3話
テレビを見ていると流れてくるのはリュウジの話題ばかりだ。
どうやら他の2人はパーティーから抜けたのか出てこなかった。
「こいつはよくここまで嘘を並べられるよな」
怒りはなかったが、呆れたしまった。
「まぁ、今のうちに浮かれてればいいさ」
復讐ってわけではないが、やられた分はやり返さないとね。
「システム!スキルの確認」
「はい」
スキル ソウルイーター ランク未定
現在の魂(ソウル)126
能力詳細 魂(ソウル)を吸収する。
吸収した魂(ソウル)を使用することにより身体能力の向上とスキルの使用が可能
吸収したスキル
影の支配者 ランクS(使用条件有)
どうやら今まではFランクだったソウルイーターがランク未定になっていた。
「未定ってどういうことだ?」
考えてもわからないからとりあえず様子見だな。
そんなことよりも影の支配者スキルがランクSだなんてマジで強すぎる、、、
ただ一部の使用だけで、魂(ソウル)を1000も消費するから現状じゃ無理だな。
ソウルイーターですら2分しか発動できない。
「先ずはソウルの問題を解決しないとな!」
俺はハンター協会へと向かった。
「いらっしゃい!ってミツルギじゃない!?」
「ご無沙汰です。レイさん」
ハンター協会につくといつもお世話になっている受付のお姉さんが慌てて迎えてくれた。
「大丈夫だったの!?」
「えーとまぁなんとか・・・」
「死んだなんて噂が流れていたから心配したのよ‼︎」
「確かに死にそうにはなりましたね」
「まぁ、何はともあれ生きてて良かったわ」
レイさんは安堵した雰囲気を出していた。
何やら結構心配してくれていたらしい。
荷物持ちなんかを心配してくれる人なんて珍しいものだ。
「荷物持ちの仕事はないかな?」
「ちょうどこれからゲートに行くハンターを探していたから紹介するわね!今度はあんな無責任なハンターなんて案内しないから安心してね!」
「あははは」
レイさんの怒りの矛先はリュウジのことだろうな
俺は渡された依頼書をもとに攻略のハンター達が集まる場所に向かった。
「はじめまして!」
お店に入ると4人のハンターが座っていた。
「はじめまして!君がレイさんから紹介のあったミツルギ君だね!」
「はい!よろしくお願いします!」
「ええ!私はこのパーティーの代表スズカよ!
よろしくね」
俺達は握手を交わした。
「あと他のメンバーはタンク担当のイカリ」
「よぉ!よろしくな」
「遠距離アタッカーのミヨリ」
「よ、よろしく・・・」
「サポーターのキヨミ」
「よろしくねミツルギ君!」
「ミヨリとキヨミは双子だから役割は間違えないようにね!」
どうやら双子のようだ。
ただ性格は正反対の用だ陽気な子と控えめな子で覚えておこう。
「わかりました!」
「それじゃ早速だけどゲートに行こうか!」
「はい!!」
俺達はゲートに向かった。
今回攻略するゲートはダンジョン型のゲートだ。
ダンジョン型はクリア条件が決められてあり、それを攻略することによりゲートから解放される。
通常であれば大体ボスモンスターの攻略だが、稀に攻略が特殊なイレギュラーダンジョンというのもあるから気をつけなくてはいけない。
「ここは調査済みのダンジョンだから心配ないわよ」
俺が緊張した面持ちをしていたから気にしてくれたのかスズカさんが声をかけてくれた。
「ありがとうございます」
「みんなに一応説明するわね!
調査班の調べによるとボスの部屋があり、恐らくそこの攻略がクリア条件になってるわ!
ダンジョンレベルもDランク
私達なら問題のないレベルだけど油断しないようにね!」
「おう!」
「はーーい!」
「が、頑張る・・・」
俺たちはゲートの中に入った。
ゲートの中はどうやら洞窟だった。
「調査班がボス部屋までは目印を付けてるからそれを頼りにして進みましょう」
松明の火を灯して周りを照らしてみると×と⚪︎わかりやすいように分かれ道などに壁に刻まれていた。
「調査班のおかげでダンジョンは楽になったよな〜」
「本当そうだよね」
調査班については俺も聞いたことがある。
ハンター協会の所属で探知と隠密に優れたハンターがいるって話だったかな
人数もどんな人物なのか誰も知らない。
謎の有能ハンターなんて言われている。
「2人とも話してないで周りのゴブリンを警戒して‼︎」
「はいよー!」
「大丈夫大丈夫ちゃんと警戒してるから」
「ミツルギ君はわ、私の後ろで素材回収してね」
「ミヨリさんありがとうございます」
「い、いえいえ」
4人は能天気に話していたが、モンスターが現れると連携を取りしっかりと狩っていた。
心配要らなそうだな
しかし、一つだけ問題があった。
今回同行した目的はソウルの回収だ。
現状素材は亜空間バックにいっぱい溜まっているが、これを吸収してしまうと何も残らなくなってしまう。
どうしたものか・・・
俺は悩みながらも素材を回収していく。
そうこうしているうちにあっという間にボス部屋まできてしまった。
「今回は簡単そうね」
「まだ終わってないから油断しないの!」
「は〜い」
「ボス情報は調査班からなかったから私達が第一発見者になるわ
何があるかわからないから一応ミツルギくんはここで待っててもらえるかな?」
「わかりました」
「ボス扉の前はモンスターも危険を感じても近づかないから安心して」
そう言って4人は重厚な扉を開けて中へと進んでいった。
しばらく俺はボス扉の前で待っていた。
「安全とはいえさっきからモンスターの気配は感じるんだよね・・・」
油断して寝ていようものなら一瞬で狩られそうだ。
大体1時間くらい経っただろうかあまりにも時間がかかっており中の様子が気になった。
まさかあの人達が負けるとは思わないが、イレギュラーが発生したんじゃないかと
嫌な予感が脳裏をよぎる。
その予感は的中した。
重厚な扉が内側から開き中からミヨリさんが傷だらけになって出てきた。
「ミツルギくん・・・た、助けを・・・皆んなが死んじゃう・・・」
「ミヨリさん!!」
俺は倒れそうなミヨリさんを支えた。
「一体中で何があったんですか!?」
「ボスが覚醒したの・・・」
ボスの覚醒・・・イレギュラーだ。
稀にダンジョン内のボスが覚醒するとの報告はあった。
ボスが覚醒した時の強さはおおよそレベルが2段階以上上がる。
今回のダンジョンはDランク
つまり弱くてもBランク以上のボスになった可能性が高い。
「助けを呼びに行かないと・・・皆んなが」
ミヨリさんはふらつきながら立ち上がり歩きだした。
俺は悩んでいた。
こんな状態でゴブリンのいる洞窟内を出口まで行くのは不可能だ。
今ここで助けられるのは自分しかいない。
「ミヨリさん一つ協力してもらっていいですか?」
俺はスキルのことを説明して、素材を全てソウルに変換した。
「魂(ソウル)185」
「戦えるのは大体3分です
ボスは引きつけるので皆さんを助けてください」
「わ、わかった」
俺はボス部屋の扉を開けた。
次の瞬間目の前には、ドス黒く赤い皮膚の色をしたリザードマンがキヨミの首を片腕で握り潰そうとしていた。
「ソウルイーター‼︎‼︎」
「これより185秒間魂の救済を実行します」
「キヨミ‼︎‼︎」
俺はすぐさまスキルを使い強く地面を蹴る。
一瞬でリザードマンに近づき短刀で腕を斬りつけた。
そう思ったが、斬れ味が凄すぎてキヨミさんを掴んでいたリザードマンの腕が地面に落ちた。
「ミヨリ‼︎どうして戻ってそれにミツルギくん⁉︎」
「油断するな!そいつは再生するぞ‼︎」
すぐさまリザードマンは反撃をしてきた。
短刀で防いだが、腕に衝撃が走る。
「くっ!!」
ほんの数秒で奴の腕は再生した。
「残り120秒」
時間がない・・・
俺は再び短刀を構えた。
俺は戦闘初心者だ。
ナイフですら振ったことなんてない。
今はスキルに頼るしかない。
再び踏み込む。
接近して斬りつけようと短剣を振るが当たらない。
「くそっ!!」
「残り60秒」
完全に攻撃が読まれている。
これじゃいくら身体能力が高くても当たらない。
隙を作らないと・・・
時間はどんどん過ぎていく・・・・
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