第19話 離婚
すぐに正月が終わった。
やっと働ける。まどかに良い物を食わせたい。
朝5時に並んで工事現場の仕事についた。どうも工事現場の仕事が多い。
しかし日給は高いことがありがたい。
身体は痛いししんどいがまどかのためなら構わない。
帰ってくるとまどかが夕飯を作っている。
今日はシチューだった。それは母を思い出す優しい味だった。
朝起きたらまどかが抱き着いて寝ていた。
頬に静かにキスをして仕事に出る。
そのうちに結ばれる日もくるかもしれないと思うと胸が高鳴った。
これは男の性かもしれない。
仕事が終わり帰るとまどかの旦那がまた家の前に立っていた。
どうやらドアを蹴っているようだ。急いで旦那に話しかける。
「また何ですか」
「まどかを出せ」
「警察呼びますよ」と言うと旦那はツバを吐いてどこかに行った。
家に入る。まどかはやはり怯えていた。
そろそろ対策を考えなければならない。
「裁判のやつとか調べた?俺調べようか?」
「うんごめんね…もう早く別れたい」
すぐに調べ、離婚調停を申し込んだ。
少し時間がかかるかもしれないが早くしなければならない。
「安心して待っててね」まどかは少し安心した表情を見せた。
あっという間に離婚調停の日になる。
まどかが調停に出かけた。旦那は話し合いに応じたようだ。
次回は一月後らしい。
帰って来たら飯も作れずに寝てしまった。余程疲れたのだろう。
まどかの髪を静かに撫でた。
守りたいが今は何もできない。口惜しさを感じ俺も眠りについた。
翌日からまどかは生まれ変わったように、家事を頑張っている。
少しは心境の変化があったようだ。
これから順調にいって欲しい。
それから早くもひと月が経ち次の調停になった。
一週間が経ち離婚が決定した。
二人で刺身とビールで乾杯する。
その日の夜寝る時にまどかが上に乗ってきた。
「まどかちゃん?」
「もう大丈夫だからしよ?」
そうして男として情けないが半ば強制的に結ばれた。
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