第8話 乾杯


 メディアに取り上げられてからはまぁアンチもある。ある意味で当然であるのかな?

 そんなに嫌なら見なきゃいいのに、と俺は思うがそう言うのじゃないのだろう。


 今日はクラスメイトで集まる日だ。なぜかみんなで集まろうと言うことになった。

 カラオケボックスを貸し切っての集まりだ。

「おっ!やっときたな!千冬!」

「あぁ。おまたせ」

「千冬はクラスメイトの名前覚えてないよな?」

「うん。ごめんね」

「謝ることないってネームプレート作って来たからこれを機に覚えてくれよ」

「あぁ、覚えるよ」

 ちなみに勇者は天童だった。

「天童はみんなの名前覚えてるんだよな?職業も?」

「うん、覚えてるよ」

 みんなそれぞれが話をしている。

「よし、じゃあみんな揃ったし始めようか!」


「カンパーイ」

 俺の横に天童。反対に玲奈ちゃんが座ってる。

「玲奈ちゃんあの時はありがとう、あの時の言葉がなかったら俺は生きてなかったかもしれない」

「別にクラスメイトなんだから当然」

「でも」

「あの時と同じ顔してるよ?今はもっと堂々としてればいい」

「そうだね、結局は千冬助けられたわけだからね」

「そうそう!私は香月っていうのは知ってる?」

 聖女さんだ。

「ごめん。聖女さんって呼んでたよ」

「じゃあこれから美琴って呼んでね!」

「わかったよ美琴ちゃん」


「これからも定期的にみんなで集まりたいと思ってるんだ、7年間千冬も頑張ったね」

「生きるのに精一杯だっただけだよ、みんなが魔王を討伐してくれることを祈ってたな」

「僕も君が劣等生だと思っていたけど違ったみたいだね、誰よりも一番訓練してたし」

 天童は見ててくれたみたいだ。 

「そうね、千冬が出ていくのを止められなかった」

 玲奈ちゃんが言ってくる。

「時々玲奈が見に行ってくれてたんだよね」

「そう、娼館にも行ってた」  

「え!」

「童貞じゃないのかよ!」

「ま、まぁ付き合いでね」

「クアー!千冬に先越された!あ、俺は戦士の礼堂な」

「すけべ」

 それはしょうがない、男はすけべだからね。

「だからあの日機嫌悪かったんだ』

「あれは違う。ただ呆れだだけ」

 玲奈ちゃんと目を合わせるのが怖いな。

「まぁ、その話はやめようか。千冬はいまレベル幾つだ?」

「今のレベルは」


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神谷 千冬カミヤ チフユ 17歳

レベル 322 職業 ノージョブ

ユニーク

スキルツリー開放

(勇者)

(全ステータスMAX)

経験値二分の一

スキルポイント89

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「322だね」

「まじかよ!僕だって頑張って159だよ?」

「ドラゴンの巣に行ってたからね」

「えぇー!ドラゴンの巣って言えば、秘境中の秘境じゃねーかよ」

「だから、エンシェントドラゴンに会ったのか」

「そうそう、エンシェントドラゴンが、喋れて良かったよ」

「すげぇなお前!ノージョブだっただろ?」

「それなんだけど。何にでもなれるってことらしかったんだよ」

「なんだそりゃ。チートかよ」

「じゃあ今は?」

「勇者は取ったよ、魔王を、倒そうと思ってさ」

 みんな無言になる。

「千冬はちゃんと頑張ってたんだな」

「うん、みんなに迷惑かけないようにね」

「ごめんな」

「ううん。あやまらないでよ。みんなだって必死だったじゃないか!」

「いや、まだ甘えがあったんだと思う」

「そうね、千冬がこんなにがんばってるなんて知らなかったとは言え甘えてたと思うわ」

 しんみりしちゃったから。

「そ、そんなことより飲もうよ!みんなジュースだけどさ」

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