第011話 『スキル』も『MOD』も選んでる時が一番楽しいよね?
まぁそんなことよりも今はMODである!とはいえ、俺がいつもゲームで使っていたようなモノとはたぶん違う
(基本的には同じ技術をカスタマイズした上で再現しております)
「同じのがあるんだ!?」
「むぅ!貴方、私を無視してまたシスティナさんとお話してますよね?まったく、一体どういう了見なんですかね?」
「おかんに電話してるだけでヤキモチ焼く彼女みたいな反応やめて?」
(私はあなたの母親ではありませんが?)
「私はあなたの彼女ではありませんけどね?」
息ぴったりだね君たち……。
マジかよ……俺はそこまでゲーム性を壊すようなMODは使わなかったけど、かなり凶悪なモノもあったハズ……これもうチートし放題なんじゃ!?
(性能により獲得に必要な知能ポイントが変化いたします。具体的には1ポイントから530000ポイントです)
お前それ53万言いたかっただけやろ!
そもそも結構な量のミッション報酬もらっても『17』ポイントしか残高がないのに『53万』とか貯まるわけないじゃん!
そんなシスティナさんの情報にちょっとだけ落胆、それ以上のワクワク気分でMODリストを開く俺。
そこにはずらずらと大量に並ぶ……機能一覧表。
「うわ、すご……凄いんですかねこれって?こう、タイトル一覧だけ並べられても何のことなのかまったくわからないんですけど……」
「確かに名称だけ、それも英語表記だと何がなんだかわけがわからないよな」
(日本語変換を行い、関連する能力ごとに整頓、それらに当てはまらない場合は新い分類の追加をおこないそれぞれに仕分け、説明文から推測したサムネイル画像での表示をいたします)
至れり尽くせりだな!?さすが俺たちのお母さ
(爆破しますよ?)
よっ!バリキャリ!出来るお姉さんっ!
「いきなり画面が切り替わったと言いますか某動画サイトみたいな画面になったんですけど!?」
「システィナさんはとても気遣い出来る素晴らしい方だからな!プレイヤー目線に立ってUIをカスタマイズしてくれるとか神運営だよな!」
「何ですかその雑な褒め方……もしかして脅迫でもされてるんですか?」
「葵ちゃんってたまに凄まじい勘の良さを発揮するよね?ていうか『閲覧履歴にもとづくオススメ』ってなんだよ、そんな性癖をオープンにしちゃうような機能いらねぇよ、あと履歴も何も、初めて開く画面のはずなのに必要そうなMODが順番に並んでるって何なんだよ」
(あなたのこれまでのスターワールドプレイ履歴より予測いたしました)
ちょっと気づかいが出来すぎじゃないかな?
今の俺、『一人暮らしの家に帰ってきたら鍵が開いててキッチンでヤンデレストーカーが鼻歌歌いながら料理してた』みたいな気分なんだけど?
もちろんとってもありがたいんだけどね?イチからの検索作業ってとてつもなく面倒くさいんだもん。
システムのバージョンが変更されるたびにリセットされるMODをまた探して入れなおさないといけない手間といったらもうね……。
てか、俺が今一番気になってるのは知識ポイント53万のMODだったりするんだけどね?俺の予想では惑星そのものを改造するような壮大な機能だと思うんだけど……。
「ええっ!?水玄さん!10000ポイントで不老長寿とかいう信じられない能力がありますよ!?これ、是非とも取って私にプレゼントしてください!!うわ、なんですかこの必要知識530000とかいう絶対に取れなさそうなヤツ……『魅力的なルックス』?これ以上がない私には不必要な能力ですね」
「お、おう、そうだね、葵ちゃんの中ではそうなんだろうね?」
てか魅力的になるだけに53万ってなんだよ……もしかしてそれは、俺がカッコよくなるのって不老長寿(にんげんやめる)より難しい行為だってことなのかな?
これだけ世話になっておきながらアレやけど……いっぺん○すぞ?
てか不老長寿に関しては『10000ポイント』っていう、他には何も取らず、ポイントを貯め続ければいつかはギリギリ手が届きそうな、絶妙な設定になってるのがちょっとイヤラシイな。
ま、まぁ、そんなネタ枠のMODは今はどうでもいいんだよ!
そう、今俺が欲しいのはオススメに並んでる、いつもゲームで使ってたMODの方なのだから!こっちは習得ポイントも1~10ポイントだからそんなに高くないしさ。
「てことで、少ない知識ポイントで厳選して今回俺が選んだMODはこの三つ!まず最初は『限界突破(オーバードライブ)』でお値段なんと5ポイント!」
「なんですかその最初からクライマックスな感じの名前の能力は……というか、そのちょっと黒歴史が蘇ってきそうなルビは必要なモノなんですかね?」
「ルビは大切だろ!むしろそっちが本命だろ!ちなみに限界突破は一日の獲得経験値の制限をなくすMODです」
「獲得経験値アップは基本中の基本ですもんね!……いえ、最初からソレを持ってくるってマジですか?冗談じゃなく本物のチート能力じゃないですか……」
「経験値が増えるわけじゃなく、あくまでも『減らなくなる』だけの能力なんだけどね?」
それでも一日の作業数が多ければ多いほど真価を発揮するMODなんだよね。
能力のレベルが上がれば作業時間もどんどん短縮されてゆくので経験値の入手機会も増えるし。
「どんどんいくよ!今度は生産系のスキルになります!その名も『土壌改良(テラフォーミング)』!こちらもお得なお値段5ポイント!」
「先の限界突破はファンタジーっぽい響きでしたのに、いきなり順当な感じの惑星開発っぽい能力がきましたね?」
「その名の通り!海や川以外のどんな地形であっても、種まきに適した『肥沃な土壌』に変えることができる砂漠やツンデレ……じゃなくツンドラの存在意義を真っ向から否定するMODです。ツンデレに種まき、いろいろと捗るよね?」
「素朴な疑問なんですけど、そんなMODを入れてゲームをするなら最初から砂漠とかツンドラ地帯でスタートするのを止めればよいのではないでしょうか?」
「その通りなんだけどね?廃プレーヤーは縛りプレイをしたがる生き物だからしかたないんだよ」
「そのMODを使ってる時点で何も縛ってないと思うのは私だけなんですかね?」
ちなみに肥沃な土壌、『植物の成長度プラス50%』ボーナスまで付く優れものだったりする。
あと『ツンデレに種まき』とかいうちょっとしたパワーワードは聞き流されたようだ。
「他にも色々欲しいものはあるけど今回はこれで打ち止め!ラストを飾るのは『豪農(ええじゃないか)』!お値段は一番お安い3ポイント!」
「もうルビが無茶苦茶です!聞いただけではまったく性能が思い浮かばないです!」
「いや、これ、3ポイントとか安すぎだと思うんだけど?土地を『耕す』だけで成長度が200%になるし、技術ツリーに追加される『肥料』を獲得しておけば成長度が500%まで上げられるからね?」
「ここまでハイテンションだったくせにいきなり素に戻って説明するの止めてください。そしてさっきから度々出てくるその『成長度』の効果がまったく実感できませんので反応し辛いです」
「簡単に言えば刈り入れまでに15日かかるお米が3日で収穫可能になります」
「そもそもお米は15日では育ちませんよ……」
スターワールドでは一年が60日(ひと月5日)だったから15日(ワンシーズン)あれば育ったんだよなぁ。
……てかそのへん、この惑星ではどうなってるんだろう?
(地球とは異なり、一年は360日となっておりますが人族の成長速度や寿命などに変化はありませんし、『スターワールドシステムを用いない植物の育成』は、地球の似た植物とそれほど成長度に変わりはありません)
……つまり、俺が開墾して米を植えれば15日で収穫出来る、『豪農』のMODを使えば最短3日で刈り入れ可能!ってことでいいのかな?
(そのとおりです)
「葵ちゃん、もしかして俺、とんでもない力を秘めているかもしれない」
「なんですかそのいきなりの厨二病発言……そんなことすでに十分実感させられてますよ!悪かったですね!愛らしいだけの私で!可愛くてごめんなさい!」
「相変わらず自分の見た目に対してだけは前向きな子だなぁ。ついでに新しい技術、『植林』、『肥料』、『お針子』を取ったので知識ポイントの残りは1しかありません」
「貯蓄ってとっても大切ですよ?いえ、そうではなくてですね。申し上げにくいんですけど……お料理系のMODを取るというお話はどこに?」
「あっ……いつも使ってたMODを見つけてテンションが上がっちゃって完全に忘れてたZE✩」
「ぶん殴りますよ?……お米さん……私の美味しいごはんはどこに……」
『次は必ず取るから!』とも言いきれないのでそっと目をそらすだけの俺。
だってほら、取りたいMOD、まだまだ大量にあるからさ……。
『能力値変化』
・建設:2→4
(石壁の小屋作り、その他により)
・工作:1→4
(石材加工、その他により)
・知識:3→1
ミッション報酬:16点追加
研究:『石塊加工』、『鍛冶』、『植林』、『肥料』、『お針子』(合計5点消費)
MOD追加:『限界突破(オーバードライブ)』、『土壌改良(テラフォーミング)』、『豪農(ええじゃないか)』(合計13点消費)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます