第7話 魔王に海龍とドラゴンをもらった

「ふむ。前金にこれをくれてやろう」


そう言って魔王は聞いてきた。


「この水路は使ってもよいのか?」

「なにするつもり?」

「警備をくれてやろうと思ってな。この村が襲撃されてしまえばあの肉が食えなくなる」

「いいよ」


どうやら警備員をくれるらしいので頷いた。


「【召喚】」


魔王は呟いて、モンスター名を口にした。


「リヴァイアサン」


すると、水の中がゴゴゴゴゴゴゴゴゴと揺れてザバァァァァァァっと海蛇が出てきた。


「でっか」



名前:リヴァイアサン

レベル:985



すげぇ。リヴァイアサンなんて初めて見た。


「魔王様。召喚に応じました」

「ふむ。この村を警備してやれ」

「御意」


それから魔王は俺を見てまた聞いてくる。


「上空は使ってもいいのか?」

「いいよ」


また何か呼び出すつもりだろうと思ってたら魔王は呟いた。


「【召喚】アルティメットドラゴン」


そう呟くと雲が真っ二つに割れてその向こうからドラゴンが出てきた!


ソシャゲのガチャ演出みたいだ!


「この村を警備してやれ」

「御意」


頷くドラゴン。


「こ、これは夢ですか?はわわわ。ガクリ」


俺の隣にいたミーシャは気絶したので抱えてやることにした。


ちなみにこのリヴァイアサンとアルティメットドラゴンだが原作では苦戦した相手だったなぁ。


まさか今回は味方になってくれるなんて。


「召喚者権限を変更する」


そう言って魔王様は、この2匹の命令権を俺に渡してきた。


「これでお前の言うことを聞くだろう」


そう言われて俺はリヴァイアサンに言ってみた。


「なんかおもしろいことしてよ」

「ちんあなごの真似でいいですか?」

「いいよ」

「にょろん。プルプルしております」


体をくねくねさせてた。


あれだあれ。

チンアナゴみたいな感じになってる。


次にドラゴンに目を向けた。


「君はなんかできるの?」

「自分は豚の丸焼きの真似が得意です」

「やってみてよ」

「熱いブヒッ!焼かないでくれブヒッ!」


器用に翼を使ってその場でゆっくりと回転していた。

その姿はまるで焼かれる豚だった。


「おー、すごいじゃないか」

「「お褒めに預かり恐悦至極でございます」」


原作ではくっそ強かっただけにちょっとキャラ崩壊を起こしているが、まぁいいだろう。


それを言ってしまえば魔王なんてもっと酷いからな。


「そういえば、人間のこと嫌いなんじゃないの?」


そう聞いてみた。

原作では主人公の敵だったからなぁこの人。


「私が人間が嫌いなんていつ言った?お前たちが襲ってくるから抵抗してるだけだろ」


そう言われて原作の設定を思い出す。


「数百年前の戦争では、魔王軍から攻められたって聞いてるんだけど」

「お前ら人間サイドが得意な捏造だ。私はいつも通り庭で家庭菜園(食人植物)をしてたらお前らが襲ってきたのだ」

「へぇ、捏造だったんだなぁ」

「人間がうるさいから家庭菜園はやめたのに、お前ら人間は私を滅ぼそうとしているのだ。人間に過剰に恨まれて困ってる」


なるほど。この人は別に悪くないようだ。


日本でもあったよなぁ。

ゴキブリさんはただ生きてるだけなのに人間が勝手に敵扱いしてるようなものなのかもしれない。


「さて、では私はそろそろ帰るぞ」


そう言って魔王様は煙のように消えていった。


俺もミーシャを担いで家に帰ることにする。


家に運ぶと起きてきたミーシャ。


「あれ?」

「あ、起きた」


ミーシャは立ち上がって聞いてきた。


「うなぎの化け物が出たところまでは覚えてるんですけど、おかしーなー」



夜になったとき外から騒音が聞こえた。


「敵襲!敵襲!」


そんな声が聞こえて俺は外に出た。


そして村の1番外側に向かうと柵の上に登った。


すると堀の向こうには大量のゴブリンがいた。


「ギィィィィィィィィィ!!!!!」

「ギィィィィィィィィィ!!」


泣きながら棍棒を振り回しながらこっちに向かってきていたが、そのとき。


ザバァァァァァァ!!


リヴァイアサンが堀から生えてきた。


「リヴァイアサンビーム!」


ちゅどーん!!!


口から水のビームを吐いたゴブリンの集団を蹴散らしていた。


「おー。ちゃんと戦ってくれてるな」

「はいでございますよ」


よろっ。

強そうなビームを食らったが向こうではゴブリンが起き上がろうとしていた。


俺はそれに手を向けて呟く。


「【フリーズ】」


ピキン!!凍りついたゴブリン。


今のはリヴァイアサンが吐いた水のビームを利用した氷結だ。

それを見てリヴァイアサンが口を開いた。


「さすがでごさいますねルイス様。すばらしい魔力量ですよ」


尻尾を出して自分の頭をペチペチ叩く。

音的に拍手のつもりなのかもしれない。


それからリヴァイアサンは尻尾を水の中に戻して、俺の前に持ってきた。


尻尾には魚が乗っていた。


「大量の魚だな」

「私は水神でございます。だから魚を増やすことくらいはできますよ。どうぞ。お食べください」


そう言われて俺は魚を受け取った。


今日の夕食にでもしようか。

それから村人にも食わせてやろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る