第5話 魔王城とドラゴン


 俺たちはいま魔王城の近くにテントを張っている。敵は強く、怪我人も多いが聖女がいるのでなんとかなっている。

「なぁ!ここで畳み掛けようぜ!」

「まだレベルが低いやつが多い!」

「俺らだけでも」

「みんな一緒に日本に帰ると約束した!」

「…そうだったな」

「そうだ!だから今は無理をしないでレベル上げを優先するんだ!」

「分かったよ」

 俺たちはもう6年になるか、小4の頃にここに連れて来られて毎日同じように剣を片手に頑張って来たんだ。いまさら誰か一人でも欠けてなるものか!

 あいつも一応頑張って生きているし。

 最後まで諦めない。魔王を倒して日本に帰るんだ。

「無理しすぎよ?」

「無理だってするさ!」

 聖女の美琴ちゃんだって無理してみんなの怪我を治してるんだ。

「学!今のみんなのレベルの平均は?」

「50くらいだな。まだ上げたほうがいい」

「だな!俺が一番高いんだよな?」

「あぁ、112だよ」

 低いのは生産職だが置いていくわけには行かないし、生産職だからと言って敵を倒そうとそれでも頑張ってくれているんだ。

「みんながそれくらいになるまで気を抜かないでレベルをあげるぞ!」

「わかってるって」

「それより忘れてないでしょうね?」

「あぁ!忘れてなどいない」

 俺たちをここに召喚したあいつらにも一泡吹かせてやるんだ!

「やるなら徹底的にやるわよ」

「あぁ。王城のやつらは皆殺しだ」

 それが俺たちをここに連れてきた報いだ。



  ♦︎



「今のレベルが」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神谷 千冬カミヤ チフユ 17歳

レベル155 職業 ノージョブ

ユニーク

スキルツリー開放

(勇者)

(全ステータスMAX)

経験値二分の一

スキルポイント32

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 まだ足りないなぁ。本当にいつになったらレベルが上がるのに経験値がたりるのかな?

 ワイバーンを倒しながら鑑定を使う。

 またレッドドラゴンとかいないかなぁ?

「っと!」

 ワイバーンの首を斬りドロップにしたらアイテムボックスに入れる。

「あっ。やっとあがったな」

 一レベル上げるのにワイバーン10匹も狩らないといけないからなぁ。


 どこかでレベルを上げないとな。

「しょうがないから竜の巣に行ってみるか!」

 竜の巣とは竜が住まうところで人が決して立ち入らない所だ。森の奥の方に広がっている。

 ステータスMAXに近い僕は走って山を追い越して行く。モンスターを狩りながらだから少し遅くはなるけど。

 竜の巣になっているところはとても遠いからだ。

「僕より強くなってるみんなは今頃魔王を討伐してるのかな?」

 僕も一緒に帰れるよね?


 さて、竜の巣に着いた途端にレッドドラゴンが牙を向けるので首を切り落とすとドロップ品に姿を変える。レベルが上がるのがわかる。やっぱりここだな!


 二週間近くいたことによってレベルの上がりが悪くなって来た。

「もうまたかよ、これ以上いいレベル上げの場所はないのに」

 奥に進むに連れて強いドラゴンになって来てはいるがいまのチフユには軽くあしらえるほどだ。

「あっ!おっきな洞穴だな!」

 そこに入ってみると、大きな竜がいた。

 エンシェントドラゴンと出ている。

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