第018話 エッチじゃないのにエッチな鎧(解せぬ……)

 葵ちゃんも乗り気なようなので、今回入手した知識ポイントは『近隣の探索』の用意に使うことに。

 まずは移動手段であるトラックの燃料をどうにかしないと身動きが取れないので『燃料生成』の技術から。

 でもこれ、『古代技術』とか『MODの付随技術』じゃなく『近世技術』だから『電気工学』ってルートスキルを研究してからじゃないと入手出来ないんだよなぁ……。

 いや、電気工学は欲しいんだよ?でもルートスキルだからお高いのか、それだけで10ポイント必要という……燃料生成取れないじゃん!


 そもそもの話トラックってバイオ燃料で走るのかな?俺、乗り物系のMODは入れてなかったから燃料生成ってほぼ使ったこと無いんだよね。

 発電は『火力発電(木材とか石炭を使用)』か『地熱発電』を使ってたし。

 うーん……どうしよう?もしかしたら迷宮関連で何かのミッションがクリア出来るかもしれないし、先に迷宮の探索から……。

 いや、『技術:中世の衣装』の上位互換である『MOD:皇帝の仕立て屋』が同じポイントで取れたように、燃料に関してもそういうMODがあったかもしれないな?


(システィナさん、ちょっと質問があるんだけど?)

(……)


 ……あれ?反応がない?


(えっと、システィナさん?)

(ふんっ、どうせ私はヤりたい時にしか相手にされない都合のいい女なんですよ)

(何この子面倒くさい……じゃなくて、いや、確かに最近農作業ばっかりしてたし、全然質問とか無かったからご無沙汰だったけれども)

(ただのスターワールドシステムジョークですのでお気遣いなく)


 なんだそれは……。


(それは何より。えっと、燃料についての質問なんだけど、俺のトラックってスターワールドで生産出来る燃料、『バイオ燃料』でも動くのかな?)

(はい、貴方と一緒にこの世界に転移する際に貴方の『所持物(アイテム)』としてスターワールドシステムの影響を受けておりますので問題なく稼働いたします)

(なるほど、それは良かった……あと、バイオ燃料って研究の燃料生成以外で、出来れば消費する知識ポイント低めで手に入るMODってあるかな?)

(MOD検索:バイオ燃料:……貴方が必要としている調味料の生産MODで、『発酵食品(くさいはうまい)』を入手すれば原始的な竈門でのバイオ燃料の生産が可能となるようです。消費ポイントは3となっています)


(むっちゃお安いじゃん!てか、燃料が入手出来る上に調味料まで作れるなら迷う要素がないんだけど。てかこれ、自分でMOD探すんじゃなくて最初からシスティナさんに相談してればもっと効率的な取り方が出来たんじゃ……)

(スターワールドシステムは他のどのシステムよりも優秀ですので)

(ついで……って言うのもなんだけど、今の環境で生産できる武器防具のMODでオススメとかないかな?銃があれば最高なんだけど)

(MOD検索:装備品:……銃器に関しましては『電気工学』が研究されておりませんので『MOD;鉄砲伝来(以後よく広がる……それ、キリスト教や!)』(消費3ポイント)での『火縄銃』の生産以外は不可能です。しかし、鉄砲伝来では、火縄銃しか追加されませんので、『各種鎧の生産』と『鉱石の加工』も可能となる『ドワーフの工房(頑固おやじとロリ少女)』(消費3ポイント)でクロスボウを生産することをオススメします)


(なるほど……確かに火縄銃しか作れないとかもったいなさすぎるもんな……じゃあその二つと……香辛料追加のMODでいいのあるかな?)

(MOD検索:香辛料:……貴方がいつも使用されていた『香辛諸島(スパイスランド)』で問題ないかと思います)

(じゃあその三つを追加で!)

(了解しました、MODを3点追加します)


「なんか調味料を作るMODでバイオ燃料が生産出来るみたいだから『発酵食品(くさいはうまい)』と、葵ちゃん用の飛び道具とエッチな鎧も作れそうな『ドワーフの工房(頑固おやじとロリ少女)』と、ポイントに余裕……は無いけど、料理の味にもっと幅を持たせたかったから『香辛諸島(スパイスランド)』を追加した」

「結局ほぼ食べ物関連じゃないですか……あとエッチな鎧は着ませんからね?というか、味噌や醤油とバイオ燃料が同じ扱いって何なんですか……」


 ちなみに『発酵食品』、お酒も色々と作れるようになる優れものだよ!……まぁ俺、下戸だから好んで飲むことは無いんだけどね?

『香辛料』も大量に追加されるってことで、技術『中華の木人』も入手、これで知識ポイントは0。相変わらずの自転車操業具合である。



 ビーチク……備蓄されている『各種植物油』を竈門で調理?処理?することによりバイオ燃料が生産可能となった俺。

 もちろんそれなりの量を確保してからじゃないとガス欠が怖くて遠出なんて出来ないので農作業の合間合間に葵ちゃんの装備品も整えることに。

 完成したそれは『風の吹いてる谷でナニするアニメに出てきたお姫様』のような『鱗鎧と板金鎧を足したようなデザインの全身鎧』。

 試着とフィッテイングも兼ねて、さっそく葵ちゃんに鎧を身に着けてもらう。


「なんといいますか……一昔前のMMORPGみたいな鎧ですね?見ためは凄く重そうですのに想像以上に重量を感じませんし動きを妨げないのは水玄さんの技術なんでしょうか?」

「……」


 その姿のままでピョンピョンと飛び跳ねたり、腰に差した剣を抜き放ったり、ラジオ体操のように体を折り曲げたりひねったりを繰り返す彼女。


「貴方のことですからエッチなソシャゲのような鎧、風が吹くだけで色々と見えそうな、布が乗っているだけのような防具を作るのではないかと思っていたんですけど、想像以上にまともな装備品が出てきて少し驚いているんですけど」

「……」


「まぁそれでもかなりピッチリとボディラインが浮かび上がるデザインではあるんですけどね?」

「……」


「もう!何か言ってくださいよ!」


 いや、最初から美人なのも、スタイルが良いのもわかってたことなんだけどね?

 こうして鎧を着込んだその姿、どこの国の姫騎士様だよって感じでさ。

 思わず跪きそうになるほどの凛々しさと神々しさ……。


「何ていうか、あまりに似合いすぎててワロタ」

「似合ってるなら笑うんじゃなくて素直に褒めるべきだと思うんですがねぇ?」


 てことで葵ちゃんの装備品、体には『全身用鱗鎧(ぴったりフィット女性用)』を纏い、腰には日本人なら全員知ってると言っても過言ではないほどにお馴染みの『バスタードソード』、サブウエポンとして『大型クロスボウ』となっている。

 数回作り直した甲斐もあり、全部『良品』だよ!

 うん?俺の分の装備品?もちろん最初から持ってる『SMF-04式レーザーライフル』と『SMF-03式強化軽装』ですが何か?

 二人で並んだ時の違和感は半端ないけど気にしてはいけない。


 こうして二人の旅立ちの準備は整った!!……いや、旅『立ち』はしないんだけどね?迷宮の入り口までは5キロくらいだし。


「そういえばパーティって組めるんですかね?」

「うん?何人かで一緒に行動すればそれはもうパーティなんじゃないの?知らんけど。それとも『二人だからペアじゃん!』とかそういうことがいいたい感じ?」

「私を揚げ足取りのいけ好かない陰険生徒会長みたいにいうのは止めてください!いえ、そうじゃなくてですね。ほら、どんな理由なのかは分かりませんが入手経験値が増えたりとか、誰が魔物を倒してもその場に居るメンバーなら全員経験値が入手出来るとかそんな感じのパーティです」


「何その『人という字の支えられてる方』みたいな便利な関係……。確かにレベル上げにはもの凄く便利そうな機能だけど、残念ながらスターワールドにはそんなシステムは無かったよ?」

「そうですか……もしかしたらワンチャンあるかなと思ったんですが……そんな都合のいい私甘やかしシステムなんてあるはずが……水玄さんっ!あった!ありましたよ!ほら、私のステータス画面に『パーティを組む』っていうボタン?を発見しました!」

「お、おう、無駄にテンション高ぇな……でもそれが葵ちゃんが思っているパーティかどうかはまだ分からないからね?少し落ち着こう」


「あー……確かにそうですよねー……とりあえずパーティ申請飛ばしておきますね……」

「知り合いの女子高生のテンションの乱高下がまるでエアポケットな件。てか、葵ちゃんをスターワールドのコミュニティメンバーには出来なかったから、俺も葵ちゃんのパーティメンバーになれるかどうかまだ分からない……なんか『葵が立てたパーティ『美少女✩ヒロイン’s』に加入しますか? Y/N』って画面が浮かんでるんだけど……とりあえずネーミングから地雷臭が半端ないから入りたくないんだけど……」

「つべこべ言わず!どうぞ!」


 まぁ何事もなく浮かび上がる小さな小窓の『Y』をタップするだけで加入させられたわけだが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る