第9話 忍者
終わったので家に帰る。
「どこに住んでんだ?」
「いま事務所に所属してて、そこのマンションなんだ」
「へぇ、高校は?」
「中卒でもいいかなーって思ってるよ」
「まぁ、僕もそう思ってるんだけど親がうるさくてね。でもまたあんなことがあったらって思ったら学校って行きたくないんだよね」
「わかる、学校から始まったしね」
あの光に包まれた時のことは今でも覚えてるくらいだ。
「天童はどうするつもりなんだ?」
「僕は冒険者かな」
「なら一緒だな」
「パーティー組まないか?」
「あはは、事務所に入ってるからね」
「そうか、そう簡単に行かないか」
「天童ならやれるよ」
「あぁ、千冬もな」
天童と別れて歩いている。
「出てきたら?」
「ん、わかった」
柱の影から玲奈ちゃんが現れる。
「玲奈ちゃんなんでついてきてるの?」
「どこに住んでるのか知りたいから」
「あぁ。ここのマンションだよ」
「へぇ、結構いいところね」
「そうだね、部屋が広すぎて落ち着かないくらいだよ」
「家賃は?」
「冒険者やって稼いだから大丈夫だよ」
「そう、私もここに住みたい」
「このマンション空きあるかな?」
「違う、一緒に」
「え?だめだよそんな男女が一緒の家に住むなんて」
「ルームシェア」
「いや。言葉の意味はわかるけどさ」
「とりあえず中に入れて」
「だめだって」
「寒いから」
「あぁ。じゃあお茶くらいなら出すよ」
家の中に入るといろんなところを見て回る。
「あんまり見ないでね。何もないから」
「わかった、この部屋見ていい?」
「いいけど何もないよ?」
「ふーん」
「ダメだからね?事務所も通さないといけないし」
「わかった」
本当に分かってるのか心配だな。
「私、親戚に引き取られたけど、腫れ物扱い」
いきなりぶっ込んでくる玲奈ちゃん。
「そ、そうなんだ」
急にどうしたのだろう?
「だから同じ事務所に入る」
「えぇー!それは社長に聞かないと」
聞いてオッケーならいいけど、同じ部屋はダメだろ。
「じゃあ聞いて?」
「もう夜だし」
「じゃあ泊めて」
「ベットも一つしかないよ」
「いい、一緒に寝る」
ダメでしょうが!
「わかった、明日聞いてみるから今日は帰るってことで」
「帰るところなんてない」
そんなに追い詰められてたんだね。
「…」
「泊めて」
「わかった、ベッド使ってね。俺はソファーで寝るから」
「いや一緒に寝る」
「これは条件だよ?」
「条件…」
「一緒に寝ない。明日社長に連絡する」
「わかった」
ソファーは寝心地が悪かった。起きると朝食を作る玲奈ちゃんがいた。
「おはよう、ごめんね、朝食作らせたりして」
「いい、あるもので作った」
「そうなんだ」
「それより電話して」
「分かったよ」
俺はマネージャーに電話する。
事情を話すとすぐに行くとのことだったので作ってくれた朝食を食べていたら来てくれた。
「話は後よ、それより何もなかったわよね?」
「はい、ソファーで俺は寝ましたから」
「そう、夜でも電話してくれていいんだからね」
「はい」
「で?」
「
「あとは?」
「職業が忍者」
「それと」
「事務所に入りたい」
「あー、分かったわよ!社長になんとかしてもらうわよ」
「よし!」
「よかったね」
「うん、ここに住むから」
「「は?」」
俺とマネージャーは固まった
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