第12話

真人へ


手紙、読みました。


真実はともあれ、手紙を書いてくれてありがとう。

私はこれを持っていけば、いつでも警察に駆け込める訳ね。当時の事故がきちんと事件になるかどうかは微妙な所ではあるけれど―――一人でも真実を知る人間が増えてことが公になれば、姉もお腹にいた赤ちゃんも少しは浮かばれると思います。

ねぇ、人のことを言える義理は一つだってないのだけれど、真人はいつからそんな風な人になってしまったの? 元々の真人がそういう人だったの? 私の知っていた真人は、少なくとも仮にでも私と付き合っていた真人は、そんな人ではなかった筈……それともお互いずっと騙し合いをしていたってことなのかな? 本当は今少し後悔しています、正義感なんかから姉の死の真相を知ろうとしたこと。そしてお互いに遠距離でいることをいいことに感情をぶつけてしまったこと。認めたくはないけれど、真人に情が移っていたみたいです。私が何もせずにいれば今頃、全てが何事もなく平穏無事に進んでいたんじゃないかって思います。いつか東京に行って真人とショッピングをしたり、観光名所を巡ったりして遊ぶ。真人の家に泊って、一緒に漫画を夜通し読み返したりどうでもいいことで笑い合ったりする。そんなことが出来るのなら……でも今更、全部遅いですね。

今までありがとう。さようなら。


弥生より

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