終わるのを見て、私は口を開く。
「さあ、フライドポテトの他にもおいしいお芋料理を作りましょう」
「「はい!!」」
待っていてください、ラウル様!
今夜の食卓には、あなたが今まで食べたことのないおいしいお芋料理を沢山並べて見せますからね!
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