8話
ゲートに閉じ込められて約1週間経っていた。
「退屈だ・・・」
周りのゴブリンは狩り尽くしてしまい。
襲われることもなくなった。
「あー皆さんお待たせしました。
本来は一ヶ月皆さんを観察する予定でしたが、モンスターを狩り尽くして退屈な挑戦者が数名いるのでここで最終試験を行います。」
「これで終わりじゃなかったのか」
「では、最終試験に進んだ人だけボス部屋に案内します。」
指を鳴らす音が聞こえテレポートが発動する。
目の前には玉座のようなデカい椅子に座った。
ミノタウルスが現れた。
「これが最終試験か」
俺は短刀を構える。
ミノタウルスの大きさは大体4〜5メートルってところか
「ヴォォォォォォォォォォォ‼︎」
ミノタウルスが咆哮と共に立ち上がり、傍に突き刺さっていたバトルアックスを手に取った。
「魂(ソウル)は十分!よしやろうか!!」
ミノタウルスが咆哮を上げて接近してくる。
「ソウルイーター‼︎‼︎‼︎」
「魂の救済を開始します。」
脚に力を込めて蹴り出す。
一瞬でミノタウルスに接近してバトルアックスを持つ腕を斬りつけた。
浅い・・・
感覚でなんとなく致命傷になっていないことに気がついた。
追撃だ。
そのまま身体を回転させて背中を斬りつける。
叫び声をあげてバトルアックスを振り回し始めた。
一旦距離をおき、落ち着くのを待つ。
「ハーハーハーハァー」
ミノタウルスの息遣いが聞こえる。
血を流したミノタウルスは徐々に弱っていた。
「残り1100秒」
「あまり無駄遣いはしたくないな」
次で決めよう。
「スキル発動オーラブレード」
「魂(ソウル)を100消費してオーラブレード発動します。」
これはミヨリ達から貰った素材から吸収できたスキル。
みんなと離れた後に確認してみたところかなり使えるスキルだった。
発動すると同時に短剣の刀身に黒いオーラが纏うことができた。
短剣だった物が黒いオーラのおかげで刀くらいの大きさになっていた。
「グォォォォ‼︎」
息を整えたミノタウルスが再び接近してくる。
俺も向かい撃つために構える。
刀っていったらやっぱあれだよな・・・
「抜刀・・・」
スキルではないが、昔見たことがある男の剣術を真似してみた。
それはミノタウルスの動きに合わせ、刀を腹部めがけて高速で振り抜くカウンターのような抜刀だ。
俺の横を通過したミノタウルスの突進の勢いはどんどん弱まり、身体は腹部から半分に斬り倒れる。
「吸収しますか?」
「はい」
俺はミノタウルスの魂(ソウル)を回収した。
「魂(ソウル)120吸収」
「これで長かった試験も終わりだーーー!」
俺はその場に倒れ込もうと座り込んだ次の瞬間最初の広間へと戻されていた。
「あれ?」
「皆んなお疲れ様」
目の前には見ず知らずのスーツを着たおじさんが立っていた。
「⁇」
「なんだ?」
「だれ?」
俺以外にも2人テレポートしてきてた。
1人はフードを深々と被り表情がわからない恐らく女の子。
もう1人は、赤髪なのかそれとも返り血で赤くなっているのか血だらけの音がいた。
2人とも俺と同じ反応をしていた。
「マジか・・・編入してくるのに理事長の顔を知らないなんてな」
テレポート使いの男が後ろから現れる。
「あ、テレポートの!」
「テレポートじゃないシュンだ」
「シュン連絡をくれてありがとう
なかなかいいものが見れたよ」
「いえ、私の判断では難しかったので」
彼は理事長の側まで歩いて行き頭を深々と下げていた。
「さぁて、君達の合否だが3人とも合格じゃ」
理事長が唐突に俺たち3人に向かって合格宣言を出してきた。
「やったーー!!」
俺は喜びのあまり声を出して飛び上がった。
「当然だろ」
「・・・・そうですか」
しかし、その他の2人は思ったほど喜んでもいないというより当たり前だと言わんばかりの態度だった。
「なんじゃ喜んでるのは1人だけかい・・・つまらんの
まぁ、今回は特別じゃから条件があるけどの」
「条件?」
「なんだよおっさん面倒臭っ」
「⁇」
条件という言葉を聞き皆少し不信感のようなものを募らせていた。
「今のハンターアカデミーには派閥が存在しておる。それを全部ぶっ壊してほしいのじゃ」
そんな俺たちに説明すように理事長は話し始めた。
「派閥?」
「長く続いていると変な派閥ができてしまっての
ハンターの育成に悪影響を与えておるのじゃ」
「⁇」
「ハンターアカデミーとは、各々の力で成り上がって行く実力主義の場所だったんじゃが
今は群れて自分の強さを主張するような奴が増えてしまっての」
「そいつらをぶっ飛ばせばいいってことか?」
「そうじゃの」
「最高じゃねぇか‼︎」
血だらけになっていた男がテンションを上げて喜び出した。
こいつは戦闘狂か・・・と心の中で思った。
「そんなことしてハンターになれないとかないですよ?」
「優等生かよ」
「なんだよ?」
俺は思わず男を睨んでしまった。
「やんのか⁇」
「やめなさい。
その心配はない。
さっきも言ったが、ハンターアカデミーは実力主義じゃ」
「それをやって私達になんのメリットがあるの?」
もう1人のフードを深々と被った女性は冷静に話を聞いていた。
「うーんそうじゃの〜
お主達は実力は申し分ない
この問題を解決したらハンターライセンスをやる」
「理事長!?」
「それくらいの実力の持ち主達だ」
「確かにそうですが・・・他のものが認めるかどうか」
「だからこそ力を証明するために群れる奴らをやるんじゃよ」
理事長は嫌な笑みを浮かべていた。
「群れることでしか力を誇示できない奴らはハンターにはいらん」
「わかりました。」
「優等生は黙って過ごしてな、俺がやっておいてやるからよ」
「はいはい」
俺は軽くあしらった。
「私は自由にやらせてもらうわ」
3人各々解散した。
「協力はした方が良いぞ。
じゃあ頼んだよ」
そう言い残し理事長はその場から去っていった。
「全く理事長は何を考えているのか」
「この後はどうすればいいですか?」
「君達をハンターアカデミーの寮に案内する。
今日はそこで休んでもらって明日からハンターアカデミーに通ってもらうよ」
「さぁ、明日から暴れてやるかー‼︎」
「頼むから問題をあまり起こさないでくれよ」
「早く案内してちょうだい」
「俺も早く布団にはいりたい」
長い編入試験は3人の合格で幕を閉じた。
明日からハンターアカデミーでの生活が始まる。
今日は久しぶりゆっくり休もう。
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