第17話 金の使い方

金を貰ったはいいが、どうやって使うか悩んでた。


この村には金という概念がなかったから金で何かを売り買いするような文化もない。

もともとは俺の家の持ち物だからいらないんだよね金が。


ということはこの村を出ないと金が使えないのだが。


そこで俺は相談した。


「なぁティターン。金ってどのように使えばいいんだろうな」


そう聞くと目をパチクリして俺を見てきていた。


「えーっと、お金の使い方が分からない?」

「じゃなくて、この村には金という文化がないからさ。だから使うとしたら他国に行って使う感じなんだけど」


そう言ってみるとティターンはほほえんだ。


「何か欲しいものがありますか?持ってきましょうか?」


そう聞かれて答えたのは俺じゃなくてミーシャだった。


「ルイス様。お城作りましょうよ!お城!」

「お城?」

「はい!この村を国にしましょうよ!王国ですよ王国!」


そう言って村にある空き地を指さした。


「あそこの空き地けっこう大きいじゃないですか?あそこにお城を立てましょうよ!」

「ふむ」


俺は考えた。


たしかにそろそろこれからのことについて考える必要もありそうだし。


(この村にきてから何も考えてなかったもんなぁ)


とりあえず自分が生きていくことを考えて動いてたから、目先のことしか考えてなかった。


でもこれからもこの村にいるとなると、例えばティターンのようなエルフ族、それからシルフィーのような獣人、もっと言うと魔王とも仲良くしておいた方がいいんだろうな。


で、その場合は村ではなくて国の王として俺がいた方がいいかもしれない。


「うん。分かった。とりあえずお城立ててみようか」


そう言って俺はミーシャに聞いてみた。


「でもお城ってどれくらいで作れるんだろ?」

「20ドラくらい?」

「いや、それは無理じゃない?」


俺はそう言いながらティターンに聞いてみた。


すると


「相場で言うと小さなものなら10億くらいあれば、という感じですね」


それから提案してきた。


「ですが、私としてもこの村は大きくなって欲しいと思っています。そこでですがお力添えしましょうか?王城建設のために」


そんな会話をしていた時だった


「にゃ〜」


シルフィーが起きてきたのかエントランスに降りてきた。


で興味が出たのか俺たちの会話に加わってきたのでこれまでの流れを説明した。


「お城にゃ?じゃあ、にゃー達も手伝うにゃ」


そう言ってきた。


「とにかく、人手がいるにゃ、ね。それから素材。素材もにゃーらが負担するにゃ」

「えっ?いいの?」

「にゃ。村から国になった方がお魚の養殖も簡単でしょにゃ?にゃーももっともっとルイスのお魚食べたいからお手伝いにゃ」


そう言うとティターンも言った。


「そうですね。私ももっとお刺身が食べたいので、協力出来ることはしますよ」

「あ、ありがとう」


あったけ〜。


まさか、刺身を食わせただけでお城まで作ってくれるなんて!


刺身はすごい!


「じゃ、さっそく各方面に連絡するにゃ」

「私もしておきますね」


そう言ってふたりは必要な連絡をしていった。


こうして俺の村に城ができることになってしまった!


「ふたりともありがとう」


そう言ってみるとふたりは『気にしないで』と言ってくれた。

ほんとあったけーですわ。


そうしていた時だった。


コンコン。


俺の家の扉がノックされた。


扉を開けてみるとそこにいたのはドラゴンだった。


「ルイス様」

「どうしたの?」


聞いてみるとドラゴンは言った。


「魔王様が来ております」


ドラゴンの言葉に反応したのはティターンとシルフィーだった。


「ま、魔王が?!」

「魔王にゃ?!たいへんにゃ?!」


そう言ってるふたり。


「あー、そうか、ふたりは知らないんだね」


困惑しているふたりに俺は言った。


「魔王は俺と敵対してないよ」

「「えっ?」」


ふたりはお互いの顔を見ていた。


俺はそんなふたりの前でドラゴンに言った。


「魔王をここまで連れてきてくれる?」

「御意」


しばらく待っていると魔王が俺の家まで歩いてきた。


「久しぶりだなルイス」


そう言って俺に話しかけてきた。


「今日もご馳走になりにきたのだが、そこにいるのは獣人か」


シルフィーが答えた。


「お魚食べにきたにゃ。それから城を作ろうとしているにゃ」


魔王はそれを聞いて笑ってた。


「ほー?お城か」


俺を見てくる魔王。


そしてこう言った。


「魔王領から最上級の鉱石である【ブラッククリスタル】を取り寄せよう」

「なにを企んでるにゃ?」

「ルイスの住むお城だろう?私とオソロにしようと思ってな」

「にゃにゃ?!」


俺の顔を見て聞いてくる魔王。


「どうだ?ルイス。私とオソロにしたいよな?私の城はでかくてカッコイイ!」


ゲーム内でも城はいろいろ見て回ったけど魔王城が一番かっこよかった気がする。


それと似たようなデザインになると考えたら……。


ふへへへへ。


「じゃ、オソロにしてもらおうかな」


そう答えたら魔王もどこかに連絡を取った。


ブラッククリスタルの調達を始めたようだ。


こうして人間、エルフ、獣人、魔王の4人によるかつてないお城建築が始まるのだ!


一体どんなものが出来るんだろう?!



名前:ブラッククリスタル

レア度:SSS

説明:世にも美しい黒いクリスタル。

万能の鉱石とされ。鉱石の中では最上級の素材とされている。

その使用用途は武器や建築、果ては食用などにも利用されているらしい。

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