咲き乱れるサクラ。

仕事？これが？ (2)

「お疲れ様でした」

　今日はなんとか時間を調節をしながら、家とパン屋を6往復をして仕事？を終えた。3回目に行った時の私を見た店員のなんともいえない顔、4回目以降は何かを察したような店員の顔。ちょっと忘れられそうにない。…まぁ依頼主なんだから察するよね、多分。…単におかしい人認定されてない事を祈る。

　ちなみにパン屋に行った時はずっと何人か並んでた。まぁ、美味しかったから並ぶのもわかる気はするけど…。

「どうでした？パン、食べましたよね？」

「ええ、食べましたよ。結構美味しかったです」

「そうですよね！！私もそう思います！！あれはいい！！毎日食べたい！」

　いきなり上がったテンションにちょっとついてけそうにない。何なのこの人。

「え、あ、はぁ」

「あ、失礼。……いくら美味しいお店でも、場所や規模によっては続かずに潰れてしまうんです。そういうのがもったいなくて。そういう店からのご依頼をいただいて、もしくはこちらから提案させていただき、人気が出るようにサポートするのがうちの仕事なんです」

「…そ、そうですか」

　…それ、できれば最初に聞いておきたかったな。

「それはそうと、はい、こちら本日のお給料です」

　大事なお金を受け取りながらも、この会社にパン屋はいくら払ってるんだ？むしろ潰れんじゃないかと思ったけど、こちらとしてはもらえるものをもらえればいい。今回はパンもついてきた。

「またあそこに並ぶ仕事はあるんですか？」

「来月に予定しています。その間なんですが、別のお店が来週開店するんですけど行きますか？」

「行きます！」

「では、また連絡しますね」

　3日後、パン屋の前を通ると店の前には行列ができていた。今日は仕事じゃないけど、つい並んでしまった。そのあとパンを買ってから気づいた。まだ、食べきれずに冷凍したパンが残っている事に…。

　次の仕事は来週。あまり働きたくないからちょうどいいんだけど、も少し働かないとパンが買えない。………あれ？？違う、生活ができない。もっと働け！という内なる声はずいぶん前から聞こえる。でも、やはりなるべく働きたくない。生きるのに困らない程度でいい。そのうち、結婚して専業主婦にしてもらえないかな。彼氏ができそうな気配はないし、家事は好きじゃないけど。……あー、パン食べたい。……？？？

　明日、また別の店に並ぶ予定だ。仕事内容はほとんど同じ。なのに、なんでか今日もまたパン屋に並んでる。もちろん仕事ではなくて完全にプライベート。…ハマってしまったという事なんだろうか。だとしてもちょっとおかしくない？って思ってるのに、いつの間にか買って店を出ている。……あれ？？ なんかホントになんかヤバくない？？