第4話神造兵器
魔王城の一室にスプライトとユーカが椅子に座り、向かい合って紅茶を飲んでいる。
「遅れてすまない」
ノックもせず、燃える様な赤い髪の背の高い女が入ってくる、肌は褐色で全身の筋肉は彫刻の様に美しい、これだけ筋肉をつけているのにバストは豊満であった。
「コーラ、久しぶり」
スプライトは笑みを浮かべ親友の名を呼んだ。
「スプライト…心の友よ!」
「揃った事だし本題に入りましょう」
ユーカがコーラを制した、長くなりそうだったのでコーラの肩を掴み自分の隣に座らせる。
「ハガが、倒されたわ」
ユーカが告げた。
「例の神造兵器にか?」
「違うわ、これを観て」
コーラの問にユーカは懐からクリスタルを取りだす、ハガの部下が二人の戦いを録画していのだ。
「なんで、あの小娘服だけ喰わてるんだ…?」
コーラは疑問を口にする、映像の中ワームの群から解放された、マーシャの姿が異常だったからだ、衣服は喰い破られ、全裸だった、だが、その肌には噛みつかれた後すらない。
「虫が食べ物だと認識出来なかった、マーシャ・ヘリカルは真っ当な人間ではないと言う事よ」
ユーカの言葉にスプライトが続ける。
「魔王様によれば、女神が一度に創れる神造兵器は勇者一人が限界、おそらく彼女は以前から噂があった、生体魔力融合炉、人間が作った魔導兵器ね。」
そうでなければ説明がつかない、ハガを一瞬で消し飛ばした、呪文【トマカク】はプラズマの牢獄に相手を閉じ込め、極小の太陽を一瞬再現するという恐ろしい物、禁呪指定されていない、何故か?術式はあっても発動出来ない無価値な呪文だったからだ。
トマカクを発動出来た時点で、マーシャ・ヘリカルがプレーンな人間でないことは確定している。
「今回の勝利と勇者パーティーの結成も発表され士気は高いわ」
「スプライト、勇者パーティーの面子は解っているのか?」
「魔術師マーシャ・ヘリカル、神官モニカ・グローブ、勇者ディーノの三人」
コーラの問にスプライトが答えた、勇者ディーノの名を呼んだ時、スプライトの声が僅かに震えていた。
「魔王様の話しでは勇者は女神が創り出した、神造兵器、戦闘経験をつまなくても、魔王様と対面した時、全ての能力は解放され人ではなくキルマシーンとかす」
スプライトの顔は苦しげだった。
「勇者の全能力が解放されれば勝ち目はない」
「私達が勇者を殺すと言うことでいいのね?」
ユーカがスプライトに尋ねる。
「それしかない…」
「そう、私は持場にもどるわ、コーラと積もる話もあるでしょうから」
ユーカは部屋から退出する。
「報告書は読んだが、勇者とは婚約までいったんだってな」
「ええ……結婚して、あの村で歳を重ねていたでしょう」
「酷い話だな、女神は信仰を集める為に勇者という名の兵器を創り出したわけだ」
勇者ディーノは女神が信仰を集める為に創り出した兵器、そこに人を救う意図はない。
人間と魔族は稀に小競り合いをする程度で大規模な数十年戦闘はしていない。
先日の戦闘は人間側が戦争の準備をしていたため、先手を打って兵糧を潰したにすぎない。
「神にとって信仰は力、存在を維持するだけなら勇者など必要ない、あの強欲な邪神が…」
スプライトは苦虫を噛み潰したような顔をしていう、イシュタルは強欲である、自分加護を受けた勇者が魔王をたおせば信仰が鰻登りとかんがえたのだろう。
「スプライト、男を取り戻したいか?」
「取り戻したい……それが無理なら人間として終わらせてあげたい……兵器として使い潰されるなんてあんまりだわ!」
コーラは暫し考えたあと。
「お前には世話になった、私の子供たちも独り立ちした、思い残す事はないこの命使ってくれ…」
自分の決意を告げた。
次回勇者パーティー、もう惚れたの?
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