第4話 オーク肉でひらめく

俺は再度ジョウカの森を訪れた。


実はこの森。神様もいればモンスターもいるわけだ。


まぁ神様エリアにはモンスターも近付かないんだけど。


俺はジョウカの森を入ると直ぐに左の方に進んでいく。


「オークって強いのでは?」

「大したことないよ」


俺はそう言いながらアイテムポーチにいれてた武器を取り出すとミーシャに渡した。


「はい。あげるよ、護身用にね」

「え?い、いいのですか?」

「いいよ。俺は要らないし」


俺には自分の体があるから装備なんていらない。


だから手持ちの装備は貸してあげる。


そうしながら念の為俺は【ウィンドバリア】を体の周りに展開しておくことにした。


こうすることで不意の攻撃にも対応できる。


夜の森にはなにがいるか分からないし。


オークどころか毒蛇だった。そのへんの色んな意味で危ないやつもいるからね。


そうして進みながら俺は次に【フラッシュボール】を使った。


俺の前で人魂のようにふよふよ浮いて当たりを照らしてくれる便利な魔法だ。


「うわっ!すごっ!まぶしっ!」


ミーシャはそう言って目を細めていたので少し明るさを下げることにした。


そうしながら照らす範囲を変更する。

前後左右から後ろを抜いた。


こうすることで前と左右からのモンスターには気付ける。


「ほんとにすごい魔法ですね〜。でも、なんでこんな村に来てくださったんですか?私たちの所有者の人達はこんな村見捨てたみたいですけど」

「追放されたんだ。勇者をぶん殴っちゃったみたいで縁切られた」

「えっ?!そうなんですか?!」

「だからもう敬語使わなくていいよ。俺はもう君と変わらない一般人だから」


この子達が俺に敬語を使ってるのなんて俺が貴族の人間だから。

それだけだったが、その肩書きがなくなれば使う必要はなくなる。


そう言ってみるとミーシャは聞いてきた。


「お姉ちゃんって呼んで欲しいなぁ……?」

「呼ばないよ」


そう言って歩いていくとミーシャは言った。


「でも、私はあなたを尊敬していますからこのままいきますよ」


と、敬語は続行らしい。

初めから敬語口調の子らしい。


そうして歩いてると小さな山が見えてきた。

そして麓には穴が見えた。


「なにかが山を掘って開けた穴っぽいね」


俺はそう言って中に入っていくと


「グォォォォォォォォ」


大きなイビキを上げて眠っているイノシシ顔のモンスターが見えた。


「ウィンドカッター」


オークを倒した。


オークは淡い光になって消えていく。

そのあとに残されたのはドロップアイテムだった。


【オーク肉】

【オーク肉】

【オーク肉】


ちょうど欲しかったものがドロップしてくれたので回収する。

それから


コロッ。

壁からなにか落ちてきた。

目を向けてみると


【オーク洞窟の岩塩】というアイテムだった。


それらを持って俺は外に出た。


その辺の木を倒して焚き火を作って【ファイア】で火をつけた。

簡単な焚き火の完成だ。


短刀を取りだして先っちょを熱消毒してから、オーク肉をぶっ刺した。

肉を焚き火に突っ込む。


ジュワー。


オーク肉が焼けてくる。


「ゴクリ」


唾を飲み込んだミーシャ。


「先に食べる?」

「い、いいんですか?」

「俺は食べたことあるしね、先に食べるといいよ」


焼き上がると俺は肉を取ってもらった。

それから


「ちょっと待ってね」


俺は近くに置いていた岩塩をナイフで削り肉の上にかけてやった。


熱消毒済みなうえ表面はかけてないので、衛生上も問題ないだろう。


「た、食べていいですか?!」

「どうぞ。喉に詰めないようにね」


俺がそう言うとパクっ!


食べて


「お、おいし〜。こんなおいしいもの食べたことありません!うちの村の特産品にしましょうよこれ!」


ガツガツっ!


どんどん食べていく、


俺も別の肉をぶっ刺して同じように焼き始めた。

初めは辺境に追放と聞いてちょっとばかり不安もあったけど特になんの問題もなさそうで良かった。


そうして小さな食事会を済ませた俺は焚き火を消した。


「なんかしんみりしますね」

「そんなもんだよ」


フラッシュボールをもう一度浮かべて俺は農場で使う用のオークを探しに行くことにした。


2匹のオークのつがいを捕獲して俺はアイテムポーチに収納した。


「すごいですね。そのアイテムポーチ、何でも入るんですね」

「貴族のアイテムポーチは特殊なものだならね。だいたいなんでも入るよ」

「へーすごい……」


俺のアイテムポーチを羨ましそうに見ていた。


「今度作ってあげようか?」

「い、いいんですか?!」

「いつになるかは分かんないけどね」


そういえば思い出した。


「魔法の件もまだだったしね。そうだ。帰り道にでも教えようか」

「お、お願いしします!ルイス先生!」


俺はそんなことを言うミーシャに帰り道で魔法を教えることにした。


ヒュン!


「まず、これが基本のウィンドカッター」

「いつも使ってる魔法ですよね?」

「そうだね。俺はこれが一番好きだな」


それから


「普通のウィンド。風を起こすだけの魔法」


ヒュォォォオォォォ。


風が起きた。


そして


「でも、更に力を入れると」


ボキッ!


隣の木が折れた。


「風の力だけで木を折れるようになる」

「すごい!台風みたいですね!」

「練習してみるといいよ」


俺がそう言うとさっそく練習を始めたミーシャ。


俺の髪の毛がサラサラと少し動く程度の風だったけど


(もう少し練習すると化けるかもな)


なんてことを思う俺だった。

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