第2話 神様を助けた
翌日俺はミーシャを連れて家を出て村の外にある森の前まで来ていた。
森って言っても草木の元気は無い。
今にも折れそうだ。
それから俺の目の前にはこういう看板があった。
【ジョウカの森】
「こんなところに何のようなんですか?げほっ」
咳をしていた。
俺はそんなミーシャと自分に風のバリアを貼った。
「ウィンドシールド。これで変なウイルスとかホコリは中に入ってこない」
「す、すごいですね。ほんと、こんなに綺麗に魔法を使えるなんて。で、でも意味があるんですか?これには」
俺は頷いてからそのまま森の中に入っていくことにした。
道を歩いてるとミーシャが話しかけてきた。
「呼吸が楽になりました」
説明を行う。
「この村なんだけど昔は神を信仰していたんでしょ?」
「は、はい。【ジョウカ様】という神を信仰しておりました」
原作通りだ。
「咳の原因はそれだよ」
「そうなんですか?」
「神様が信仰されなくなって病んでケガレ神になってるんだよ。それで体に悪い物質をまき散らしてる」
よくあるパターンだけどめっちゃ迷惑だよなーこれ。
ちょっと信仰されてないくらいで病むなっつーの。
森の中を10分くらい歩いてるとヤシロに着いた。
ジョウカを祀っているものだ。
パンパン。
手を叩いてみるとお化けみたいなのが出てきた。
前髪めっちゃ長くて顔も見えないやつ。
こいつがケガレ神だ。
「な、なんか出ましたよ?!」
俺の後ろに隠れるミーシャ。
どうやら怖いのが苦手なのかもしれない。
俺は軽く笑顔を浮かべながらケガレ神に話しかけた。
笑顔って大事だからさ。
「変なものを振りまくの辞めてくれないか?それのせいでみんな困ってるんだよ」
具体的に起こってることを説明してやることにした。
「村人たちがあんたのせいで咳してんのよ。それからね。あんたがここで病んでるから土地が死んでる」
俺は昨日家に向かう間にちょろっと見ただけど荒れが酷かった。あれじゃ村の人達は農業もなにもできない。
「……」
黙ってるケガレ神。
「ジョウカちゃん?聞こえてる?」
「あ……」
なんか喋った気はするけどよく聞こえない。
近付いてみる。
「ぐ、る、し……」
そんな声が聞こえた。
「苦しい?」
「くる……」
どうやら原作通りらしいな。
ちなみに原作だけど、これを祓ったのは【
だから今回もこいつに使うのはヒールでいいはず。
そのときミーシャが聞いてきた。
「神様相手にそんな話し方でいいんでしょうか?」
「いいよいいよ。どうせ意識ないし」
原作でもそうだった。
ケガレ神になっている間の記憶はなかったから。
俺はケガレ神のデコに手を置いて呟いた。
【ヒール】
ぽぉぉぉぉぉおぉっ。
淡い緑色の光がケガレ神を包み込む。
そうすると汚れがどんどんと取れていく。
ヘドロみたいなクサイにおいもどんどん消えていく。
長かった前髪もどういうことなのか、短くなっていく。
そしてしばらく放置してるとそこに現れたのは羊みたいな神様だった。
もふもふしてる。
「タスカッタゾニンゲン」
神様に答える。
「いいよ。それより病むのはやめてくれる?それと土地をどうにかしてくれ」
「ワカッタ」
カツン。
羊の神様が足で地面を叩くと羊を中心に草木が育っていった
そして、それは俺の村にまで届いただろう。
俺は神様に言った。
「ジョウカ様。じゃあ作物とか取れたらお供えに来るからそれで機嫌治してくれる?」
コクっと頷いたジョウカ様。
よし、これでもう咳とかは大丈夫だろう。
無事に原因も解決した俺はミーシャと一緒に外に出ることにした。
帰り道話しかけてくる。
「すごいですねルイス様は。まるであそこにジョウカ様がいて困ってるのを知っていたような素振りでしたね?」
「(原作をやってて)知ってたからね」
「知ってたんですか?!すごいですね!さすが貴族様!ばんざーい!」
そう言ってるミーシャと歩いてると村まで戻ってきた。
それからこれからのことについて相談。
「俺はこの村を復興させたいと思ってる。自分で暮らす村だし」
そんな村を滅びに向かわせる訳にはいかない、ということで俺はここを復興させようと思う。
「手始めにここの村人に挨拶をしたいと思っているんだが、広場に集めてくれないか?」
俺がそう言うとミーシャは笑顔で頷いてくれた。
「はい。喜んで。30分くらいで集め終わると思うので、その時に広場にお願いします」
そう言って一足先にミーシャは村の中に戻って行った。
俺はそのあいだに村の事を見回ることにした。
現状の把握を行う。
村を見て回りながら思い出してた。
「たしか、この村って一応農業をしてたんだよな?」
それを俺たちの屋敷に売って俺たちが買って、そのお金で生計を立てていたはずだ。
「今はしてるように見えないけど、あーそういえば」
記憶を漁ってるとなぜ農業をやめたのかについて思い出した。
「ひとつがジョウカの件でそれから2つ目がゴブリンの問題だったな」
この村はあるときからゴブリンに狙われるようになった。
農作物を作ってもゴブリンが奪いに来て意味がないからだ。
で、こんな辺境に金をかけるのも無駄と思った父さんたちは切り捨てた。
そういう過去があったはず。
「まずは農作業の再開とゴブリンへの対応、だな」
やることをまとめた。
この件も話しながら村人たちには話をしてみよう。
いろいろ考えながら村を見てたんだけど。
ゴブリンに狙われる理由だけど、なんとなく分かった。
「そういえばこの村柵がないよな。門もないし」
これなら入ってくれと言ってるようなものだ。
とりあえず柵を作ろう。
できれば、すごいやつ。
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