第10話決着
「あははは、惚れた男のためにね?」
ユーカは豪快に笑う、自分らしく無いのは良くわかっている腹が立つわ。
「それなら私を倒し、スプライトも倒して勇者を自分の物にしなさい――できればだけど?」
私は怪訝な顔をする、なんで他の四天王の名前がでてくるの?
「知らないの?人間の時はスプーンと名乗っていたけど、勇者ディーノの婚約者は四天王の一人泡沫のスプライトよ」
「婚約者は死んだと彼から……」
「何も知らないのね、スプライトは勇者籠絡に失敗し、モニカ・グローブに不覚を取り、谷底に捨てられたわ……私が助けなけば死んでいたてしょう」
私は頭が痛くなった、やっぱモニカは暗躍してた。
「スプライトは本気で勇者を殺しに掛かるわ……兵器として使い潰される位なら人として死なせてあげたいとか言って……」
そうか、彼には帰る所があるのか……
「ユーカ、貴方を倒して、二人の殺し合いをとめる」
「あははは、行くわよ!」
ユーカは掌から剣の様な枝を生やし、斬りってくる、早い!私は咄嗟に魔力を放出し彼女を吹き飛ばす、右の頬を切られた。
「呆れた……種が発芽しない…」
傷口から何かの種が腐り落ちた。
「虫も食わない、種も育たない――どれだけ汚染させてるわけ?」
汚染――魔力融合炉への改造の副作用なのか、私は虫に刺された事はない、さすがに種が腐ったのは驚いけど。
「イネイ!」
私は呪文を唱えた、ユーカの足元が巨大な霜に覆われる。彼女の動きが一瞬止まった。
私は彼女の周りにプラズマの牢獄を作りあげ
「トカマク」
爆破した、ユーカの体が燃え尽きていく。
「うっ…」
地中から巨大な棘が飛び出し右肩をうたぬかられた、焼けるような激痛が走る。
「あれで倒せたと思った?」
地面からユーカが現れた?私は傷口を魔法で焼いて止血する。
「私ね、単体生殖――クローニングで自分を増やせるのよ」
地面からユーカがもう一人生えてきた。
冗談じゃないわ、こちらの方が消耗が激しい、どうする?
「行くわよ!」
ユーカが二人同時に斬りかかってくる、私は魔力で身体強化して対応する。
体の彼方此方を切り裂かれる、血が流れる、このまま出血すれば意識を失う。
「樹海みたいに燃やす?でも、煙の毒に耐えられるかしら?」
ユーカが挑発してきた、間違いなく燃やすと毒の煙が出る植物を配置してる。
「グローザァァ!」
呪文を発動させる、瞬く間に突風、そして雨雲が集まり豪雨が起こる。
『これ程の嵐を一瞬で、だが――』
二体のユーカが足から根を張り出した。
今だ、私は嵐を停止し、次の呪文を唱える。
「ザミェルザーチ!!」
ユーカの足元から凍結していく。
「くっ」
「地下茎諸共凍結させる!!」
先程の嵐で周囲は水浸し、地表も地中も凍結する、ユーカの耐寒性と私の魔力の勝負だ。
「……完敗だわ」
ユーカは敗北を認め氷の彫像となった……
――私も駄目そうね……
――でも……惚れた男の為とか…過ぎた理由ね…
次回泡沫と鬼女
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