第19話 王女が派遣してくれた剣士がやってきた

城が完成してから数日後。


お城での生活を満喫していたら新たな客人がこの村を訪れた。


扉を開けると顔を見るとそこにたっていたのはなんと女騎士。


「来てやったぞ私が」

「どなた?」

「女騎士、アリシアである。姫様の命令によりこの村を守れと言われたのだ」


そう言われて思い出す。


初めにこの村にきた姫様がそう言えば剣士を派遣してやると言ってたな。


この人が派遣されてきた騎士らしい。


「戦闘暗殺警備殺しまでなんでもござれ」

「とりあえず俺の城来てよ」


そう言って城を指さすとアリシアは驚いていた。


「おっきいお城。我が主のお城よりデカいかもしれない」


そんなことを言ってるアリシアを連れて俺は城に向かってった。


中に入るとさっそくモップを押し付けた。


「なんだこれは」

「風呂掃除トイレ掃除俺の寝室の掃除、やっといて」

「ふん。任されたぞ」


そう言って掃除していくアリシア。


どうやら掃除もできるらしい。


って思ってたら俺の顔を見てきた。


「こんなもの他の者にやらせらばいいだろう?」

「でもほかにやってくれる人いないし」

「バイトはいないのか。バイトは」


そう言われてバイトを雇うことを考えたが


「いや、それなら奴隷の方がいいな。買い切りの」


村に行けば奴隷がいるからな。

そこから何人か連れてくればいいしそうしようか。


そう思ってアリシアを見た。


「逆に君はなにできる?」

「なんでもできるぞ!」


それを聞いて俺は呟いた。


「それで掃除はできないんだ」

「うむ。やったことがないのでな」


(要するにやったことのあることならなんでも出来るってことか)


そんな自信満々で言うことじゃないんだよなぁ、とか思いながら俺はアリシアに言った。


「あー。んじゃさ。俺ときてくれない?」

「あなたと?」

「うん。ちょっとやる事があってさ」


俺はそう言って城を出てジョウカの森までやってきていた。


「実はね。最近この森にダンジョンができてね」

「なに?ダンジョンが?」

「うん。ダンジョン」


それでなんかキラービーたちが困ってるってことでアイツらが使い魔を寄越したのだ。


んで、どっかのタイミングでダンジョンについてどうにかしないとなぁとは思っていたんだけど、今ここにいる俺の中まで戦えるのは魔王くらいのものだった。


その魔王もこんな森に連れてくれば森ごと吹き飛ばしかねないので、どうしたもんかと思っていたところ丁度いいのごきたってわけ。


「よろしくねアリシア」


俺はそう言ってダンジョンを探し始めた。


すると直ぐに見つかった。


「ここかキラービーの言ってたダンジョンってのは」


中に顔だけを入れて耳を澄ませるとすぐに音が聞こえ始める。


モンスターの鳴き声だった。


「雑魚雑魚、基本的に雑魚だけどボスもいるっぽいね」

「よし、では突撃いぃぃぃぃ!!!ぐえっ」


突撃しようとしたアリシアを掴んだ。


「な、なにを?」


そう言って俺の顔を見てきたので答える。


「俺が先に立つよ。なんか君見てると不安になってくるから」

「がーん。こんな子供に心配されてる?!」


そりゃ心配するよ。


そう思いながら俺は聞いた。


「仮に毒蜘蛛が上から降りてきて噛まれたらどうする?」

「噛まれた部位を素早く切除後にヒールをかけ治療するでございます」


すっげぇ脳筋だった。


まぁそれでもいいんだけどさ。


「痛いでしょ?そんなこと」

「痛いよ」

「なら初めから噛まれなきゃいいんだよ」


そう言うと目を見開いたアリシア。


「天才か?」


俺はこいつを教育したやつに呆れてた。


どうやったらこんな脳筋が出来るのやら。


俺はそう思いながら【フラッシュボール】を使用。


光の玉がプカプカと浮いて道を照らしてくれる。


「じゃ、行こっか」


俺はそう言って薄暗いダンジョンの中に入っていく。


「つんつん」


アリシアは俺のフラッシュボールを触ってた。


「熱くないんだ。普通熱いよな?この魔法」

「普通は熱いけどね。頑張って熱が発生しないように改良したんだよ」


ルイスというキャラは貴族で暇だった。


だから特にやることも無いので、魔法の研鑽だけは出来たのだ。


そのときアリシアが言った。


「だがここは寒い。出来れば熱がある方が良かったな」


そのセリフを聞いて思った。


「ふふふ、丁度いいのがあるよ」

「え?なにかあるのか?」


さっきの魔法の研鑽の話に戻るんだけど。


俺はこういうのも努力して生み出した。


「【ファイアボール】」


ボウっ。

俺は手のひらに黒い火の玉を出した。


「えっ?!黒いファイアボール?」

「赤だと眩しいよね?だから改良してみて黒にしたんだ。光を放たないファイアボール」

「でもなんの役に立つんだ?こんなの」


俺はその言葉に答えた。


「えーとね。まず暗闇を維持したままで暖を取りたい時とか」

「そうか。これがあれば光で敵に探知されずに温まることが出来るのだな」

「うん。結構便利じゃない?」


ダンジョンの中は寒かったりすることが多い。

そして、当然だがダンジョン内には敵がいる。


そいつらに気付かれないように暖を取りたいというシチュエーションもあるはずだ。


そう考えたらこういうのは使えて損は無いだろう。


「おー。すごいんだなルイスは。こんな魔法見たことないぞ」


「他にもいろいろあるけど見てみたい?俺もさ。この魔法の価値が理解できる人がいなくてさ。見て欲しいと思ってたんだよね」


そう聞いてみるとアリシアは言った。


「見てみたい!」


そう言ってくれたので俺は改良した魔法をどんどんアリシアに見せていくことにした。

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