6話

ハンターアカデミー

世界各国にあり、ハンターを育成するために作られた機関である。

入学は16歳から可能で、ハンターになる為ここで様々な知識や技術を身につける。

俺もここに通うために一度試験を受けたが、スキルが使用できないため入学ができなかった。

だけど、今は違う。

スキルの使用も戦闘技術も磨いてきた。

編入試験は難関だけど絶対にハンターになってやる。

編入試験のための受付を済ませると、広いホールに案内されてそこで他の受験者たちと試験開始まで待機することとなった。

ざっと見ても100人以上入るような状況だった。


「こんなに多いのか」


年齢は皆バラバラのように見えた。

成人してそうな大人までいる。

ハンターになれた者とならなかった者の差は絶大だ。

諦めきれないよな・・・

編入試験はそんな一縷の望みをもって受ける人が大半らしい。

しばらく待っていると受付が終わったのか、試験監督達が壇上に現れた。


「あーマイクテスト

皆さん今日は編入試験に来ていただきありがとうございます。

早速ですが、人数が多すぎるので半分くらいに減らします。」


男は指を鳴らした。

次の瞬間俺たちは競技場のような場所に移動していた。


「今のなんだ!?」


「テレポートスキルか」


あまりにも一瞬の出来事で周りも驚きざわついていた。


「先ずは基礎体力のテストです。

脱落者が半分出るまで走り続けてください。

ではスタート」


男の無気力な声と同時に唐突にテストは始まった。


「走り続けろってルールはそれだけかよ」


「簡単じゃね」


皆一斉に走り出す


「そんなトロトロ走るのが許されると思いますか?」


男は再び指を鳴らす。


次の瞬間背後に巨大な戦闘車が現れる。


「あーこの戦闘車に追突された者は失格です」


「おいおい嘘だろ!!死んじまうぞ!?」


「死ぬ気で走ってください」


「ふざけんなー!!」


ヤジを飛ばす者達が戦闘車に追突され姿を消していく。


「ぶつかる直前にテレポートしているのか」


俺の隣にいた男がつぶやいた。

俺も振り向きざまに見てみると確かにぶつかる直前に消えていた。

こんな状況でよく見てるな・・・

感心している間もなく戦闘車はどんどんスピードを上げていく。


「無理だーーーーーーー!!」


「ハンターは不可能を可能にしなくてはいけません」


「くそっ!」


俺も全速力で走る。

限界が来ても足は絶対に止めない。

戦闘集団に置いていかれないように必死に走った。

どれくらい経っただろうか最初の罵詈雑言が消え

各々が生き残るために淡々と走る時間が続いた。


あと何人脱落したら終わるんだ?


そんな言葉が脳裏をよぎる。

後ろを気にする余裕もないからただ前を向いて走る。

前には涼しそうな顔をして走る者達がいた。


マジかよ・・・・


まだまだ俺も努力が足りないな。

荷物持ちをしてたから多少は体力に自信あったんだけどな。

悔しい気持ちを感じていた時無気力な声が聞こえた。


「えー想定より多く残りましたが、ここで終わりにしましょう」


戦闘車が急停止する。


「はーやっと終わった」


俺はその場に座り込んでしまう。


「あー休んでる暇はないですよ?」


男は再び指を鳴らす。

次は競技場から森の中へと場所が変わった。


「休みもなしか・・・次はなんだ⁇」


さっきまでいた人達もいなくなり1人になった。


「次は皆さんのサバイバル能力の確認です。

ゲート内では、何ヶ月、何年と過ごすことがあります。

見ず知らずの環境で皆さんの生存能力のテストです。」


「これなら何度もゲートに入ってる俺からしたら余裕だな」


俺は高い木を探して上に登り周りを見渡した。

モンスターなどの状況の確認と周囲の状況を見た。

モンスターはゴブリンが数体彷徨いているのが見える。

その先に少し開けたスペースを見つけたので、そこに拠点を作ることに決めた。

拠点までの移動の間に果物、薬草、焚き火に必要な枝を回収した。

開けたスペースに到着すると、自分の寝床を囲むように落とし穴を作り囲んだ。

次に簡易的な柵も作っていく。


「とりあえずこんなもんかな!」


作業をしていると荷物待ち時代を思い出す。

嫌なパーティーに当たった時はよく拠点作りもやらされてたな〜

今ではそれがいい経験になってる。

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