第10話 ゴブ巣

とりあえず森の方に来てみた。


それからキラービーの女王蜂を探していると巣の場所にいた。


声をかける。


「よっ。キラービー」


すぐに俺の目の前に来たので本題を話す。


「ゴブリンの件で困っているらしいな。助けに来たよ」

「カンシャデス」


ペコっ。

頭を下げたので俺はゴブリンがどの方角からやってくるのかを聞いた。


「なるほど、それで蜂蜜を奪いに来るかも、と」

「ハイ」


どうやら蜂蜜はゴブリン達にとっても甘いようで、奪いに来そうらしい。


俺のものを奪うのは許せんな。

ということでゴブリンの全滅にはとことん協力しようと思うのだが。


ゴブリンがどちらから来るのかを確認した。


ゴブリンのいる方を教えてもらいそっちに向かって歩いていくことにした。


森の中をしばらく歩いてると前方に人影が見える。


でもそれは人ではなく


「あいつらかゴブリンは」


ゴブリンが2匹歩いてた。


「巣の場所を特定するためにも少し泳がせてみるか」


少しの間ゴブリンを観察してみることにした。


2匹のゴブリンはいろんなところを巡回してからやがて崖の下にる穴の前まで来ていた。


そして、穴の中に入っていった。


「あれが、巣っぽいな」


巣の場所の特定は出来た。

どうやって始末しようか悩んで俺は考えた。


「他人のものを奪ったらどうなるか教えてやることにしようか」


クルっ。

俺は穴から目を逸らして森の中を歩き始めた。


これから探すのはボアだ。

この手の森の中ならいるだろう。


そうして探していると見つかった。


5メートルくらいの割とデカめな個体だった。


「めっちゃデカイなこれ。しかも右目に傷が入ってる。歴戦の個体なのかものー」


それにしてもこのデカさは突然変異でもした個体なんだろうか?

あまりにデカすぎてそんなことを考えた。


「とりあえず倒してみるか」


俺の考えていることはとりあえずボアを倒してみるところから始まる。


ボアを倒して肉を手に入れ、それに毒を盛り込む。


俺の考えていることはそれだ。


毒を混ぜた肉をゴブリンに奪わせて巣穴に持ち帰らせる。


そして


「毒が蔓延して根絶やしだ」


日本にいた時もゴキブリ相手に似たようなことをやったのを思い出す。


巣を壊滅させるなら毒を持ち帰らせるのが一番いいよね。


ということで俺はボアを倒すことにした。


そんなに強いモンスターじゃなくてちょっと攻撃すればすぐに倒れてくれた。


「ラッキー♩」


早めに倒れてくれたことに感謝してドロップアイテムを回収する。


【ボアの生肉】も手に入ったので今日のところはそれで一旦帰ることにする。


毒との調合もあるしね。


ということで村に戻ってきた俺はさっそくミーシャを呼び付けていた。


それから使えそうな毒について質問。


「毒なら毒矢作成に使っていたものがあるはずですが」

「それ、借りれないかな?」

「もちろん。使わせてくれると思いますが」


俺はミーシャと一緒に村の中の使われていない倉庫まで行って毒を入手した。


もうここで調合してしまおうか。


倉庫内にあったビンを手に取ってその中に独と肉を入れた。


「これ、なんの肉なんですか?」

「ボア。森の中探してみたらいてさ。すっごい大きかったよ」


ミーシャが質問してきた。


「そのボアですけど顔に傷がありませんでしたか?」


ミーシャは人差し指を右目の辺りに持って行って眉毛から目の下に向かって1回指をスーッと動かした。


「こんなふうに縦に一本の傷」

「あーあったねー、そういえば。そんな傷。そのせいで強そうに見えたよ」

「それならあの森の主ですね」


そう言われて俺は聞き返した。


「主なのかあれ。へー、倒しちゃって良かったんだろうか?」

「はい大丈夫ですよ。主なだけであって神でもなんでもないので、昔から凶暴で手をつけられない個体だったんですよ。さすがはルイス様ですよね」


そう言いながら俺が持っている肉に目を向けてきた。


「ところでなんですけどお肉ってもう余ってたりしませんか?」

「食べたい?」

「はいっ!」


どうやらボア肉食べたいらしいので少しくらい残しておくことにしよう。


「ちなみにボア肉は食べたことあるんですか?」

「固くてまずいよ。獣臭いし、こんなのゴブリンくらいしか食わない」

「ひょっとして私がゴブリンみたいってことですか?!」

「ごめん。そういう意味じゃない。まぁでも食べてみたらわかると思うよ」


ミーシャとそんな会話をしながら俺はビンのことを見ていた。


それから倉庫内にあった別の毒薬を見つけた。


俺はふと思い出してビンの中に更に違う種類の毒を盛り込むことにした。


「なんで毒を混ぜたんですか?」

「うん?この毒と今の毒を組み合わせたらより、強い毒になるからだよ」


俺がそう答えながらビンの中の様子を見ていると、毒の色は今まで青紫くらいだったのが、一気に濃い紫になった。


いかにもな色になってた。


飲んだらやばい物っていうのが一目でわかる色だ。


「これ食べたらどうなるんでしょう?」

「死ぬよ。だから俺がちゃんと保管しておこう思う。村人が食べたらたいへんだからね」

「ルイス様はやっぱり人の上に立つ資格があるお方ですよね♡」


そう言ってくるミーシャだった。

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