第6話 魔王が来た

俺は翌日村人を連れてさっそく穴掘りに勤しむことにした、のだが。


「おっしゃ!やろうぜおめぇら!」

「「「おぉ!!!!」」」


そう言って地面を己の指で掘り出した。


「えっ?」


思わず肩の力が抜けた。


「あ、あの農具とかは?」


思わず聞いてしまった。


「農具?なんすか?それは。知ってるかおめぇ?」

「知らねぇなぁ」

「俺は聞いたことあるぜ。なんでも、金持ちが奴隷に農作業やらせるときに持たせるアイテムだってよ!」


話を聞くにどうやらこいつら農具を持っていないらしい。


「はぁ、仕方ない」


ゴソゴソ。


俺はアイテムポーチから【鉄鉱石】と【木の棒】を取り出した。


まず鉄鉱石を【ファイア】で加熱して平べったい鉄板を作った。


それに木の棒をくっつけてスコップを人数分作った。


「おー。なんかできたぜ」

「さっすがルイス様だぜ。俺らの知らないことをどんどんやってくれるな」


俺は呆れながらスコップを渡した。


「これ、穴を掘るための道具だから覚えておいて」


そう言って使い方を実践してみた。

真似していく村人たち。


やがてコツを覚えたのかジャカジャカ掘っていく。


「おぉぉぉ!!!この【スコップ】ってやつはすげぇ!」

「めっちゃ掘れるぞ!魔法だ!」

「こいつぁすげぇ!!!!」


村人たちが掘り始めたので聞いた。


「今日までに終わりそう?」

「終わりますぜ!ルイス様!ガハハ期待しててくだせぇ」


俺はその間村人たちが穴を掘っている間別に橋を作ることにした。


前の門に増築する形だ。


魔法を駆使しながら作った。


橋を上げて、下げてって繰り返してみてちゃんと機能してるのを確認した。


大丈夫そうだな。


それを確認してミーシャに聞いてみた。


「魚を先に取りに行こうか」

「お魚!」


俺はミーシャを連れて例のジョウカの森に移動した。


そこで俺は右の方に進んでいくことにした。


やがて、


ザーザー。


「水の流れる音が聞こえますね」

「この先は川があるんだよ」


そう答えて俺は歩く速度を早めた。


そしてやがて立派な川が見えた。


「久しぶりに来ましたよー川ー」


そう言ってミーシャは遊びに行った。


バシャバシャして遊んでるらしい。


俺はそんなミーシャの隣で呟いた。


「【ウォーターボール】」


魔法は何も無い場所でも水を発生させることは出来るけど、水があるところで使うと水を操作することもできる。


俺は川の中の水を一気にボール上にしてそれを空中に浮かべた。


ザバァッ!


「えぇぇぇぇぇぇぇ?!!!なんですかぁぁぁあ?!!しかも魚はいってるぅぅ!!!」


叫んでるミーシャにかからない位置で俺はウォーターボールをアイテムポーチに入れた。

それから川の水をどんどんアイテムポーチの中に入れていく。

水合わせとかめんどくさいから、これをそのまま堀の水に使う。


あとはこれを持っていくだけだ。


「行くよミーシャ」

「もう行くんですか?!」

「うん。もう用事ないし」


俺はそう言って歩いていくことにした。


村に帰ってきてもまだ穴掘りが終わっていなかった。


「帰ってきたんですかいルイス様」


そう言って穴から出てきた男たち。


まだ全体の1/4くらいしか進んでない。


「はぁ……やっぱ手作業は非効率だな」


地面に刺すだけの柵作りとは違って穴を掘るのは大変そうなので


「あとは俺がやるよ」


そう言って俺は地面を見て呟いた。


「【掘り起こせ】」


パッ。


俺の見ていた地面が消えて穴が開く。


それから俺は柵を囲うように穴を広げていった。

ものの数分で作業が終わった。


「さすが貴族の方ですな」

「練習すれば誰でもできるよ」


俺はそう言ってからアイテムポーチの口を開いて堀のなかに口を向けた。


ドボー。


堀に水が溜まっていく。


「これでより強固になったね。ゴブリンが襲ってきてもまずここに落ちる」

「こいつぁすげぇですよルイス様」


そう言って穴の中を覗いていた。


俺はその横で木で作った竿の釣り糸を垂らした。


ピクっ。

さっそく魚が食いついたので引き上げてみる。


魚が連れた。


釣りというのもなかなか乙なものである。


「私にもやらせてください!ルイス様!」

「いいよ。ミーシャもやりなよ」


釣り竿を渡してやる。


そうして釣りをしていたところだった。


ザッザッザッ。


足音が聞こえて振り返った。

そこにいたのは知らない女。


「誰?」


聞いてみると女はこう答えた。


「魔王であるぞ。散歩してたら面白そうなものを見つけたので来たのだ」


そう言って俺に話しかけてきた。


「なにをしておるのだ?」

「釣りだよ。やる?」


余っていた材料で釣竿を作って渡してみる。


「やるぞ!」


そうして俺たちは釣りを始めた。


魔王を添えて。


「普段はモンスターを倒して遊んでるが、魚を釣るのも面白いな」


そう言ってる魔王様。


「楽しんでくれてるようでなによりだよ」


俺はそれからアイテムポーチからはちみつにつけたオーク肉を取り出した。


そろそろ食べ頃だと思って持ち運んでいたのだ。


「あっ!昨日のやつ!」


ミーシャはそれを見てはしゃいでた。


魔王も肉に目を向けてきた。


「なんだ?それは。甘そうでおいしそうだな」

「食べる?」

「いいのか?!」


俺は頷いて肉を焼いてから3等分にした。


それを俺とミーシャと魔王で分けた。


「とりあえず作ってみただけだけどどうかな?」


そう聞いてみると魔王はこういった。


「うんまい!なんだこれは!こんなもの食べたことないぞ!」


そう言ってから俺に目を向けてきた。


「名はなんというのだ?」

「ルイス」

「おー!ルイスは天才だ!是非とも私専属の料理人にならんか?報酬は奮発するぞ、」


そう言ってきたけど


「やだよ」


せっかく追放されて自由に生きれてるのに、また束縛されるなんてやだよなー。

ってことで


「お断りだね」


そう言ってみるとこう言ってきた。


「この肉はまだ作るのか?」

「うん。美味しかったからまた作るかも」


そう言うとゴトッと俺の目の前に金塊を置いた。


「金なら山ほどある。取引しないか?」


魔王からの提案は交易?というやつのお誘いだった。


原作にはこんなものなかったんだけどなー。

俺の知らないイベントが発生した。

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