第15話 対峙

翌日になり、早朝にまどかに布団をかけ直し外に出た。

まどかは寝付いていて気が付いていない。

今日は仕事がない。だがまどかに何かプレゼントを買いに行こうと思い家を出た。


公園で鹿毛さんが俺に気付く。

「鹿毛さん昨日ありがとうね」

「立石っちゃん昨日は良い事した?」

「してない、怒るよ」

「まぁそう言うなって。ほらこれ」鹿毛さんは暖房とテレビを持ってきた。

「年明け奢るから。ありがとうね」

家の下にテレビと暖房を置いてプレゼントを買いに出かけた。


まどかに似合いそうな5千円程度の赤い革製のブレスレットだったが一目惚れをした。きっと喜んでくれるだろうと頬が緩む。


ケーキも買い、

家に帰るとドアの前に男が立っていた。すぐに身体を隠す。

男はドアを激しく叩いている。

きっと旦那だろう。


中ではまどかが震えているのかもしれない。

早く助けなければと様子を伺う。

男がドアから少し離れた時に攻めかかった。


「僕の家に何の用ですか?」

男は一瞬目を泳がせてから「ここにまどかって女がいるだろう?」

「知りません。お帰りください」

背中で罵声を浴びながらドアを開けて部屋に入る。

部屋の奥に行くとまどかが小さくなって震えていた。

「まどかちゃんごめんね…」

「仕事行ってたの…?」

鍵を慎重にかけてまどかを引き寄せる。

「これ…メリークリスマス」プレゼントをちょこんと貰い「ありがとう」と目を輝かせた。

ドアはもう鳴らない。帰ったのだろうか。

「開けてみて」

「私、何も用意してないよ?」

「いいからいいから」

慎重に包装紙を開ける。

革のブレスレットを見てまどかは涙目になった。

「こんないい物をありがとう」

思わず堰を切ったかのように抱きついてくる。

「ご飯、おいしいの作るからね」

「無理しなくても大丈夫だけど楽しみだな」

ずっとこのままでいたいと思えた。

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