第3話 村の防衛

俺は村人たちの集まる広場に着ていた。


そこで大勢の村人たちを前にして口を開く。


「みんな聞いてくれ」

「どうしましたかな?ルイス様」


ひとりの老人が一歩前に出てきた。


それはこの村の長老だった。


「俺はこの村を復興させようと考えている。そこで、みんなに農業を再開して欲しい」


ザワザワ。

村人たちはお互いに顔を見合せていた。


それで口を開く村人たち。


「今更?」

「なぜか、干からびていた土地は直ったが、それでも農業をしてもゴブリンがくるんだぞ?」

「育てても無駄じゃないか」

「友達も襲われて死んじゃったしな」


あまりいい言葉はなかった。

みんな農業の再開は望んでいないようだ。


「まずはじゃあゴブリンから身を守るために村を守ろう」


ザワザワ。


「村を守るってどうやって?」

「ゴブリンなんてどこからでも来るって言うのに」


俺はそんな言葉に答える。


「村を柵で囲うんだ」


俺は村を見回してみた。


残念ながら今は門もなければ柵もないのがこの村の現状だ。


つまりとりあえずモンスターを阻むための柵作りが重要となってくる。


「柵とはなんなのでしょうか?ルイス様」

「我々にお教え下さい」


ふむ。

どうやら柵を知らんらしいな。


まぁ、この世界に学校なんてものはない。

つまり万里の長城も知らなければ、城門なるものも知らないのだ。


仕方ないだろう。


俺は口を開いた。


「村人全員ついてこい。説明しよう」


俺はジョウカの森にやって来た。


そこで一本の気の前に立つと。


「【ウィンドカッター】」


ビュン!

鋭い風の刃を出して一本の木を切った。


それからその木を更にバラバラにしていく。


そうすると【木の棒】ができた。


それから近くにあった【ゴムの葉】というものを取ったそれをちょっと加工するとゴムのような伸縮性のある紐ができた。


【木の棒】と【ゴム】を持って俺は簡易的な【円】のような形をした柵を組んでみた。


そしてみんなに説明する。


「これが柵だ」


ザワザワ。


「お前見たことあるか?」

「あるぜ。俺たちよりもっといいとこの村にはあぁいうものがあった。まさかアレが【柵】ってやつだったんだな」


柵というものについて理解してくれたらしいので俺はそれを地面に刺した。


「これをこうやって地面に刺して村を囲む。これで簡単にゴブリンは侵入できない。なぜならあいつらは頭が悪いからな」


俺たち人間はジャンプして乗り越えるとか、くぐるとか色々侵入方法を思い浮かべるがあいつらは馬鹿だからそれができない。


ザワザワ。

村人達の目に希望の色が見えてきた。


「おいおい!まじかよ!これで俺たちの村襲われなくなるんじゃねぇのか?!」

「これなら農業をやる意味が出てきたぞ!」


そのとき一番体のでかいヤツが口を開いた。


「うし。おめぇらルイス様に協力してさっさと【柵】で村を囲んじまうぞ!」

「「「おっす!」」」


俺はそれを聞いてどんどん木を倒していくことにした。


木の棒の用意をしてやると後のことは勝手にやり始めた。


男だけじゃなく、女の子も作業に加わる。


(これなら今日中に完成するかもな)


俺はそう思った。



そうして、完成した。

柵が。


「よし。お前ら!完成したぞ!柵が!これでもうゴブリンに恐れる必要はねぇ!」


そうして男たちは喜んで農作業を再開しに行った。


俺は最後の仕上げとして村の1箇所に扉を付けることにした。


ギィ、バタン。


パカパカ。


押したり閉めたりしてちゃんと動くかを確認した。


「よし、これで荷車とかの出入りも問題ないな」


隣で俺の作業を見ていたミーシャは喜んでた。


「これでもうゴブリンを恐れる必要はないんですね!」

「そうだね」


まぁ、もっと言うといろいろできることはあるけど、とりあえずのところはこれでいいだろう。


俺はミーシャに声をかけた。


「家に帰ろうか」

「はい!」


家に帰ってエントランスにあったソファに座り込んだ。


「お腹すいたな」


ぐ〜。


ここにきてろくな物を食べてないせいだ。


「肉食べたいな〜」

「肉は高級品ですよ。やっぱりルイス様は食べたことあるんですか?」


ミーシャの言葉に頷くと聞いてきた。


「オーク肉っておいしいんですよね?ドラゴン肉は最高級って聞いたことありますよ」


そう聞かれて頷いた。


「だいたいそんなもんだね。オーク肉は安価で美味いんだよね」

「いいな〜。死ぬまでに食べてみたい〜」


そう言ってるミーシャに言ってみる。


「オーク肉でいいなら食べてみる?」

「え?ど、どうやってですか?」

「オークを倒しに行くんだよ。俺も食べたいし」

「今からですか?!」

「今からでもいいよ」


俺はそう言って聞いてみた。


「どうする?」


じゅるり。


ミーシャは頷いた。


「お、お願いしてもいいですか?」

「よし。んじゃ行こっか」


その前に軽く腹ごしらえをする。


実はと言うとこの村に追放される前に隠れて持ってきたものがある。


スっ。

俺はミーシャに1個差し出した。


「ぱ、パンですか?」

「食べていいよ。他の人には秘密ね」

「は、はい」


パクっ。

ムシャムシャ。


よっぽどお腹すいてたのか一気に食べていく。

俺も食べていく。


しかし、あまり腹には貯まらなかった。


やはり肉だ。

肉が食べたい!


それと


(できればオークを捕まえて交配させよう。それでオーク農場を作ろう)


そうすればいつでも食べ放題だ。






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