第5話 キラービーとの取引

翌日。


俺はミーシャに起こされた。


「た、大変ですっ!ルイス様!」

「なに?騒々しいね」


俺はミーシャに着いて外に出た。


するとジョウカの森の方向に目をやるとたいへんなことになってた。


「なにあれ?煙?」

「ハチです!ハチ!キラービー!」

「殺人バチね」

「そうです!大量発生してるんですよ」


原因というと心当たりがあった。


「ジョウカの森がジョウカされて土地が回復して帰ってきたってところか。まぁめんどくさいけど対処しないわけにはいかないな。放置してたら死人が出かねない」

「よろしくお願いします先生」


そう言われて俺はジョウカの森に向かうことにした。


「さて、どうしたものか」

「いつも通り倒せばいいのでは?」


そう聞かれて俺は否定した。


「キラービーは蜂蜜を作るんだ」

「蜂蜜ってあの高級品ですか?」

「そうだね」

「でも、あんな凶暴なのどうするんですか?」

「簡単だよ」


俺はそう言って飛び回っているハチに向かって呟いた。


「【フリーズ】」


ビシッ!

一瞬にて森の一帯が冷却された。


ボトッ。

ボトボトボトボトボト。


ハチが地面に落ちた。


俺はそれを見ながら森の方に歩いた。


「は、ハチが動かなくなった?倒したんですか?」

「いや、倒してないよ。ハチってさ変温動物ってやつで、体温を下げてやると活動を一時的に停止する」

「へぇ、物知りですねルイス様は」


前世で雑学として知っていたことだった。


たぶんこの世界の貴族でもよっぽどの物好きじゃないと知ってないと思う。


それから俺はキラービーの巣を探した。


ハチミツを奪……回収して俺は帰ってきた。


ビンを持ってきていたのでそれに詰めた。


「舐めてみる?」

「い、いいんですか?!」

「いいよ。手突っ込むといいよ」


ビンの中に指を入れて舐めたミーシャ。


「お、おいしい!もう1回いいですか?!」

「うん」


ぺろぺろぺろぺろぺろ。


どんどん舐めていくので聞いた。


「口開けてくれたら流し込むけどどうする?」

「そ、それはちょっと」


恥ずかしくなってきたらしい。


別に遠慮しなくていいのにって思ってから、女王蜂を探した。


女王蜂が見つかると俺はそいつの首根っこを掴んで村の方に帰ることにした。


ちなみに地球のハチと違って40センチくらいある化け物だ。


村に帰って俺はスズメバチを椅子に縛り付けて起きるのを待った。


「ブブブブブブブ!!!!!!」


起きたら驚いて羽を動かす女王蜂に俺は言った。


「君、天敵に襲われて困ってない?あ、俺以外の天敵のことね」


女王から見たら俺が天敵に見えるんだろうけどそこは誤解を解いておく。


「ニンゲン、ナニガモクテキダ?」

「俺はただハチミツが欲しいだけなんだ。それを分けてくれたら君らのことを守ってあげるよ」

「モンスターガコワイ」

「ならモンスターから俺が守るからさ。ハチミツ分けてくれない?」

「ホントウカ?!」

「約束する」


そう言うと伸ばしていた針をしまってくれた女王。

交渉は成立だ。


俺はキラービーの女王蜂を連れて森の方に戻ってきた。

ブブブブブブブ。

空を飛んでいる女王と話をする。


「ミツはどれくらいで作れる?」

「ナノカ」

「なら週一で村のものを向かわせるから渡してくれる?」

「ウム」

「モンスターに襲われたら村までくるといいよ。守ってあげるから」

「カンシャスル」


そう言って森に戻って行ったキラービーを見送った。


俺は村に帰ってきて昨日の肉の余りをハチミツに突っ込んだ。


ミーシャがそれを見ていて聞いてくる。


「これはなにをしてるんですか?」

「漬てるんだよ。こうすると肉に味が染み込むからおいしくなるよ」

「へぇ……高級品を高級品と組み合わせると更なる高級品が出来るんですね」

「まぁそんな感じ」


じゅるり。


「食べてみたい?」

「はい」

「まぁ、1日くらいは漬ておこうかなって思ってるから明日ね」

「はい。楽しみにしてます!」


それから俺は昨日から放置してたらオークについて作業に取りかかることにした。


余っていた小さな廃屋の中にオークを突っ込んだ。


オーク達は武器がなければ力がそこまで強くない。

もちろん、武器は奪い取ってあるのでこの家を破壊出来ることはないだろう。


「フゴッ」

「フゴッ?」


不思議そうにしているオークたちに餌をやってから俺はそこに鍵を閉めた。


それから村人の一人にここの監視をすることを任命した。


餌やり当番も任せておく。


これで勝手に繁殖するはずだ。


そしてオーク肉が何もしなくても手に入るというわけ。


最高の不労所得かもしれない。

そのうち他の国に売りつけるのもありかもしれないけど、とりあえず村人の生活の質を安定させるのが先か。


そんなことを思いながら俺は今日も家に帰ることにした。


それからミーシャに相談する。


紙に簡単に村の周囲込みの地図を書いた。


「村の防衛に関してなんだけどさ」

「はい」

「ここに穴を掘ろうと思う。できれば深さ5メートルくらいの」


俺は柵のすぐ横を指さしてグルーっと囲った。


「穴を掘るとどうなるのですか?」

「よりこの村は攻められにくくなる。それでさここに水でも溜めようと思うんだ」

「どうして?」

「ここに魚を放り込めば魚の繁殖できる」


目を見開いてミーシャは聞いてきた。


「貴重な高級品である魚が直ぐに取れるということですか?!」

「そうなるね」


俺がそう言うとミーシャは叫んだ。


「一石六鳥くらいですね!天才ですよ!ルイス様は!」

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