第15話 モンスターの大軍を蹴散らす
ユージンが村を去った後俺はそのまま夕食をとって寝ようとしていたのだが、その時だった。
カーン!
カーン!
カーン!
けたたましい音が鳴って飛び起きた。
「なんだなんだ」
起き上がって窓から外を見るとそこから声が聞こえてきた。
「敵襲!敵襲だぁぁぁぁ!!!!、」
敵襲?!
俺はそう思いながらも部屋を飛び出すと広場に向かっていった。
そこには既に多くの人たちが集まっていた。
「ルイス様!敵襲です!」
「ご指示を!」
俺は頷いて手早く指示を出した。
「戦えるものは装備を。俺たちが討ち取らして中に入ってきた時のために武装を」
そう言って俺は鐘を鳴らされていた方向に走り出した。
ヤグラをウィンドで軽く登るとそこで鐘を叩いてた村人に声をかける。
「敵の数は」
「それが、前のゴブリンなんかとは比べもんになんない数なんですわ。弱いのから強いの迄数えて3000はいるかと」
「そんなにいるのか?」
「目測ですけど」
チラッ。
村人は平原の方を見た。
そこからは本当に空を覆い尽くす度の飛行型モンスターの群れ、地面には地面が見えなくなるほどの通常モンスターの群れが広がっていた。
「こっちの戦力は100もいないってのにな」
そう呟いた。
村人が聞いてくる。
「どうしましょう?」
「とりあえず俺とリヴァイアサン、ドラゴンでなんとかしてみせよう」
俺が2匹の名を呼ぶと直ぐに出てきてくれた。
「お前たちはこの距離からでも敵の数減らしを狙ってみてくれ」
「「御意」」
【アクアレーザー】
【ドラゴンブレス】
2匹はそれぞれの必殺技を放っていく。
それで大体の数は削れていくが。
「ふん。リヴァイアサンお前の水鉄砲じゃ、範囲が狭すぎて効率的に排除ができんようだな。私のドラゴンブレスを見よ!肉だって綺麗に焼ける広範囲だ」
「ドラゴン?あなたのブレスは広範囲だけど致命的に火力が足りていないように見えるのは私だけでしょうか?」
2匹は煽りあっていた。
この2匹の場合は煽り合うほど仲がいいというやつなのだろう。でもね。
「ちょっと?!煽りあってる場合じゃないよ?!」
俺はそう言いながら自分で使う魔法の詠唱を始めて行くことにした。
そういえばだけど、この魔法初めて使うな。
俺は手を向けて魔法名を呟いた。
爆発魔法だ。
【エクスプロージョン】
爆発した!
モンスターが集まっている中心から爆発が広がっていく。
その爆発がモンスターを倒していく。
「見ましたか?ドラゴン。あれがあなたに足りない威力ですよ」
「ふん。あれが貴様に足りない範囲攻撃ということも理解しているのだろうな?」
相変わらず煽りあっているようだ。
そんな会話を聞きながらモンスターがどうなるのかを見ていると。
俺の爆発に包まれたモンスターはどんどん消えていくことになっていた。
跡形もなく。
そして、爆発が終わるとそこには何もいなくなっていた。
初めて使った魔法だが予想通り大量のモンスターを全滅させてくれて助かった。
「さすが我らの魔王が選びなさったお方だな」
「まったくですね。ルイス殿に使えることができてこのリヴァイアサンは幸せものでございますよ」
そう言ってくる2匹だった。
◇
その日の夜。
寝直すために家に戻ったのだが、エントランスにティターンがいた。
ティターンは俺が帰ってくるのを待っていたようだった。
「ルイス殿?」
「なに?」
「ここのことは広めてもいいのでしょうか?」
「えーっと、広めるとは」
「私が魔王に教えてもらったように、他の人達に教える、ということです」
「いいけど、この村まだまだ別に何も無いでしょ?」
そう言ってみるとティターンはこう言った。
「あのお肉は素晴らしいですよオーク肉。あんなに美味しいオーク肉はここで初めて食べました」
どうやらそれほどまでにお気に召してくれたようだ。
そこで俺は魚についても聞いてみることにした。
実はと言うと俺はいつでも魚を食べられるように少量だがこの家に冷凍して置いてある。
それを適当に解凍してさばいてからティターンに見せてみた。
「おぉ、魚もあるのですかこの村は」
「うん。釣りも出来るようにしてるよ」
そう言ってから俺はわさび醤油の準備もしてあげた。
「この魚の切り身をわさび醤油につけて食べる。すっごく美味いんだよこれが」
そう言ってみるとパクっと1口食べたティターン。
「むむむむむっ?!!!」
今のところすごいいい感じの反応を貰えているようだが。
果たしてどうだろうか。
お口にはあっただろうか?
ドキドキしながら感想を待っていると
泣き出した。
「どうしたの?骨が残ってた、とか?」
聞いてみると首を横に振った。
「素晴らしすぎて涙が出ました!なんなのですか?!このお料理は!おいしすぎて涙が止まりません!すごくジーンってして涙が出ます!」
「ワサビのせいじゃなくて?」
ワサビはそういえばナミダとも呼ばれるって聞いたこともあるけど。
「あ、そうなんですか?わさびのせいなんですか?」
「かもしれない」
「でも、すっごくおいしいですよ!」
そう言ってから彼女は続けた。
「今から話をしようと思っていたのは実は獣人の国の人達でして。お魚に目がないのですよ。この料理もきっと気に入ってくれますよ!」
「そうかなぁ?」
「はい!気に入ってお金も使ってくれますよ!この味なら」
そう言ってくれると以前から考えていたら作戦を実行してみてもいいかもしれない。
実はと言うとオーク肉にしても、魚にしても今のままじゃ需要に供給が追いつかないという状況だった。
だから【生産速度を上げるつもりだったのだ】
そのためにはティターンの力を借りてもいいかもしれない。
「なぁ、ティターン。明日は少し協力してくれないか?」
「なにかするのですか?」
「うん。とびきり、大事なことをするつもりだよ。獣人の国の人達にはそれが終わってから来てもらおう」
「その大事なことが終わるのはいつなのですか?」
「最短で明日だね。まぁ余裕を持って3日後くらいで獣の国の人には伝えておいて欲しいけど」
「分かりました。ではそのように言っておきます」
ていうか俺がこの村にきてから寂れていたはずの村はどんどん復興していってるように思うな。
この村はいずれはどんな風になっていくんだろう?
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