11話

情報は得られたけど、どうやって派閥を潰すかだよな。

俺は数日何もやることがなくアカデミーに通っていた。


「君この前広場で戦闘していたよね?」


廊下を歩いていると見知らぬ男に話かけられた。


「誰?」


「私はこの学校の1Stという派閥のスカウトマンだ」


どうやらタイガとの戦闘を見て、あっち側から都合よく近づいてきてくれたようだ。


「スカウトマン?」


「うん??君は知らないのかい?」


「俺は編入性だからここのことはよくわからない」


「では、少しカフェで話をしよう」


「金ないんだけど」


「それくらいは奢りますよ」


「よし!行こう!!」


俺は1Stの男について行った。

アカデミー内にあるカフェでコーヒーとデザートを奢ってもらい話を聞いた。


「広場で見たが君のスキルはとても魅力的なものだった。

どんなスキルなんだい??」


「俺は信用ができる人にしかスキルは教えないんだ」


「そうですか・・・スキルを教えてもらえないのは残念ですが、実力は申し分ないので是非1Stに入っていただきたいのですが、いかがですか??」


「それに入ることによって何かメリットがあるんですか??」


「メリット??ここでは、どこか派閥に入らないとアカデミーでは生きていけませんよ??」


「なぜ??」


「あそこを見てください」


男が指さした先を見てみた。

すると一人の男が囲まれいじめられていた。

彼は、派閥の勧誘をことごとく断りハンターを目指した者の末路です。


「くっ・・・・・」


「雑魚は調子に乗るなよ!!ハンターになりたいなら上に従えよ!!」


「なるほどな」


「ご理解いただけましたか?」


理事長が話していたことがなんとなく理解できた。


「お前らがハンターになれず群れることでしか力の誇示が出来ない連中だってことはな」


「なんだと・・・」


男が静かな殺気を放ってくる。

俺はそれを無視して囲まれていた男のもとに歩いていき、周りにいた者たちを殴り飛ばした。


「誰??」


「なぁ、俺はこのアカデミーの糞みたいな派閥壊しにきたんだ」


俺は男の手を取り起こした。


「ええ!?」


「後悔しないでくださいね」


1Stの男はそう言い残して去っていった。

その後いじめられていた男と教室に戻り話を聞いた。

彼は今年入学し、派閥というものに疑問を感じて所属をしていなかった。

日に日に派閥からの圧力が強くなり、アカデミーにくるのも抵抗を感じてしまうくらいになっていたようだ。


「よくそんな状況で耐えられたな」


「はい・・・・僕は何としてもハンターになりたかったんです。」


「なんかあったのか?」


「兄がゲートから帰ってこないんです。

兄は強いから絶対ゲートの中で生きてるはずなんだ。」


「そうか」


「人は何か利益がないと動きません。

だから僕は一人で強くなって戦わないといけないんです」


彼の眼には強い意志が宿っていた。


「君ならきっと強いハンターになれるよ」


「はい・・・」


その後彼から1Stの情報を聞いた。

どうやら1Stはスキルの能力が優れているものをスカウトして傘下にいれている。

それをまとめているのが、この学園のトップ3に入るガインという男だ。

彼はこのアカデミーに何年も在籍しており、実力は十分なのに素行の悪さからハンターになることを理事長から止められていてアカデミーから出られていない怪物らしい。


「僕も一度ガインと戦いましたが、手も足も出ませんでした。

あれはチートスキルです。」


「どんなスキルなんだ?」


「わかりません・・・気が付いたら病院でした。

自分もそれなりに実力には自信があったんですが・・・」


「そんなレベルなのか・・・」


別の派閥のほうがよかったんじゃないかと後悔が押し寄せてきた。


「さっきスカウトを断ったのでそのうち目の前に現れると思いますよ」


「??」


「ガインは自分の派閥の勧誘を断った奴を絶対許さないんです」


「面倒な男だな・・・」


「気を付けてください」


「ありがとう」


俺は寮に戻り休むことにした。

いろいろあったが進展はいくつかあった。

ガインか・・・・

近いうちに会えそうだな。

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