第18話

ブラッククリスタルが届きさっそく城の建築が始まった。


「床に使うクリスタルはきっちり研磨しておけよ。ルイスが裸足で歩くかもしれない。そのときに尖っていたら危険だ」


魔王が加工師のサイクロプスにそう言っていた。


「了解しました魔王様」


サイクロプスが研磨していくのを見ながら俺は着々と進んでいくお城建築を見ていた。


獣人の国からもエルフの国からも魔王領からも色んな人が来て城を作ってくれてる。


その途中みんなと色々話してた。


「ここに犬耳をつけるにゃ」

「ここにエルフの国の国旗を」

「屋根にはシャチホコの代わりにドラゴンをつけよう」


そんな風に他のみんなも色々話していたが俺は作ってもらってる立場なのでとりあえず頷いておいた。


そして半日後に完成した!


獣人、魔族、エルフの叡智の結晶が!


「なかなかいいではないか」

「にゃーにゃー!すばらしい出来だにゃ!」

「うんうん。なかなかいい仕上がりですねー」


みんなそれぞれいい感じの反応を示していた。


「よし、ではルイス。城の案内といくか」

「にゃーが先に案内するにゃ!」

「ここは私が先に案内しましょう」


ということで城の案内が始まった。


俺はとりあえず一番無難そうなエルフのティターンから案内をするようにお願いした。


「ここは医務室です」


ニコッと笑って紹介を始めてくれるティターン。


ティターンは壁際にあったスイッチを指さした。


「これには特別な機能があります」

「どんな?」

「押せばエルフの魔法が発動してどんな病気やデバフだって治るのです!」


すっごい実用的な機能だった。


「おー、すげぇ」

「肥満、風邪、なんにでも効果がありますよ」


なかなかすごい機能なようだ。


そして次は獣人のシルフィーが案内してくれた。


「ここはペット室にゃ!こだわりのお部屋にゃ!」

「どういう機能があるの?」

「全自動で餌やり、や世話を行ってくれるにゃ!」


思ったより普通かもしれない。


俺は最後に魔王に案内を頼むことにした。


「ふふふ、よかろう。説明してやろう」


そう言って魔王は階段を登っていく。


辿り着いたのは屋上だった。


そこにはドラゴンの石像が置かれていた。


「シャチホコの代わりだよね?」


魔王は首を横に振った。


「ただの石像ではないぞ」

「と言うと?」


魔王は石像に近寄ると石像にあったスイッチを押した。


すると石像ドラゴンは動いた。


「可動式だ」

「おーすげぇ!!!」

「ゴーレム技術をふんだんに使っている、そして」


まおうは地平線に向かって手を突き出すと


「放て」


短く言うと。


チュドーーーーーーン!!!


石像ドラゴンからビームが放たれた。


そして海に向かって飛んでいき、途中で大爆発を起こした。


「このように城を守る兵器として使えるのだ」

「おー、すげぇ!!!」

「ただし、国ひとつ消し飛ばす力があるからあまり無闇に使うでない」


やばい!

めっちゃ危険なアイテムだった!


でも使い方を考えたら便利そうなアイテムだった。


もし、これでモンスターの大軍がきてもなぎ払える!


こうして俺のワクワクお城案内は終わった、と思われたのだが。


「そういえばまだ案内していないところがあったな」

「そういえばそうですねー」

「あそこを誰も紹介しなかったにゃ」


3人が口々にそう言う。

あそこ?どこだろうと思っていたら全員が同じ方向に向かって歩き出した。


どうやら全員の中でどこを紹介していないかが一致しているらしい。


そうして俺が案内されたのは


「こ、ここって」


俺はその扉を前にして呟いてた。


魔王が答えてくれた。


「うむ。お風呂だぞ」


ガラッ。

スライド式の扉を開けて中に入っていく魔王。


その中は


「うわっ。広っ!」


俺の実家よりもめちゃくちゃ広い風呂場が待っていた。


「これ、王様が使うような風呂じゃないの?!」

「何を言ってる?ルイス。お前は王様だろ?この国の」


魔王はすっかり村を国扱いしているようだった。


「一国の王なのだからこれくらいの風呂は使わねばならない。ははは」


そう言ってシャワーの蛇口をひねると、すっごい綺麗な水が出てきた。


「うわー、なんかすごい綺麗だねこの水」

「魔王領のみで取れる最高級の水を使ったシャワーだからな。とうぜんだ。喉が渇いた時でもそのまま飲めるくらい綺麗な水だぞ」

「まじか」


ゴクッ。


その水を飲んでいたシルフィー。


「おいしいにゃ!こんな水で体を洗えるのかにゃ?!ルイスがすごく羨ましいにゃ!」


そう言ってごくごく飲んでいくシルフィー。


魔王は笑っていた。


「そうだろう?この水は美味いだろう?飲め飲め。ふはははは」


豪快に笑ってた。


それからティターンは湯船に向かって水を溜め始めた。

ものの数秒で湯はりが終わった。


「エルフ国の技術を使った安心安全な超速湯はり機能です。そして、なにより温度の調整が細かく出来てしまうのです」


そう言っているティターンの言葉を聞くととりあえず入りたくなってしまったので俺は湯船に入ってみた。


「おぉぉぉ……お風呂だ。久しぶりの広いお風呂」


俺がそう言ってると俺の後ろに立った3人。


「さてと、私も入るとするか」


ぬぎぬぎ。

魔王が服を脱ごうとしていた。


「え?入るの?!」


そう叫んでるとシルフィーも一瞬で服を脱ぎ捨てて、飛び込んできた。


「ぷはぁっ!気持ちいいお風呂にゃ!」


そう言ってから俺に近寄ってきた。


「にゃにゃ。お背中流しますにゃ♡」


その時ティターンも言った。


「私はお腹側を流しましょうか?ルイス様?♡」

「なら、私はルイスに洗ってもらおうかな?」


魔王も風呂に入ってきて、俺は王城生活初日からとんでもないハーレム生活を送ってしまっていた!


いや、実際のところはそれだけじゃ終わらなかった。


「ルイスー?獣人の私と結婚するにゃ♡」

「えっ?えっ?」


俺が戸惑っているとティターンも口を開いた。


「私とも結婚しましょうよルイス様。もう一国の王ですよ?王であるなら複数の妻を持つのは一般的なことですよ?」


そう言われて俺は叫んだ。


「俺12歳なんだけど?!」


この世界では12歳から求婚されまくるのが普通なんだろうか?





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