第11話泡沫と鬼女

樹海は焼き尽くされ魔王城は裸同然となった。

そして四天王も私、泡沫のスプライトと鬼女コーラの二人となった。

「ユーカは魔術師と相打ちになったようだな、デビルプランツと呼ばれてた彼奴がな…」

コーラがため息まじりに言う。

出来れば樹海でけりを付けたかったが甘かった、マーシャ・ヘリカルの実力、いや献身が理解出来なかった、人によって改造された彼女が禁呪をつかってまで何を守りたかったのか?

一瞬彼の顔が浮かぶが――気持ちを切り替える。

「二人を分断し、コーラと部下たちでモニカの相手をしてもらう、私が勇者をやるわ」

「わかった」

モニカに関して調べても何も出て来なかった、モニカ・グローブ一介の神官で有りながら神託により勇者パーティーに選ばれた女。

私を谷底に投げ捨てた力だけでもあの女は常人じゃない。

「スプライト様、二人を゙分断しました。」

部下のから連絡が入る、コーラは「またな!」と笑みを浮かべて去って行く。

私は勇者を迎え撃つべく、大広間に無数の泡を空中に散布した、魔力の込められた泡は爆弾である。

「よく来たわね、勇者…」

広間に嘗て愛を誓った男が表れる。

「この泡――泡沫のスプライト……通してくれないか?」

――私の顔わからないのね、洗脳か、記憶の改竄かわからないけど……

「仲間の仇を討たせてもらうわ――ただの人間として死になさい!!」

泡が一斉に勇者に向かい、爆裂する。




血塗れの女が立っていた。

女の周囲は無数の魔物の死体あった、あるものは引き千切られ、また、あるものは頭を潰されている。彼等は生きたまま解体されたのだ。

「――モニカ・グローブ」

私は驚愕した、ただの神官ではないとは思ってはいたが、数十名部下が全滅させられるとはな!

「貴方は確か――」

そっから先は言葉にさせなかった、私は一瞬で距離を詰めモニカの頭蓋を砕いだ。

奴の体が倒れ込む、呆気ないものだ、人間、いや、まともな生き物なら即死だろう。

『スプライトの元に加勢にいかなくてはな…』

私が背を向け立ち去ろうとする。

「酷いですね……名前ぐらい名乗って下さいよ」

モニカは立ち上がっていた、頭蓋は砕けたままだ。

私は魔力弾を生成、それをモニカの心臓に撃ち込んだ。奴は仰け反るだけで倒れない。

「四天王のコーラさんですよね?てっきりスプライトさんが私の相手かと……」

モニカは不思議そうに言う。

「そうだ、何故死なない!」

「――信仰心」

モニカの傷口が時が巻き戻るように治って行く。

「私はね、信仰心があれば頭を潰されようが、心臓をうちぬかれようと立ち上がる事ができます…」

馬鹿な……こいつの加護は自身の超回復なのか?

モニカは血塗れの上着を脱ぎ捨て、手袋を外す。

「私は美しい手を持つモニカということになってますが本当は―――美しい女神の手のモ二カ」







次回女神の手




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