第8話 王女に求婚された
オークを詰め込んだ家を覗いてみるとなんか増えてた。
オークの繁殖は早いと聞いたことがあるが本当に早いようだ。
詰め込んで数日でもう小さなオークが10匹くらいいた。
そろそろ一匹倒して肉に変えてみようか。
そんなことを考えていたときだった。
ミーシャが話しかけてきた。
「お客さんが来てるみたいですよ。ルイス様」
「え?客?」
「はい。なんでも一番偉い人を出して欲しいとのことで」
俺は頷いてミーシャについていくことにした。
村の門のところを開けるとそこには女が立ってた。
その後ろには兵士が何人か。
「あなたが一番偉い人ですの?」
そう聞いてくる。
「うん、まぁ」
そう答えるとこう聞いてきた。
「この近くにジョウカの森というのがありましたわよね?」
「あるよ」
「その森に用事があるのですが、しばらくこの村に止めてくれませんこと?」
そう聞かれて頷いた。
「いいよ、別に」
そう言って迎え入れることにした。
この村に盗むものなんて今のところないからな。
「なんの用事なの?」
そう聞くと女の人は言った。
「ジョウカの森でのみ取れるジョウカソウというものを取りに来ました」
ジョウカソウというものはたしかにこの村にある。
今まではジョウカが病んでたせいで生えてこなかったけど。
生えたから取りに来たそうだ。
「それにしてもこの村は辺境にありますわよね。馬車の中に乗ってて疲れましたわ」
そう言ってる女。
馬車ということは偉い人かもしれないので聞いてみた。
「貴族の人?」
「王女ですわ」
目を見開いた。
「お?王女?!」
そう叫んだ。
まさかそう来るとは思わなかったのだ。
後ろに兵士を付けてくるなんてそれくらい偉くないとなかなか難しいもんなぁ。
「でもなんでこんな少人数で?お忍び?」
「そうですわ。周りの人が反対してくるので私は信頼出来る者といっしょにひとりでここに来ました」
で、それから俺に聞いてきた。
「ルイス様はジョウカの森については詳しいのですか?でしたら案内を頼みたいのですが」
ジョウカソウは原作でも取りに行ったアイテムだ。
ある場所は知ってる。
「いいよ。いつ出発する?」
「明日の朝でどうでしょうか?お礼は弾みますので」
俺は自分の家に王女様を案内した。
ここまでで聞いたが名前はアンリエッタというらしく、アンリと呼んで欲しいそうだった。
そんなアンリを家に入れて、食事について聞いてみた。
「なんか食べた?」
「昼に食べたのが最後ですね」
「俺は食べるけどどうする?」
って聞いてみたら兵士は言った。
「王女様。さすがにこのような辺境の食事よりは非常食で済ませた方がいいかと」
と身を案じていた。
まぁ当然だよな。
「無理にとは言わないよ」
俺はそう言いながら冷凍していた魚を取り出して解凍を始めた。
ちなみにもう一日は凍らせている。
冷凍すればほとんどの寄生虫は死ぬらしい。
まぁ別にこれで死ななくてもこの世界にはとんでもない寄生虫殺しのワサビがあるからそれ使えば問題ないんだけど。
家の中にあった包丁を取って魚を捌いていく。
俺は刺身が好きだったからある程度の捌き方は把握してるのだ。
それで刺身に変えて皿に盛り付けてワサビも置いた。
それにしても刺身を食べるのは久しぶりだな
「いただきます」
俺はそう言ってわさび醤油で刺身を食べ始めた。
「うっま」
隣にいたミーシャにも勧めるとすぐに食べ始めた。
「おいし〜」
そんな様子を見てたらアンリが口を開いた。
「食べてみたい」
観念したように兵士は言った。
「毒味をします。それからでよろしいですか?」
王女のために体をはるらしい。
俺は皿ごと兵士に渡した。
「鑑定スキルによると問題は無いように見えますね。では」
そう言って食べて叫んだ。
「うんまい!なんだこれは!」
バクバクバクバク!!!!
「ごちそうさまでした。おいしゅうございました」
全部食べてた。
「わ、私の分がありませんわよ?解雇になりたいのでしょうか?」
ニッコリ笑いながらアンリはそう言っていたが俺は別の魚を取りだした。
「欲しいならまだ作るよ」
「ルイス様よろしくお願いします!」
◇
「なんておいしいのでしょう!この刺身というものは」
「ほんとにですな。こんなにおいしいものを食べたのは初めてですぞ」
「刺身ばんざい!」
王女も兵士も俺の作った刺身に夢中になっているようだった。
まさかこんなに夢中になってくれると思わなかったな。
そう思ってるとアンリが聞いてきた。
「ルイス様は貴族の方が身内にいますよね?」
そう聞いてきた。
「なんで分かったの?」
「食べる前の挨拶ですよ『いただきます』なんていう上品な言葉は貴族以外口にしないのですから」
アンリがそう言うと兵士も頷いていた。
「たしかに我々も食べる前に挨拶なんてしませんからな」
「そんなマナーまで叩き込まれてるなんて貴族に違いないですな」
そう言われてアンリは聞いてきた。
「なぜ、こんな辺境にいるのですか?」
「それがね」
俺はアンリにこれまでの事を話した。
「まぁ、なんて酷いことを」
兵士も泣いていた。
「まさか、この世界に我が子にそんなことをする不届き者がいるとは」
「許せぬぞ。子供にこんなことをさせる親など!」
憤慨していた。
それからアンリはこう言ってきた。
「ルイス様。私と結婚しませんか?」
「け、けっこん?!」
「はい。この村に支援を行います。私は子供にこのようなことをする親を許せません」
「お、俺まだ9歳なんだけど」
「関係ありませんよ。年の差なんてものは。それに私はまだ16歳です。7歳程度の年齢差などないのと同じでございます」
そう言ってきた。
俺は今王女様に結婚を申し込まれてしまった!
うわ、どうしよう。
これ受けちゃっていいのかな?
ふへへ。まぁ、もう少し考えてからでもいいかも?
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