第20話 終

夜から朝にかけて世界で今一番幸せな気持ちになった。

朝裸で眠るまどかを見つめる。

起こさないように優しく布団をかけて仕事に出かけた。


仕事が終わり、家に帰るとまどかの様子が少し変わっていた。

「おかえり!おつかれ!早く服脱いでお風呂入って!」

まるでかかあ天下だ。


「はい…すぐ入ります」と言って風呂に入った。

飯を食べてる時にまどかが結婚の話を持ち出してきた。

「いつ結婚しよっか」

「今は100日経たないとできないよ」

「そっか。じゃあ100日経ってからだね。楽しみだね」

嬉しそうに炊き込みご飯を食べる。


”結婚”今まで誰とも意識したことはなかった。

俺が結婚か。大丈夫だろうか。

しかしまどかとなら上手くいきそうな気がする。


もう俺も39歳だ。まどかは23歳。

歳は離れているが心配ないだろうと思う。


それから今までの分を取り戻すように毎日愛し合った。

俺はあまり行為に慣れていないが、まどかがいつもリードしてくれた。


いよいよと時間は過ぎていき結婚ができる時期になり、仕事にも力が入る。

金は少しずつ貯まっていったが、結婚式を挙げる金まではない。

話し合った結果籍だけ入れる事になった。


それほどまでにまどかは早く結婚したいらしい。

子供が欲しいのかもしれない。


俺の歳を考えると早くした方がいいのだろう。


ちょうど100日が経って、まどかと俺は無事に籍を入れた。

暮らしは今までと変わらないが、心配のない幸せな日々を送れるようになり、一年後にまどかに似た男児が誕生し、三年後には俺に似た女児が誕生した。


俺はホームレスから普通の幸せを手に入れた。

それはまどかも同じ気持ちらしい。


二人でこれからできる限り歩んでゆこうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

仮暮らし 村崎愁 @shumurasaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ